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山谷花純“念願の”恋愛ドラマヒロインへの想いと、心温まる“愛猫との暮らし”

 ドラマ、映画を中心に活躍する演技派若手女優・山谷花純さんが、念願だったという恋愛ドラマのヒロインを好演中。作品の見どころから私生活についてまで、2022年大ブレイク必至の彼女に直撃しました。

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山谷花純インタビュー

衣装はすべてスタイリスト私物

初めてのヒロイン役は
殺人犯を愛する女性でした

――ドラマ『私の正しいお兄ちゃん』でヒロインを演じた山谷さん。今まで主人公の恋を邪魔する役が多く、ずっと恋愛ドラマのヒロインに憧れていたそうですが、今回、その念願が叶いました。今のお気持ちは?

「ずっと目標にしてきたことが一つ叶ったという思いでとても嬉しかったです」

――恋愛ドラマですが「好きになった人が殺人犯かもしれない」という、かなりハードな内容ですよね?

「王道のラブストーリーとは違い、様々な枷(かせ)のある作品です。ただ、原作を読んだときに、二人の過去をはじめ、ストーリーの中にたくさんのドラマがあって、そこに女子がキュンキュンする部分が凝縮されているなって思ったんです。恋って障害があるほうが盛り上がるじゃないですか?一話ずつでストーリーがまとまっているので、普段忙しくてドラマを見られない方も気軽に見ていただける作品になっていると思います。この作品をきっかけに、原作のコミックも読んでいただいたりして、この作品の世界観をじっくり味わっていただけたらいいなと思っています」

――山谷さんがヒロインの理世を演じる上でこだわった部分はありますか?

「私の顔の作りがけっこう強めなので(笑)、普段はそれが自分の武器だと思っているんですが、今回は理世というキャラクターに合わせて、表情や話し方など細かい部分で柔らかい雰囲気を出せるように心がけました。

――メイクを変えたりもしたのでしょうか?

「映画やドラマのメイクは基本、プロの方におまかせしています。自分の希望を伝えてしまうと自分の好きな顔になってしまうなど、ほかの出演者の方とのバランスが取れなくなることもあるので、第三者的なフィルターを通してメイクをしてもらうようにしています。特に原作がある作品に関しては、客観的な視点で、原作のキャラクターに近づけてもらうことも大切にしています」

――撮影中、印象に残ったことはありますか?

「真夏に撮影をしていたんですが、作品が冬の設定だったのでとても暑かったのが印象に残っています。撮影期間が短かったこともあって、海利を演じた古川(雄大)さんとは顔合わせもなく撮影初日に“はじめまして”の状態でした。だからこそ、作品の中の海利と理世みたいに、撮影をしていくうちに少しずつ信頼関係が生まれて、距離感を近づけていくことができたんじゃないかなと思います」

――古川雄大さんはどんな方でしたか?

「古川さんはふんわりした方でしたね。私も古川さんもはしゃいだり盛り上がったりするタイプではないので、現場では世間話をする程度でした(笑)。お互いマイペースというのもあって、変に気遣いをすることもなくいい距離感だったと思います。ただ、古川さんは天然なところもあるので、古川さんの行動を目で追いながら、私が一人で笑っているということも多かった気がします(笑)」

――古川さんも切れ長のすっきりした美形タイプなので、天然というのが意外です!

「そうですね。古川さんも私も、見た目だけだと強めな印象があると思うんですが、いざ喋ってみると、抜けている部分があったりして、そのギャップも私と似ているなと思いました(笑)」

――こうしてお話をお伺いしていると、山谷さんはとても柔らかな印象です。今まで演じてきた役は、見た目に合った強い性格の役が多かったと思うのですが、ご自身の中で、自分の性格とはかけ離れた役を演じることへの葛藤はありませんでしたか?

「普段、人をいじめたことはないですしね(笑)。ただ、強い役って普段の生活に不満を持っていたり、何かされたことに対してやり返したいという負けん気の強さを表現することだと思うんです。そういった日々の生活の中で溜まっていった気持ちを表現するという部分では、私も共感できる部分はあるので、その役に寄り添う気持ちで演じています」

――悪く見える役だったとしても、役を演じるにあたって共感できる部分を探すということですか?

