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BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」

BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」


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BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」

――ファンの方が、そういう部分をモモコさんに求めているみたいな。

モモコグミカンパニー:モモカンがやったことだから全部許せるみたいな(笑)。甘いというよりは、寛容さがあるというか。

――なるほど。友美も“みくる”っていうメイドネームがあって、友美という本名もあって、いわゆる二つの世界を生きている主人公じゃないですか。モモコさんも、本名とモモコグミカンパニーという二つの名前があって。実際の生活がある一方で、 BiSH としてのモモコグミカンパニーっていう生活もありますけど、その両者は人格的にも全く別人ですか?

モモコグミカンパニー:いやぁ、私は結構一緒なんですよね。本名の自分でいるときも、モモコグミカンパニーとして表に出ているときも、うまく泣けなくて。だから、悲しいって思っても、泣けないから周りに自分をうまくわかってもらえずに、表現できないっていう苦しさはずっとあって。それもあって書くことに逃げているっていうか、書く中でしかうまく泣けないっていうのがあるんです。だから小説を書いているときはすごく開放的になれました。書いているときと、日常を生きているときっていうのは、表と裏というか、結構違うかもしれないですね。書いているときのほうが、本当に生きている実感があるし(笑)、自分らしいなぁって思うので、それが現実でもできたらもっといいんでしょうけどね。

――書くことがリハビリ的に機能して、現実世界でもそういう風にできるようになるっていう、手応えみたいなのはあるんですか? 悲しみをうまく出せるようになったり、表現できるようになったり。

モモコグミカンパニー:生きることにすごく不器用で、本当に大人になってもまだうまく生きられていなくて。それで、そういう自分のもどかしい部分とかを書くことで発散してるんじゃないかなと(笑)。

――モモコさんは、BiSHというグループの中にいても、常に飄々(ひょうひょう)としているというか、割と客観的にご自身を見つめられている印象もあったりするんですけど。メンバーのこともちょっと一歩引いて見ていたりとか。

モモコグミカンパニー:そうなんですよね。そういう部分で「客観的に自分や周りを見ていて偉いね」みたいな感じに思われるかもしれないですけど、現実のぶつかり合いとかが怖いっていうのがあって。それだったら、「飄々として、ちょっと距離を置いているほうが心を守れる」みたいな部分があるんだと思います。でも、昔から人間観察はめちゃくちゃ好きで。気持ち悪いんですけど、小学校のときとかも、登下校している生徒とかを観察したりとかしていて(笑)。

――それは同じ小学校の?

モモコグミカンパニー:同じ小学校の(笑)。いろんな人を見たくて、「この人はどんな人生を送ってるんだろう?」って想像したり、妄想とかもすごく好きで。そういう部分は小説に繋がっているかもしれないです。小さい頃から「趣味:人間観察」って言ってましたね。

――へぇ~。 BiSHの他のメンバーも結構人間観察をしているというか、しっかり人を見ていらっしゃるなっていう印象があるんですけど。

モモコグミカンパニー:えー本当ですか? 私はあまり気を遣ったりできないので、周りをしっかり見て気遣いができるメンバーのことは、すごく感心するし、尊敬していますね。

モモコグミカンパニー

解散が決まってからのほうが
よりメンバーを
応援できるようになった

――「御伽の国のみくる」のキーワードに、“嫉妬”、“妬み”があると思うんですけど、BiSHのメンバーで「このメンバーのこういう部分は自分にはない部分」だとか、嫉妬を覚える部分はありますか? もしあれば、一人ずつ教えていただきたいです。

モモコグミカンパニー:あっ、一人ずつ?全員かぁ(笑)。ハシヤスメ(アツコ)は……なんですかね、自分にない部分っていうと……。グループで一番正反対の人間だと思ってます。

――あっ、そうなんですか?

