酒井若菜、芸歴30年の本音と25歳休業後に掴んだ“助演哲学”とはー13年ぶり写真集は「10~20年後に愛おしくなる作品」
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
20代へ「大人の圧力に負けず頑張りなさい!」

――それは辛いですね……。
酒井:でもね、その撮影期間だった3カ月間が私の人生を変えたんです。
撮影の合間、キャストは楽屋で休憩しますが、私はキャバクラのセット内でエキストラの女の子たちと一緒に待機しました。そこでそれぞれの出身や年齢、実は彼氏と何カ月前に別れていて……といったパーソナルな情報を細かく聞き出していったんですよ。
――どういうことですか?
酒井:エキストラは基本的に決められたセリフがないので、アドリブで話すんです。
そこで「◯◯ちゃんさ、この前行った練馬の映画館でさ……」と休憩時間に聞いたばかりのリアルなその子の話をふる。すると自然に生き生きとしたアドリブの演技が生まれるんですよ。
――なるほど。そこで現場に変化が?
酒井:3カ月間それを続けたら、みんなが「演技って楽しい!」と言い出したんですね。自分のアドバイスから役者に興味を持つ彼女たちを見て、逆に私も「自分の役割はこれかもしれない」と気づいたんです。
それが私の「助演として生きていきたい」と心が決まった瞬間でした。相手の演技を引き出す。相手を盛り立てる。その気持ちは当時から今も変わっていません。
俳優としてだけではなく、作家業にしても、YouTubeにしても、主人公に向けて何かをするのが向いているようです。
――先ほどの『ぴこぴこ。』についての発言もそういう背景からでしたか。
酒井:そうなんです。私のなかではお客さんが主人公ですからね。
「グラビアを期待してる人は買わないほうがいいですよ」とか「100%満足していないです」なんて、ビジネス的には悪手じゃないですか。でもお客さんの気持ちのほうが、私にとっては優先順位が高いんです。「買ってもらったもん勝ち」という感性が私にはないんです。

――「smart Web」の読者は20代男性が多いです。最後に彼らにアドバイスをお願いできますか?
酒井:今の20代の男の子たちは、私たち40代と似たような古風な考えをしていたり、年上を立てる文化があったり、「仕事を頑張りたい」などの目標を持つ様子が見えて、話が合うんですよ。個人的に好きな世代。
それから見習うべき大人と見習ってはいけない大人をよく見分けていると思いますね。頼もしい限りです。
――もう酒井さんのグラビア時代を知らない世代ですよね。
酒井:そうだと思います。でも一方で『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』といったドラマを当然に知っているんですよ。そして、その作品をおもしろいと思うようですから、感性が近いと思う。
だから彼らには「大人の圧力に負けないで頑張りなさい!」と言いたい。この世代が社会を引っ張っていく立場になったときが楽しみです。めちゃくちゃ期待してます。

Profile/酒井若菜(さかい・わかな)
栃木県出身。’96年、芸能界デビュー。『FRIDAY』をはじめ多くの雑誌で表紙を飾り人気を博したのち、『池袋ウエストゲートパーク』、『木更津キャッツアイ』などのTVドラマ出演を機に俳優としての存在感を高める。’08年、初めての自著となる小説を発表後、エッセイ本の刊行、文学誌への寄稿など作家としての活躍も注目されている。
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写真=西村満
取材&文=小池直也
スタイリング:中西雛乃
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この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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