「人殺しとかは、さすがに共感できませんが。ただ、人に対して強く当たってしまうには何かしら理由があると思うんです。相手には伝わらないけど、本人にはそうせざるを得なかった理由があると思うので、作品の中で悪く見える役を演じるときは『結果、いい子だったよね』って嫌いになりきれない印象を残せたらいいなと思いながら演じています。もちろん、役によっては少しもいい部分がないということもありますけどね。なんでこんなに人を傷つける言葉を使うんだろうとか、セリフを言うときはその背景にある理由を探しています。それは悪役だけでなく、すべての役に対して、台本の言葉だけを受け入れるのではなく、自分なりに裏側を想像しながら役作りをしています。それぞれの作品の中で、その役を演じられるのは私だけ。そういう責任を感じながらお芝居をすることをいつも心がけています」

山谷花純インタビュー

今までと同じように
目の前にある仕事を大切に

――TVドラマだけでなく、映画や舞台でも活躍している山谷さんですが、それぞれに対してどのような思いを持っていますか?

「どれもそれぞれ魅力があって大好きです。その中でも私は映画が大好きで、映画を見るのも現場に入らせていただくのもどちらも大好きなんです。経験させていただいた数が少ない舞台はまだまだ勉強中。やりたいことはたくさんあるのに、うまくできないことが歯がゆいんです。映像と舞台は演じ方も違うので、まだまだ舞台の演じ方が私の体に染み込んでいないんだなと思います。(吉田)鋼太郎さんからは『自分でフォーカスを合わせろ』とアドバイスをいただいたんですが、まだそこには追いついていけていなくて。舞台に入らせていただくたびに、少しずつ前には進めているとは思うんですが、いつか舞台をメインでお芝居をしている方と対等にお芝居ができるようになるのが今の私の目標です」

――先輩からのアドバイスも大切にしているんですね。

「いろいろな現場で、一歩ずつ積み重ねてきたからこそ、今回のヒロインのような役をもらえたと思っているので、これからも今までと同じように目の前にあるお仕事を大切にしていくという気持ちは変えずに進んでいきたいなと思っています」

――ちなみに今回は雑誌smartの取材ということで、出版業界の役を演じた経験についても伺いたいのですが……。

「以前、『ファーストクラス』というドラマでアパレルブランドのインターン役を演じさせていただいたことがあって、ファッションショーの裏方なども経験しました。すごくバタバタしていたし、現場の機材や小道具が、今まで見たことのないものばかりだったのが印象に残っています。ただ、ファッションとかに関わる役を演じるときは衣装がお洒落なのですごく嬉しいです(笑)。『ファーストクラス』の現場にもハイブランドの衣装がたくさん並んでいたので、現場にいるだけでウインドウショッピングをしている気分でした」

山谷花純インタビュー

私の一番のファンでいてくれる
家族の存在が私の背中を押してくれる

――作品が世に出たときにエゴサーチすることはありますか?

「自分ではしないですけど、母がよくしています(笑)。『悪口を書かれていて腹が立つ』とか、私に言わなければいいのに伝えてくるので困っています(笑)」

――お母様は、良き理解者なんですね。

「私がこの仕事を始めて一番最初にできたファンが家族だと思っています。母は肯定してくれることが多いけど、3歳下の妹は母とは違って、良きアドバイスをくれる存在。ダメ出しをされることもあります。姉妹だからこそのストレートな言葉で伝えてくれるので、褒められたときはとても嬉しいです」

――お母様とはどんな関係ですか?

「母は、私と妹の服を着ることもあって、3人で洋服の貸し借りをしています。今、45歳なんですが、これからも私たちの服が着られるように頑張りたいって言っています(笑)。普段、一緒に歩いていても『姉妹ですか?』なんて声をかけられて母は喜んでいますが、私からしたらちょっとイヤ(笑)。結構、歳は離れているのになって」

――今回、ヒロイン役が決まってお母様も喜ばれたのでは?

