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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

【星野仙一からのご祝儀に驚がく】「あの人がいなかったら今の自分はない」元楽天・銀次が語る“人生を変えてくれた男”との秘話

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

【星野仙一からのご祝儀に驚がく】「あの人がいなかったら今の自分はない」元楽天・銀次が語る“人生を変えてくれた男”との秘話

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東日本大震災から2年半が経過した2013年、東北楽天ゴールデンイーグルスは球団創設初のパ・リーグ制覇、そして日本一へと駆けあがった。前日に160球を投げたエース・田中将大を日本シリーズ第7戦の9回に投入した衝撃の采配、そして歓喜の瞬間に号泣しながら指揮官・星野仙一にしがみついた主軸・銀次。闘将から結婚祝いで贈られた「33万円のご祝儀袋」の秘話から、形見のネクタイを締めて臨んだ引退会見まで、銀次が「親父」と慕った星野仙一のリアルな素顔に迫る。【銀次インタビュー全2回の2回目/第1回を読む】

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星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次

誰もが「オレがやる」の思い――2013年の躍進

2013(平成25)年、東北楽天ゴールデンイーグルスは快進撃を続けていた。「何点差があっても勝てる。あと3イニングあれば引っくり返せる」という空気がチーム全体を包み込み、誰もが「オレがやる」という強い当事者意識を持っていた。主に三番として打線を牽引した銀次自身も、若さと勢いを前面に出してシーズンに臨んでいた。

「ベテランのすばらしい先輩方がたくさんいる中で、僕自身は“自分がいちばんだ、自分がこのチームを引っ張っていくんだ”という強烈な思いを持って打席に立っていました。“東北のため、そして星野さんのため”という思いと同時に、“オレを見ろ”という気持ちが、いい相乗効果を生んでいたと思います」

チームの軸となったのは、キャプテンの松井稼頭央だった。さらに正捕手の嶋基宏、内野の要である藤田一也の3人が絶妙なバランスでチームを牽引。メジャーの大スターであるアンドリュー・ジョーンズ(AJ)も持ち前の実力を発揮し、チームにプロ意識を植えつけた。投げてはこの年、24勝0敗という驚異的な成績を残す田中将大の存在があり、野手陣は「将大が投げる日は1点取れば勝てる」という絶対的な信頼を寄せていた。

星野仙一が監督として初めて日本一に輝いた2013年の楽天で主軸を務めていた銀次

初のリーグ優勝を鮮明に意識し始めたのは、8月下旬のことだった。23~25日にかけて行われた2位・千葉ロッテマリーンズとの直接対決3連戦。直前の5連敗から一転して劇的なサヨナラ勝ちを含む3連勝を飾り、ゲーム差を5.5に広げた。

「あのロッテ戦で、“これはいけるんじゃないか”という空気が固まりましたね。うちには優勝経験がない選手も多かったけど、中日ドラゴンズ出身の岩﨑達郎さんや、メジャー出身の稼頭央さんのような、優勝を知る経験者が“落ち着いていつも通りやれば大丈夫”と声をかけてくれた。だから、チームが浮き足立つことはまったくありませんでした」

悲願達成が近づくにつれ、指揮官・星野仙一の眼光はより一層鋭さを増していった。意識的に緊張感を漂わせ、ナインの緩みをシャットアウトしていたのだ。

「星野さんはあえてピリついた雰囲気を出していましたね。手綱を引き締めるのが本当に上手でした。試合前には“絶対に怪我だけはするなよ、無理はするなよ”と優しい言葉をかけてくれるけど、いざ試合に入るとものすごい気合いが入っている。その姿を見て、僕たちも“よし、やってやるぞ”と気合いを入れ直していました」

「被災地・東北に歓喜を」という強い決意と、指揮官が醸し出す適度な緊張感。投打の歯車が見事に噛み合ったチームは、確かな手応えとともに、球団初のペナントレース制覇へと一気に突き進んでいった。

この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

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