モモコグミカンパニー:ハシヤスメはやっぱりいい意味で、「自分の意見を貫き通す」ということを昔から言われていますけど、やっぱりそこなのかなと思っていて。「自分は自分」っていうのが一番あるメンバーなので、そこはすごく尊敬していますね。アイナ(・ジ・エンド)さんは、一見すごく目立っているように見えるけど、一歩下がってメンバー全員のことをちゃんと見ていて、観察力がすごいなって思うし。よく人の話を聞いていて、気づいたりしてくれるところは本当に尊敬していますね。

――アイナさんはよく“気づける”方なんですね。

モモコグミカンパニー:はい。表に出つつ、裏もちゃんと見てるっていう。アユニ(・D)さんは、本当に吸収力が半端ないというか。普通、「自分はこうだ!」っていうプライドみたいのがあって、人の話とか、人から教えてもらったアドバイスとかを、聞いているつもりでも聞き入れられないみたいなことがあると思うんですけど、そういうところが全然なくて。本当にいいと思うことを、どんどん取り入れていこうっていう、いい意味であまりそこのプライドがないところがある。だから、まだまだすごく伸びしろがあるなと思って。

――アユニさんには、いろんなことにトライしてみる、チャレンジングな姿勢が特にあるんですね。

モモコグミカンパニー:(セントチヒロ・)チッチは本当に包容力がありますよね。そこにいるだけで安心感があって、ずっしりしている感じ(笑)。そこは、自分にはない部分だなと思うので、すごく助かっていますね。リンリンは、リンリンもちょっとハシヤスメと似ているんですけど、「自分がイヤなことは本当にやらない」とか、自分の中にこだわりがあるので。仕事でも自分の好きなこととか、これはちゃんとやると一度思ったら、ものすごく時間をかけてやったりとか。やらないこととやることの強弱がすごくはっきりしていて。

――そうなんですね。

モモコグミカンパニー:リンリンは、なんか生きるのが楽しそうだなと思います(笑)。

――そういう意味では、BiSHはタレントの集団ですよね。それぞれ違うタイプの才能の持ち主で構成されていて。

モモコグミカンパニー:解散がやっぱり契機だったというか、解散することが決まってから、グループの中で「自分が自分が」ってなっていたのが、周りがもっとちゃんと見えるようになって、純粋にメンバーのソロ活動とかも応援できるようになったし。

――それは解散が決まって、ようやくですか?

モモコグミカンパニー:昔から周りのメンバーが頑張っているから、自分も頑張んなきゃっていうのはあったけど、やっぱり解散することが決まってからのほうが、よりメンバーを応援できるようになったというのはありますね。

――まだ世間に発表する前の段階で、解散することがわかっていながらの活動は苦しくなかったですか?

モモコグミカンパニー:う~ん、私は逆に、終わりがあるんだってわかってからすごく肩の荷が下りたというか。 BiSHって、だんだん世界に知れ渡るようになっていって、でも「この人気っていつまで続くの?」と思う部分もあって。人気がなくなることに対しての怯えとか、そういうのを抱えながら生きていた心がスッと楽になって。あとは、終わりに向かって突っ走ればいいだけなんだって。もちろん解散は悲しいですけど、私は前向きになれましたね。

(後編に続く)

モモコグミカンパニー

レイヤーしたニットのワンピース(上)¥132,000、レイヤーした ジャカードのワンピース(下)¥54,450、エプロン¥63,800、メリージェーン¥49,500/以上すべてrurumu:(rurumu: ✉contact@rurumu.jp)、イヤリング 参考商品、リング 参考商品/以上すべてMalcolm Guerre(Malcolm Guerre  www.malcolmguerre.com) 、その他/スタイリスト私物

Profile/モモコグミカンパニー
“楽器を持たないパンクパンド”BiSHのメンバーで、「あまのじゃく担当」。これまで『目を合わせるということ』『きみが夢にでてきたよ』という2冊のエッセイ集を上梓。今回、長編小説『御伽の国のみくる』で待望の小説家デビューを果たした。グループとしては、2022年12カ月連続リリース発売中で、第5弾シングル「LiE LiE LiE」が5月11日に発売となる。また、BiSH初の主演オムニバス映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL』も6月10日より全国公開される。
モモコグミカンパニー公式Twitter
モモコグミカンパニー公式Instagram

御伽の国のみくる

『御伽の国のみくる』(河出書房新社)¥1,375/発売中

アイドルの夢破れ、メイド喫茶でバイトの日々。裏切り、妬み、失望の果てに、友美が見つけた答えとは? 大人気グループBiSHのモモコグミカンパニーが贈る、感動の小説デビュー作!

写真_高橋 葉
スタイリング_庄司洋介
インタビュー&文_熊谷洋平

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08:00

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