「私がこの仕事を始めて13年目なんですが、子役の頃はおばあちゃんがマネージャーをしてくれた時期もあって、家族がずっと一番近い距離で見守ってくれた存在だったので、『花純の出演シーンがいっぱいあって嬉しかったよ』と連絡をくれたときは、グッと来るものがありましたね。多くの言葉ではなかったですが、母の言葉が自信にもつながったし、もっと頑張ろうという新しい目標の後押しをしてくれました」

山谷花純インタビュー

猫を飼い始めてから
『雰囲気が柔らかくなった』

――プライベートでは、現在猫ちゃんと暮らしているそうですね?

「ミヌエットという猫種の3歳のオス猫と暮らしています。3年前に『コード・ブルー』という作品が終わった頃、自分の中で周りの環境を変えようと思っていたんです。仕事を頑張る励みとしても、人として愛情をかけられる存在がほしいなと考えたときに、猫を飼いたいなと思って。ただ、最初は一人で育てられるか不安だったので母と妹と暮らしているうちであれば、家族にも助けてもらえると思ったので、そのタイミングで」

――ご家族も猫好きなんですね。

「実は、母は猫が苦手だったんです。でも猫を飼いたいという私の気持ちを尊重してくれて、ペットショップにも猫を見に行ったりしてくれていて、そこで『かわいい猫がいるよ』と母が写真を送ってくれたのが、今の子。次の日に母と見に行って“うちの子”になりました。それからしばらくして一人暮らしを始めたので、今は一人で猫の面倒を見ています。小さな命を預かるということは責任も重大ですが、幸せもいっぱいあって。猫を飼ってから『なんか優しくなったね』とか『雰囲気が柔らかくなったね』と声をかけられることも多くて、私自身にもいい変化があったのかなと思います」

――役作りのために現在、金髪にしている山谷さん。金髪には慣れましたか?

「金髪にしてから1カ月位経つんですが、なかなか慣れないですね(笑)。ただ、髪の色を変えたことが役に入るスイッチになっているんです。なので、鏡を見ればいつでも役にすっと入れる切り替えになっています。髪が痛んで絡まりやすくなるので、いつも以上にヘアケアには気を使っているんですが、そういうのもなんか新鮮で楽しいです。また、役作りのために絵の勉強もしているんです。元々、絵は不得意なんですけど(笑)。台本をいただいたときに、まずいなと思ったんですが、向き合ってみると意外とできました(笑)。コツがあって、上手に描くコツは光と影を使い分けることで、立体感を出すことにあるみたいです。あと、絵を描いているときって、その作業だけに集中できるので無心になれるのがいいストレス発散になっています。『大人の塗り絵』が流行っているのも、同じ理由なんでしょうね。最近は絵がちょっとうまくかけたなと思ったら、すぐに写真に撮って友達に送ったりしてモチベーションを上げています(笑)」

――映画は見るのも好きだそうですが、最近観て印象に残っている作品は?

「石井裕也監督の『生きちゃった』という作品。本音を言えず涙も流せない主人公が、大切なものの守り方を全部間違えてしまったことでストーリーが展開していくんですが、その主人公を支える親友と、大切にしてほしかった女性との三角関係だったりが、すごくいいコントラストで描かれていて。誰もが経験したことのある痛みがそこにあって、言葉にして気持ちを伝えることは大切なんだけど、ものすごいエネルギーの要ることで、伝え方を間違うと思いもよらぬ方向に進んでしまうということも改めて感じたし、その上で一体何が正解なんだろうっていうのも自分自身に問いかけるきっかけにもなりました。大切なものがあるけど、どう大切にしていいのかわからない人にぜひ見ていただきたい作品だなと思います」

――最近読んだ本は?

「時間があるときに集中して読むことが多いんですが、最近はなかなか読めてなくて。私、台本以外の本は、無音の空間じゃないと読めないのでカフェとか撮影の合間にさらっと読むことができないんです」

――台本とどういう部分が違うのでしょうか?

「小説だと、主人公目線で想像を膨らませながら読むけど、台本だと、物語全体の流れと自分の役の立ち位置との距離感だったりを図りながら読むので、客観的な目線で読んでいるんですよね。だから余計に小説を読むときはその世界観の中にどっぷり入り込める環境で読みたいんだと思います」

2022年はみやぎ絆大使として
地元・宮城県の魅力を広めたい!

