寒い日に食べたい本場の“フォー”5選。奥深きベトナム麺料理を徹底レポート
執筆者: エディター・ライター/相馬香織
コロナ禍で制限されていた水際対策が緩和されて以降、海外からの観光客がどんどん来日中!日本からも海外に旅立つ人が増えていますが、円安の影響もあって海外旅行を躊躇(ちゅうちょ)している人も多いですよね。そんなときにおすすめの旅行先が東南アジア。中でもベトナムは、今はまだ物価が安いうえに比較的治安もよく、日本人の口にも合う食べ物も多いのでおすすめの国の一つです。ベトナムの料理といえば、もっとも有名なのが「フォー」。しかしベトナムの麺料理は「フォー」以外にもたくさんあるってご存知ですか?本記事ではそんなベトナムの麺料理にフォーカス。奥深いベトナム麺料理の世界を紹介します。
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ベトナムってどんな国?
東南アジアの南シナ海に面した南北に細長い国・ベトナム。正式名称は「ベトナム社会主義共和国」で、その名の通り社会主義の国。東京から直行便で約6時間半の距離に位置し、政治・文化の中心地である首都ハノイや、経済の街でベトナム一の大都市であるホーチミンのほか、世界遺産を有するホイアンやハロン湾、リゾート地のダナンなどが有名です。また、北海道テレビ(HTB)の人気番組『水曜どうでしょう』の「原付ベトナム縦断1800キロ」でも知られるように、道路をとてつもない数のバイクが走行する光景が風物詩となっています。
※今は番組OA当時よりも車の数がかなり増えています
ベトナム麺料理の代名詞
「フォー(Phở)」って一体どんな料理?
ベトナムの麺料理といえば、何を思い浮かべますか?おそらく多くの人が答えるほど、代名詞的存在の麺料理になっているのが「フォー(Phở)」。「フォー」は米粉と水を練って作られる麺で、切り麺のため平べったい形状が特徴。歯ごたえはあまりありませんが、つるっとした食感を楽しむことができます。鶏ガラや牛骨から出汁をとったスープにたっぷりのネギがのっていて、牛肉や鶏肉と食べるのが一般的。北部が発祥と言われているので、ハノイの街ではたくさんの「フォー(Phở)」と書かれた看板を見ることができます。
※ちなみに、「牛肉のフォー」がフォーボー(Phở bò)、「鶏肉のフォー」がフォーガー(Phở gà)と言います
こちらは日本にも進出しているハノイの有名店「フォーティン(Phở Thìn)」のフォー。牛肉もたっぷり入っていますが、肉を覆い隠すほどの大量のネギが特徴です。また、一般的には薄味と言われるフォーですが、フォーティンのフォーはスープにもしっかりと味が染みていて、物足りないなんてことはありません。テーブルにはライムやチリソースなどが置いてあるので、最初から投入してもよし、途中で味変してもよし。お好みの味を楽しむことができます。
さらには、ベトナム風揚げパンの「クワイ(Quảy)」を追加で注文するのがおすすめ。フォーに浸して食べると、パンにフォーのスープが染み込みとっても美味しいです。
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Phở Thìn
住⃝13 P. Lò Đúc, Phạm Đình Hổ, Hai Bà Trưng, Hà Nội
日本人にもベトナム人にも好まれる大人気の米粉麺「ブン(Bún)」
「ブン(Bún)」は、フォーと同じく米粉から作られる麺ですが、押し出し麺のため、平麺ではなく、太麺や細麺など料理に合わせたさまざまな形状のものが作られています。ブンを使った麺料理は非常に多く、有名なところではトマトで作ったスープが特徴の「ブンジウ(Bún riêu)」や中部ダナンで愛される魚の練り物が入った「ブンチャーカー(Bún chả cá)」、魚や海老などを発酵させたソースを使った「ブンマム(Bún mắm)」などがあります。
また、ブンチャーと一緒によく食べられるのが揚げ春巻きの「ネム(Nem)」。
お店によって中身もさまざまですが、ひき肉、野菜、春雨などが入っていて、日本人にも食べやすいベトナム料理の一つです。
ブン料理はとにかく種類がたくさん!
