BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」
――あと不思議だったのが、圭って“ルックスもよくて仕事もできる”みたいな、いわゆる世間的にはハイスペック男子と思われている男性なのに、すごく幼稚なキャラ設定だったことで。すごく印象的だったのが、「人間の不良品みたいなことを誰かが言ってたんだよね」というセリフです。
モモコグミカンパニー:そうですね。それはメイド喫茶店員のハルト君のセリフです。
――結構な表現だなと思って。パンチラインというか。
モモコグミカンパニー:(笑)。それは、私が思ったからそのまま書いただけなんですけど。私はこういう仕事をしているし、私と友美を重ねる読者の方が多いような気がするんですけど。私はむしろ登場人物の誰でもないし、逆に全員でもあると思っていて。私は圭でもあると思うんですよ。
――圭とモモコさんにも重なる部分がある。
モモコグミカンパニー:はい。一番重ならなそうな圭というハイスペ男子の、大人になった後の生きづらさとか、子供の部分を捨てきれないところとか、綺麗なものばっかりに憧れている部分とか。
――確かに、圭が“メイドとしてのリリア”に執着する部分とかは、綺麗なものに憧れている圭ですよね。
モモコグミカンパニー:うん、人間の“本当の部分”を気持ち悪いと思っちゃう姿勢とかも、おそらく自分の中にもあったからこそ生まれたキャラクターで。ひろやんの気持ちも私はすごくわかって、自分と違うとは思わないし、リリアの気持ちもすごくわかるし。
――この登場人物のモデル“だけ”がモモコさんというのはないってことですよね。
モモコグミカンパニー:そうです。
――そういった意味では、“自伝的小説”というわけではない。
モモコグミカンパニー:そうですね、全然違うと思いますね。私だったら絶対にしないことを友美はやっているし、逆に私に経験がないことを友美はやっているし。
うまく生きられないもどかしさを
書くことで発散しているのかも(笑)
――小説を書くときって、リサーチも結構されると思うんですけど、メイドさんを実際に取材されたんですか?
モモコグミカンパニー:秋葉原のシーンを描くことがあって、マネージャーさんに「あの~、一緒にメイドカフェに行ってくれませんか?」ってお願いして、ついて来てもらいました(笑)。一緒に何店舗もメイド喫茶に行ってもらって、そのおかげで描けた部分はめっちゃあります。元々行ったことはあったんですけど、もうちょっと詳細に書きたいなと思って取材に行きました。
――そういう取材体験って、これまでもありましたか?
モモコグミカンパニー:あんまりないですね。やっぱりエッセイとかを書いていても、自分のことなので。日常のこととか、自分の内面のこととかなので、外に出向くとかはあまりなかったんですけど。
――“電気街”とか知ってるフレーズはあっても、秋葉原の地理的な部分はあまりピンとこなかったんですけど。
モモコグミカンパニー:だから取材の後もちゃんとGoogleマップで、東口はこの辺、南口ここら辺、とかは調べて整合性がとれるようにしました。
――メイドカフェは一時期かなり流行りましたが、いまでもファンの方が大勢いらっしゃいますよね。
モモコグミカンパニー:取材に行ったある日は、平日の夕方ぐらいだったと思うんですけど、お店が結構どこも満杯で(笑)。
――それこそ、ひろやんのような仕事終わりのサラリーマンがいたりとか。
モモコグミカンパニー:そうですね。あと女の子のお客さんも結構多いのが印象的でした。どこも混んでいたので、一つの店舗に落ち着くまで3店舗くらい回って。
――へぇ、すごい!
モモコグミカンパニー:そこもやっと入れたみたいな感じだったので、今ってこんなに来る人いるんだ!大盛況なんだ!って、すごくびっくりしました。
――なるほど。メイドさんがオムライスを作る描写だったり、わかるな~っていう描写が結構ありました。
モモコグミカンパニー:そうですね。私がファンの方と接した経験も結構反映されていて。モモコグミカンパニーとしてファンの方に接するときって、ドジしたりとか、ちょっと間違えちゃったりしても、すごく喜んでくれるんですよね(笑)。
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