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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

「お前、スターになりたいんだろう?」不振の銀次を救った闘将・星野仙一からの“金言”

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

ぶつかり合いの中で知った「闘将の素顔」

レギュラーに定着し始めた頃、メディアやファンの間では銀次のことを「星野チルドレン」と呼ぶ声が多く聞かれた。実際に指揮官から掛けられた期待を感じ取っていた銀次だが、同時に二人の間には激しい感情のぶつかり合いもあった。ある日の試合序盤、守備でミスを犯した銀次は、ベンチに戻るやいなや途中交代を告げられる。あからさまな懲罰交代だった。

「ベンチに戻ったら、“お前、もう使えないな”と言われて。その瞬間、思わず“じゃあ、使わなきゃいいじゃないですか”と口から出てしまったんです。“使っているのはオレじゃないんだから”という思いまでありました。ヤバいと思ったけど、反省した態度は見せなかったですね。星野さんも当然そのひと言を聞いていたはずです」

並の指揮官であれば二度と使われないかもしれない局面である。だが翌日、スターティングメンバー表には変わらず「銀次」の名があった。

「次の日もスタメンで使ってくれたんです。悔しさとともに“今度は見とけよ”という強い気持ちで打席に入り、結果を残しました。星野さんは選手のハングリー精神を引き出すのが本当に上手でしたね。ミスを咎(とが)めて突き放すのではなく、翌日にすぐ取り返すチャンスを与える。だからこそ、“この監督を胴上げしたい”と思わされるんです」

一方で、スランプに陥って思い悩む教え子には、包み込むような温かさを見せる一面もあった。グラウンドで全体練習が行われている最中、ふと「銀次、こっちに来い」と呼び出されたことがあったという。

「また怒られるのかなと思って近寄ったら、“お前、今打てていないだろう。スターになりたいんだろう”と言われて。“なりたいです”と答えると、“王(貞治)、長嶋(茂雄)は常に明るかったぞ。どんなに調子が悪くても元気だった。お前もそれくらい明るくいけ、下を向くな”と声をかけてくれました。そのひと言で一気に肩の荷が下りて、すごく救われました」

互いに感情を隠さずぶつけ合いながら深まっていった師弟の絆。その強固な信頼関係が、2013年の東北に奇跡をもたらす原動力となっていく——。

後編に続く)

Profile/銀次(ぎんじ)
1988年2月24日生まれ、岩手県出身。盛岡中央高校から2005年高校生ドラフト3巡目で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。内野手へ転向後、星野仙一監督の下、12年にレギュラーへ定着すると、13年には打率.317をマークし、球団初のリーグ優勝と日本一に大きく貢献した。プロ通算1239安打、打率.290を記録し、巧みなバットコントロールで長年イーグルスのヒットメーカーとして活躍。23年限りで現役を引退し、現在はアンバサダーとして球団や東北の発展に尽力している。

Profile/星野仙一(ほしの・せんいち)
1947年1月22日生まれ、岡山県出身。倉敷商業高校、明治大学を経て、68年ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。気迫あふれるピッチングで、現役通算500試合に登板し、146勝121敗34セーブを記録。現役引退後はNHK解説者を経て、87~91年、96~2001年と二期にわたって古巣・ドラゴンズを率いる。02~03年は阪神タイガース、07~08年は日本代表、そして11~14年は東北楽天ゴールデンイーグルスで監督を務める。17年、野球殿堂入り。翌18年1月4日、70歳で天に召される。

インタビュー&文=長谷川晶一
撮影=大村聡志

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  • 星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次
  • 星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次
  • 星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次
  • 星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次
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この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

X:@HasegawSh

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