――12月26日が誕生日の山谷さん。2022年の抱負を教えて下さい。

「車の運転ができるようになりたいです。免許は持っているんですが、ペーパードライバーなので、改めて練習して東京でも乗れるようになりたい、と毎年のように言っているのですがなかなか叶わず(笑)。地元の仙台では運転をしていたんです。地方は道が広いですが、東京は狭いので怖いんですよね。まずは地元で練習し直すために仙台に帰ろうと思います」

――地元にはなかなか戻れていないんですか?

「家族が東京に引っ越しているので、仙台にはなかなか戻りづらくて。先週は仕事で宮城県にいたんですが、ずっとホテル生活。お墓参りには行けたんですけどね。ただ、久しぶりに地元に行ったら街がどんどんアップデートされていて地元感が薄れていて。これは毎年帰らないと、置いていかれちゃうぞ、って危機感を覚えました(笑)。みやぎ絆大使も拝命していただいているので、その役割を全うしないと(笑)。拝命された時期がコロナ禍だったので、東京での活動はあったんですが宮城に行っての活動はできていないので、ぜひ足を運んで、地元に貢献できたらいいなと思います。来年は猫を連れて仙台に帰りたいですね」

――宮城県の魅力をズバリ、プレゼンしていただきたいです。

「お年寄りに優しいところです。これって“東北あるある”なのかな? お年寄りも皆さんアクティブですしね。東京って中心に行けば行くほど若者ばかりですけど、東北はその地域を支えてきたご年配の方が今も現役でバリバリ動いているイメージ。ネットの普及などで地方ならではのよさってどんどん薄れてきつつあるんですが、ご年配の方々が元気だからこそ、その地域ならではの魅力や風習を今に伝えてくれていて、若い世代もそれを大切にしている。これからも、そういった地方ならではの魅力を受け継いでいきたいなと思っています。あとは、『杜の都・仙台』と呼ばれているだけあって自然が豊か。緑も多くて海もあって。高校まで仙台で過ごせたのはとても大切な宝物です。今、地方から東京に仕事で通う方も増えているので、将来そういう生活もありかなと思っています。新幹線だったら東京まで1時間半ですからね。来年は自分の身の回りのこともいろいろ考えていきたいなと思っています。まずは自分の原点である地元に足を運ぶことから始めようと思います!」

(了)

山谷花純 私の正しいお兄ちゃん

©︎モリエサトシ・講談社/フジテレビジョン

Information
FODオリジナルドラマ
私の正しいお兄ちゃん
全8話絶賛配信中!
『BE LOVE』(講談社)にて連載されたモリエサトシによる同名漫画が原作のジェットコースター・クライム・サスペンス&ラブドラマ。大学生の理世(山谷花純)がアルバイト先で、両親の離婚のため生き別れになった兄に似た面影を持つ海利(古川雄大)という青年に出会う。眠れないという海利に肩を貸すうちに理世は海利に惹かれていくが、あるきっかけで海利は殺人犯なのではないかという疑惑が浮上する……。
2022年1月10日(月・祝)25時05分よりフジテレビ(関東ローカル)でも放送スタート。毎週月曜日24:25〜24:55放送予定
Cast/古川雄大、山谷花純、堀井新太、ダンディ坂野、喜多乃 愛、佐津川愛美、橋本マナミほか

Profile/山谷花純
やまや・かすみ●1996年12月26日生まれ、宮城県仙台市出身。みやぎ絆大使。2007年にエイベックス主催のオーディションに合格し、翌年ドラマ『CHANGE』でデビュー。その後、連続テレビ小説『あまちゃん』などに出演。2021年は舞台『終わりよければすべてよし』、ドラマ『遺留捜査』第6シーズンや『アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜』などに出演。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』でマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。
山谷花純公式Instagram
山谷花純公式Twitter

Photography_SATOSHI OMURA
Styling_MISAKI TAKAHASHI
Interview & Text_REMI SATO
Edit_YOHEI KUMAGAI

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