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BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」

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BiSHモモコグミカンパニーが今、“小説家”になって思うこと「書いているときのほうが本当に生きている実感があるし、自分らしいなぁって思います」

モモコグミカンパニー

第1章にある
『みくるんは、僕となんか似てるんだよなぁ』というセリフが
真っ先に頭に浮かんだ

――なるほど。以前、とあるWEB媒体のインタビューで読んだんですけど、モモコさんは作詞をするときも冒頭のAメロから順番に書いていくそうですね。

モモコグミカンパニー:そうですね、Aメロからバーッと私は書きますね。確かに作詞の仕方と小説の書き方は、ちょっと似てるかもしれません。今回の小説では、「小説ってこういう風に書くんだ」ということがわかったので、次にもし書くことがあったら、もっとちゃんと書きたいなって思いますね。

――次作はプロットをしっかり構築してから書いていく、みたいな。

モモコグミカンパニー:はい。

――私は書籍の編集者ではないのでよくわからないんですが、プロットや構想って、編集者の方と二人三脚で作っていくというイメージがあります。実際はどういう感じだったんですか?

モモコグミカンパニー:最初にまず中編小説を2本書いて、それを編集者の方に送ったんです。そこから、その2本の中だと『御伽の国のみくる』になる前の原型となる中編小説のほうがいいねって編集者の方が言ってくれて。まだ中編だったので、長編小説にするために「ここのエピソードを膨らませたほうがいい」とか、アドバイスをいただきました。

――なるほど。中編小説が2本あって、そのうちの1本が『御伽の国のみくる』の“原型”だったんですね。もう1本のほうは、まだ日の目を見ていない感じですか?

モモコグミカンパニー:日の目をみてないし、順番としてはそっちを先に書いたんです。

――先に書いたほうが普通は自信作であることが多いと思うんですが、そんなことはなかったですか?

モモコグミカンパニー:うーん、でもそっちは発表するのが今じゃなくてよかったというか。もしかすると、遺作になるかもしれないですが(笑)。『御伽の国のみくる』は、メイドとファンがいて、主人公がアイドルを目指していてっていう、今の自分の状況にも近かったので、こっちをちゃんと書きたいって私は思ったので。

――モモコさんが「アイドルを目指す主人公」を書くというのは合点がいったんですけど、なぜ舞台がメイドカフェで、主人公がメイドさんという設定だったんですか?

モモコグミカンパニー:まず、何か小説を書こうと思って家で考えていたときに、ふと自分の中に芽生えた言葉が、この小説の第1章の最初にある『みくるんは、僕となんか似てるんだよなぁ』というセリフだったんです。登場人物のひろやんがカウンターでそう言っている光景が思い浮かんだんですよ。自分がこういう立場にあるから、メイドとファンの関連性とか、アイドルを目指している主人公を書きたいって、意図して思ったわけじゃなくて、そのセリフがまず最初に降り立ってきて。

――そのセリフが発せられるシーンも、メイドカフェだったんですね。

モモコグミカンパニー:そうです。それで、ここから小説を始めようと思って、そこからバーって書いたのが、たまたまこの小説になったという感じで。なっちゃったんですよね、なぜか。

――ちなみに、そのセリフが思い浮かんだのは、過去にモモコさんがファンの方からそう言われた経験があるからですか?

モモコグミカンパニー:もしかしたらそうかもしれないですけど、具体的な記憶はないんですよ。でも、やっぱり自分の潜在意識のどこかにあったんだと思います。

――なるほど。僕はどちらかというと、アイドルのファンの側の立場なので、好きなアイドルとの共通点をファン心理として見つけたいっていう気持ちはわかるんです。でも、仮に共通点を見つけたとして、「自分とあなたのここが似ています」という言葉を言われる側は、嬉しくないだろうなとも思うんです(笑)。

モモコグミカンパニー:いや、嬉しくもあり、不思議でもあり、あまり私は嫌とは思わないですね。思わないんですけど、それよりもなんて言うんだろう。そう言われたとして、全然似てないのにって仮に私が思ったとしても、相手は何かを自分から感じ取ってくれてそう言ってくれているはずで、その一言ってすごく深いなと思って。だからこそ、物語が膨らんでいったっていうのもあると思うんですよね。

――『御伽の国のみくる』は、ひろやんが本当に最後の最後まで友美の味方でいてくれて、最後のひろやんと友美のやり取りがあったから、物語の読後感もすごくよくなったと僕は思っていて。あの最後のひろやんとのやり取りがなければ、もしかしたら二人(翔也とリリア)を刺したりとか、バッドエンドにもなりえたのかなとも思うんです。

モモコグミカンパニー:登場人物みんなに共通しているのが、自分の居場所をすごく必死に探していて、みんな方向性は違えど一生懸命生きているということで。誰でも“凶器”を振りかざしちゃったりとか、そういう危険性は誰しもが、真剣に生きている人ほどあると思って。

――そうですね。

モモコグミカンパニー:だけど、そこで終わらせたくないなって言うのが自分的にもあったので、友美とひろやんの最後のやり取りとかは、私が最初に編集者の方に送った段階で既にできていて。

――なるほど。物語のクライマックスは初めからできていたんですね。

モモコグミカンパニー:クライマックスはできていて、物語の中ほどを結構膨らませた感じなので、最初とか最後とかはそのままなんです。

――物語の中盤というのは、リリアと友美のやり取りとか、その辺ですか?

モモコグミカンパニー:その辺とか、圭とかが登場する、事件性をはらんでいる感じのパートとか。

――サスペンスっぽい感じのところですよね。

モモコグミカンパニー:そうです。そこら辺は、結構膨らませた部分があると思います。

――なるほど。圭も結構怖い登場人物ですよね。

モモコグミカンパニー:怖いですね(笑)。

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