サングラスをかけて近未来へ!? 初めての映像体験を叶えるARグラス「Nreal Air」。
執筆者: フォトグラファー/田中利幸
伊藤計劃(けいかく)さんの著書「ハーモニー」の中では、装着したコンタクトレンズを通して、視界内にAR(拡張現実)として様々な情報が表示される描写があります。他にもSF作品などには、現実空間内に情報が表示されるようなものが多数あります。昔からそういったSF作品での描写が好きで、そんな未来がいつ来るのかとワクワクしていました。技術の進歩により、そんな未来がだんだんと現実になってきたように感じます。連載「色々使ってみなくちゃ気が済まない フォトグラファー田中利幸のガジェット“ガチ”レビュー」の第14回は、そんな近未来感をお手軽に体験できる、サングラス型のデバイス「Nreal Air」をご紹介します。
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今回紹介するアイテム
Nreal Air
¥45,980
サングラス型のデバイス本体
使用時のサイズは148mm × 52mm × 159mmで、サイズ感的には一般的なメガネやサングラスとそこまで変わりません。レンズ部分は半透明になっていて、その奥に見える部分が映像が映し出されるスクリーンです。
Nreal Air本体は実測で81gです(公式ではノーズパッドなしの重量で79gです)。筆者が普段着用しているメガネが26gだったので、それに比べると重いですが、装着して2、3時間使用してみたところ、やや重さは感じるもののそこまでの不快感はありません。
ツルの部分の左右にスピーカーが内蔵されています。開放型なので、あまり音量を上げすぎると周囲に音漏れしてしまいますが、装着して普通に聞こえる音量で使用している分には、かなり近づかないと気になるほどの音漏れはないので、実用上は問題なさそうです。
ツルの右側部分には、スクリーンのオンオフ、画面輝度の調整用の物理ボタンが配置されています。
装着感を調整するための交換用のノーズパッドや、視力調整用のレンズフレームなども用意されています。
専用のセミハードケースが付属しています。こちらのケースには、Nreal Air本体と接続用のUSBケーブルを収めることが可能です。
ケースにNreal Air本体を入れたときの重量は、実測で約200gと軽量で、ケース自体も普通のサングラスケースを一回り大きくしたくらいのサイズ感なので、持ち運びのときにも邪魔にならずに、手軽に外に持ち出して使用できそうです。
USBケーブル一本でデバイスと接続し、すぐに使用可能
付属のUSB-CケーブルはNreal Air本体のツルと接続します。ケーブルの端はグラスをかけたときに耳に沿うようにカーブした作りです。
このケーブルを接続したいデバイスに繋ぐことで、使用することができます。Nreal Air本体にはバッテリーが内蔵されていないので、バッテリーは接続したデバイスから取ることになります。使用するデバイスのバッテリー容量や、使用状況にもよりますが、最大で5時間のビデオストリーミングが可能とのことなので、映画や長時間の動画視聴にも問題なく使用できそうです。
USB-C端子のない、iPhoneやゲーム機などと接続する場合はこのケーブル一本というわけにはいかず、別売のアダプターが必要になります。
Nreal Adapter/NR-7100AGL ¥8,980
アダプターにはNreal Air本体を動かすためのバッテリーが内蔵されており、緑色のランプでバッテリー残量が確認できます。ストリーミング再生時で約3時間の使用が可能とのことです。
HDMI端子での外部出力が可能なゲーム機などは、アダプターにHDMI端子を接続することで、Nreal Airに画面を出力可能です。
アダプターのHDMI端子接続部分は取り外すことが可能で、Lightning端子のiPhoneなどに接続する際にはこの部分にApple社純正の「Lightning Digital AV Adapter」(別売)を接続する必要があります。アダプターは、アップル社のものと近いデザイと質感となっており、接続したときも違和感がなく純正品のような馴染み具合です。
実際に試してみると今までにない映像体験が
スマートフォンに接続し、Nreal Airを試してみます。まず、映像の綺麗さにビックリしました。Nreal Airの映像は最大輝度400nits、コントラスト比が100000:1と高いので周囲が明るい環境でも、ハッキリと画面が見えます。sRGB色域のカバー率も108%あるため、表示する映像の色も綺麗です。
NebulaというNrealのARグラス専用アプリ(iOS非対応)を起動すると、専用のARアプリによって現実と仮想が融合した新体験を楽しむことができます。他にも専用の3D空間上でWEBページやアプリを複数画面で同時に表示させたりする「AR Space」。スマートフォンの画面をミラーリングしてNreal Airの大画面で動画などを楽しむことができる「Air Casting」などが使用できます。
操作はスマートフォンをリモコンのようにして使用するのですが、操作性に関してはあまり良いとは言えません。Air Castingモードで動画視聴などをする分には一度再生してしまえば、操作する必要は殆どないので気になりませんが、ブラウジングのときにはやや気になります。
Nintendo Switchも試してみました。アダプター経由でHDMIケーブルで接続することで、すぐにNreal Airにゲーム画面が表示されます。Nreal Airを装着してのゲームプレイは没入感が高く、部屋の広さなどに依存せず、大画面でゲームを楽しむことができます。Nreal Airを使うことで、移動中や屋外でも今までにない映像体験が楽しめます。
ただ、Nreal Airはサングラスに近いデザインではありますが、ディスプレイ部分などがあるので、装着時に厚みが結構目立ちます。有線でしかデバイスと接続できないので、耳の後ろの部分からケーブルが出てきている見た目など、気にするほどでは無いかとも思いますが、外出時にカフェや新幹線の中などで使うにはちょっと勇気が必要な外見になってしまうような気もします…
改善点はあるものの一歩先をゆく近未来感にワクワクするARグラス
本体にバッテリーが内蔵されていないので、接続したスマートフォンのバッテリー消費が激しくなってしまうこと。有線での接続なのでケーブルがNreal Airから出ているのが見た目的にちょっと抵抗感がある点。スマートフォンでの操作性にやや難があるなど、細かい気になる点は結構あり、これに関してはこれからのブラッシュアップに期待したいところではあります。けれど、そういった細かい点を抜きにしても、ARグラスによる新しい映像体験はとてもワクワクさせてくれます。これからのAR技術の発展に、冒頭でのSF作品的な世界観が実現されることを期待しつつ、一足早くNreal Airで少し未来の映像体験を楽しむのも良さそうです。
商品に関するお問い合わせ先
日本Nreal https://www.nreal.jp/
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この記事を書いた人
雑誌・WEB など、人物撮影から物撮りまで幅広く活躍中 。高校時代に PC にハマり、独学でプログラミングを学び簡単なゲームなどのプログラミングをしていた。 仕事での撮影や PC 作業など“効率よく快適に”をモットーに、最高に快適な環境を作るべく、機材やガジェットを日夜探し求めている 。趣味で機材・ガジェットなどの買ったものをレビューするブログ「Tanaka Blog」を運営。
Instagram:@toshiyuki_tanaka_photographer
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