「バディカ中野優作のクルマ愛は“だれかのため”にある」中古車カスタム、洗車場、自動車メーカー…クルマにまつわる胸躍る未来図を語るスタイリスト服部昌孝のマシン沼。VOL.9「服部昌孝とBUDDICA中野優作とマシン沼。」
エンタメ全開!この先、中野優作がやりたいこと
中野 これまで中古車の話をしてきて、事業として今まで以上に業績を伸ばすことが絶対的な使命ですが、最終的には新車を扱えるメーカーになりたくて。電気自動車の世界ならすでに参入しているベンチャー企業もあるので、パートナーとなる相手を探すことで可能性はあると思っています。現代のクルマ産業の中で、新車の大半はスマート思考なモノ作りがベースになっていますよね。
服部 たしかに現行車には“あえてこれを出したか”みたいな空気をそこまで感じないですね。
中野 「新車を作らず、愛車を作ろう」がバディカの使命なので、クルマを無駄に増やすような真似は当然しませんが、それこそテスラのサイバートラックなど、おもちゃの世界から飛び出してきたようなクルマを限定で製造・販売するのはアリな気がしています。あとは海外で需要が高いオタクカルチャーの熱狂に向けて、日本のアニメをモチーフにしたクルマを仕掛けたら面白いのかもしれません。そういったチャレンジは今後実現できればと考えています。
服部 中古車カスタムや洗車場、自動車メーカー……、やりたいことは尽きませんね。
中野 ガラス張りできれいな照明を設置した工場を作って、中古車のレストア工程や車の整備工程を一般の人でも見えるようにするのはどうかな、とか。いつでも見に行ける環境があれば、好きな人ならきっと行きたくなりますよね。その横に洗車場や、ちょっと一息つけるカフェがあるようなイメージです。アイディアを考えるのが好きなので、やってみたいことはたくさんあります。
服部 なるほど、面白い!中古車を販売している人のなかには整備やレストア工程をオープンにしている人もいると思うけど、基本はすでに直してあるものを買うか、現状引き渡しのパターンが多いから、そういった裏側を表に出すことで信用につながるのか。
中野 はい。常に10台くらいレストアしている車があるけど、値段はすべて非公開。それを見に来た人たちは「このクルマはいくらで販売されるんだろう」や「買いたいけど予約はいつからだろう」など、これまでの中古車販売とは違った新しいコミュニケーションが生まれていくことにも期待できます。その前段階でもありますが、石川さんにデザインをお願いして作業用のツナギを作っているんです。バディカのイメージカラーを使った、オレンジ色のかっこいいやつを。
服部 それを見たら自分もやりたいって人が増えそう。
中野 そうなればなお嬉しいですよね。ところで服部さんは、日本全国の自動車整備工場数と整備に従事する人がどれくらいいるかご存知ですか?
服部 想像がつかないけど、どれくらいなんですか?
中野 整備工場は9万件以上、整備士を含めそこで働く人は50万人以上、整備工場数は全国のコンビニ数の1.5倍近くあると言われています。それにも関わらず整備士はとても裏方的な職業で、普段クルマに乗っている人でも彼らが実際にどんな作業をしているのか目にする機会はほとんどありません。きっとそのなかには、自らが表に出ることに興味がある整備士もいると思うんです。
服部 バイクでいう花形ビルダー、みたいな。
中野 そうです。バイク以外でもキャンピングカーなど限定的なビルダーはすでに存在するんですが、クルマの花形整備士となるとあまりいません。なので今後スターが誕生していくことで、業界をさらに盛り上げることができると思っています。
服部 めっちゃタメになる話で聞いていて楽しいな。全然マシンについて話してないけど満足です(笑)。まだまだ先ですけど、俺はハリウッドのような映画村を作りたいので頑張ります。
中野 すごく面白そう!絶対に実現させましょう。今日は楽しい時間をありがとうございました。
Profile/中野優作
なかの・ゆうさく●1982年生まれ。香川県さぬき市出身。16歳で高校を中退し土木作業員へ。年商500億円規模の中古車屋の社長を経て、株式会社BUDDICAを2017年に創業。「新車を作らず、愛車を作ろう」をミッションとし、中古車販売を全国規模で展開。webやLINEのやり取りだけで中古車販売を展開する、BUDDICA • DIRECT株式会社を2024年創業。著書『クラクションを鳴らせ!』(幻冬舎)。YouTubeチャンネル『中野優作 / 人生に愛車を。』にて、中古車にまつわるさまざまな情報を発信中。
Profile/服部昌孝
はっとり・まさたか●1985年、静岡県浜松市生まれ。2012年に独立。人気アーティストや有名俳優のスタイリングをはじめ、エディトリアルディレクションやテレビCM、ミュージックビデオ制作など多岐に渡り活動を展開。2020年に制作プロダクション「株式会社服部プロ」を発足。2024年秋冬シーズンからモーターサイクルカルチャーを軸にしたブランド「SHIDEN(紫電)」のディレクターとして始動。
服部昌孝インスタグラム:@masataka_hattori
服部のマシン愛インスタグラム:@hattori__motor_machine
SHIDENインスタグラム:@shiden_beyond_the_speed
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企画・インタビュアー=服部昌孝
写真=宇佐美直人
構成・文=本田圭佑
編集=熊谷洋平
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