もうアイドルの生駒里奈じゃない。「全部経験してよかったことにしてあげる」芸能活動15周年&30歳を記念したラスト写真集に込めた決意と感謝
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
俳優としてやっていく覚悟が決まった瞬間

――撮影中のエピソードはありますか?
生駒:2泊3日のロケ中は一度も雨が降らなくて、撮影から3日後くらいに梅雨入りしたんです。あれはラッキーでしたね。あと蚊に刺されると化膿するタイプなんですよ。だから蚊取り線香をずっと焚いていたんですけど、おかげで一度も刺されなかったです。
ご飯もすごく美味しかったんですよ。胃下垂なので、お腹を出す衣装がなくて本当に助かりました(笑)。なんだか遊びに行ったみたいな感じ。
――撮影のために体を鍛えたり、ジムに通ったりは?
生駒:特にしていません。髪型も今と違ってパーマをかけてますけど、特にこだわりはなくて。写真集のためというより、そのときの等身大でいいかなという気持ちでした。体がきれいな方は鍛えて見せる美しさもあると思うんですけど、私はこういう魅力だと考えて撮影に臨んでいます。
――最後のエッセイもかなり濃い内容で、俳優業と出会ってから生きやすくなったことがよく伝わってきます。特に「俳優業は盾であり剣なんです」という一節が刺さりました。
生駒:2024年に朗読劇『青野くんに触りたいから死にたい』で演出家・田邊俊喜さんに出会ったのがターニングポイントでした。「俳優業をやってきたけど自信もないし、上手くなれない。でも芸能界以外でどう食べていけばいいんだろう?」と絶望していた時期ですね。
最後の悪あがきとして、技術を上げる修行みたいに年間5本くらい朗読劇に出演した年があり、そこでとしさんに出会いました。こんなに情熱を持って自分に向き合ってくれる人がいるんだと思った瞬間、嬉しくて芝居が上手くなったんです。
共演した俳優さんや声優さんに「あなたには魅力があるから、そんなに嘆かなくても大丈夫、切磋琢磨して頑張ろう」と言ってもらえる仲間にも出会えて、この世界で頑張っていく覚悟が決まった機会でした。

――生駒さんが、演技で一番大切にしていることは?
生駒:「側でやらない」はモットーにしています。もちろん演技自体は嘘なんですけど、せめて舞台に立っている瞬間だけは役として生きていたい。それを私はすごく大事にしています。だからこそエッセイにも書いた通り、そうじゃない瞬間がもっと怖くなってしまったんですね。
自己催眠かもしれませんが、役でいることが救いになっていて、自分自身を見られることに、むしろ恐怖を覚えてしまうんです。今は俳優として生きていきたいなと。だからファンのみなさんは、たまに開催するイベントやファンミーティングで素の生駒ちゃんを堪能してくださいね(笑)。
――僕は9年前、乃木坂46の舞台ゲネプロを一記者として取材していたんです。当時の生駒さんは明るくリップサービスを振る舞っていましたが、今日の『ルリカケス』発売にあたっての記者会見では「自分の意見を持った強い人」という印象を持ちました。
生駒:コロナ禍以降、世の中の考え方が変わった気がしていますが、もともと私はそういうタイプの考えだったんです。自分の見た目や「どういう写真集なら日本で売れるか」みたいな、なんてことないことに生きづらさを感じていました。
それが今の時代になって、同じ考えの人が周りに増えて、友達になってくれたりして。やっと生きやすくなったんです。「気にしなきゃいけない」「変えなきゃいけない」と考えていた部分も、変えなくていいんだと思えた。それが、ある意味「強さ」に見えるようになったのかな。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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