三宅香帆が語る“推し活”の今後――「他人ではなく自分を推せ」という言説の裏側と、“自分の言葉”を持つ本当の意味推し活の未来は『ラヴ上等』?
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
韓国では本をデコる文化がある

――韓国では「テキストヒップ」という、読書を自己表現として楽しむムーブメントがあるそうです。
三宅:ここ数年、韓国だと独立系書店のムーブメントがあるんですよ。やっぱり場所があるのは大きいです。あとシンプルに韓国の本って、物としてもおしゃれだったりしますね。インテリアになる。日本でもそうなってくると嬉しいなと思います。
――三宅さんもブッククラブ「Miyake Book Club」を立ち上げられましたが、これは韓国の動向と連動している?
三宅:新刊イベントをやるとき、大体ネタバレ前提で話すことになるんです。読んできてもらう時間が大変だよなって思っていて。
だったら、みんなでその場で読んで、そのあとに話したほうが、読者さん的にもいいんじゃないかと思って立ち上げました。韓国の事例をいろいろ参考にしたいなと思っています。

――韓国との交流はあったりします?
三宅:交流は全然ないんですけど、自分が韓国語で本を出すと、現地の読者さんもすごく感想をくださるんです。それを見ると嬉しいですね。自分の本を通して、日韓の交流がいろいろな部分で活発になるといいなと思います。今はSNSでも自動翻訳できますし。
あと韓国の読書文化だと本にシールを貼ったりとか、取っ手をつけて持ち歩いたり、刺しゅうしたりするのがSNSで流行ってて。
——本をデコる文化があるんですね。
三宅:そうなんですよ。可愛いなと思うんですけど、日本でそれをやると怒る人がいっぱいいそうだなと思っていて。既存の読書文化とは違うところで、そういう新しいものが生まれてくると嬉しいなと思ったりしますね。表紙にシールを貼るのが一番いいと思うんですけど。
——もし日本の本でデコるとしたら、何をおすすめしますか?
三宅:角川文庫が毎年出している、夏目漱石『こころ』や宮沢賢治『銀河鉄道の夜』みたいなシリーズは、デコり甲斐があるんじゃないかなと思います。最近は可愛いカバーの文庫がいっぱいありますからね。
デコるのがOKになれば、先ほどの「Y2K」のような文脈に乗れる気がするので、そういう従来の読書好きとは違う文脈の上で流行るといいなと思ってます。
――最後に、今書かれている次の本について教えてください。
三宅:新刊『学ぶことが仕事――博士という生き方』が11月4日に発売されます。あとは年明けに『なぜ夫は病院に行かないのか』というタイトルの本も発売される予定です。smart読者の方は、ぜひ「自分も病院に行くっけ?」と考えながら、読んでもらえたら嬉しいです。

Profile/三宅香帆(みやけ・かほ)
1994年高知県生まれ。文芸評論家。京都市立芸術大学非常勤講師。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了(専門は萬葉集)。2017年、大学院時代に『人生を狂わす名著50』を刊行しデビュー。2024年、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で「書店員が選ぶノンフィクション大賞 2024」大賞を、翌年には「新書大賞 2025」大賞を受賞。他の著書に、『娘が母を殺すには?』『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』『考察する若者たち』『文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?』『ニュー日本文学史』など多数。
Instagram:@miyake_kaho
X:@m3_myk
YouTube:@KahoMiyake
■書籍情報
三宅香帆「推したちとどう生きるか」
発売中
https://www.shinchosha.co.jp/book/611129/

三宅香帆『学ぶことが仕事――博士という生き方』
11月4日発売
https://web.sekaishisosha.jp/posts/9895


取材協力/深町遠藤文具&深町珈琲
渋谷の奥のエリア「奥渋」の一番奥にひっそりと佇む文房具屋&カフェが併設された店。昔ながらの文具を観ながら、安価で本格的なコーヒーが楽しめる。
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1丁目43-8
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写真=西村満
インタビュー&文=小池直也
取材協力=深町遠藤文具&深町珈琲
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この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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