ブンはベトナムでも愛されている麺のひとつで、太さや形状を変えることができるため汎用性が高い麺でもあります。そのため、ブンを使った料理は種類も豊富です。
こちらは「ブンボーナムボー(Bún bò nam bộ)」という汁なし麺。牛肉やモヤシなどの野菜の他に、フライドエシャロット、ナッツなど具材がたっぷりのった麺料理です。
汁なしと言っても麺の底の方に少しだけタレがあって、麺や具をタレに絡めて食べます。ヌクマム、お酢、砂糖をベースにした甘めの味ですが、しっかりとした味付けなので「味が物足りない!」なんてことはありません。お店にはお酢や辛味ソースも置いてあるので、好みの味付けに変化させることもできます。
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Bách Phương Restaurant – Bún Bò Nam Bộ
住⃝73-75 Hàng Điếu, Cửa Đông, Hoàn Kiếm, Hà Nội
「ブンクワイ(Bún quậy)」は南部にあるフーコック島発祥と言われるブンを使った麺料理。
エビをベースにしたスープにイカや魚のすり身が入っていて、これまで紹介したブン料理に比べるとあっさりとした味。濃いめの麺料理に飽きたなという人には、こちらもおすすめです!
南部ホーチミンで愛される「フーティウ(Hủ Tiếu)」
北部発祥と言われるフォーに代わり、南部で愛されている麺が「フーティウ(Hủ Tiếu)」。フォー同様に米粉で作られている麺ですが、乾麺のためコシがあるのが特徴。フォーよりもコシがあり、しっかりとした歯ごたえの食感が楽しめます。
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Hà Ký Mì Gia
住⃝5 Nguyễn Quý Đức, Thảo Điền, Quận 2, Thành phố Hồ Chí Minh
まだまだある!ベトナムの麺をリストアップ
日本人にも馴染みのある代表的なベトナムの麺料理を紹介してきましたが、ベトナムの麺はまだまだたくさんあります。
ミエン(Miến)
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ベトナムの春雨料理。原料には緑豆が使われていて、あっさりとして美味しい。鶏肉と春雨のスープ「ミエンガー(Miến gà)が有名。
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バインカン(Bánh canh)
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タピオカ粉を原料とした太麺。蟹の入ったスープ麺である「バインカンクア(Bánh canh cua)」などが知られている。
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ミー(Mì)
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「ミー(Mì)は、小麦粉に卵を混ぜて作られる中華麺のようなもの。ワンタン麺の「ミーホアンタン(Mì hoành thánh)」や ベトナム風焼きそば「ミーサオ(Mì xào)」は多くのお店で食べることができる。 |
バインダー(Banh Da)
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北部の港町・ハイフォンから全国に広まったと言われるサトウキビを練り込んだ平麺。中でも蟹をベースにしたスープの「バインダークア(Banh Da Cua)」が有名。
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カオラウ(Cao Lau)
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ベトナム中部の街・ホイアン発祥の米粉でできた太麺。豚肉や野菜をのせて食べる麺料理。
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上記もベトナムの麺料理のほんの一部で、まだまだたくさんの種類があります。ベトナムでは朝食に麺料理を食べる人が多く、早朝から開いているお店がたくさん。観光に来たら朝早く起きて、ベトナムの朝食風景を楽しむのもおすすめ。ぜひいろんな麺料理を試してみてください!
写真=小嶋淑子
この記事を書いた人
映画配給会社を経て、出版社で企画立ち上げ、海外取材などを数々こなし編集長に就任。現在はベトナム・ハノイを拠点に、日本、韓国を飛び回りフリーランスの編集者として活動中。趣味はアクセサリー製作。インスタではベトナム情報をメインに発信中。
Instagram:@_kaori.soma
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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