「ユーモアとシリアスの二枚看板で勝つ」CyberAgent LegitのリーダーTAKUMIが語る、チームの強さと知られざるプライベートについてレギュラーシーズンは残り1戦
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
もしダンスを職業にする未来がなければ
――ROUNDが終わった後に映像を見直して、誰かがズレているときは指摘しあったり?
TAKUMI:試合後は必ずミーティングをしていて、そのときに話します。今はチーム状況が良好なのでギスギスせず反省ができています。悪い流れができそうになったときに軌道修正できるのも僕たちの強みな気がしますね。
チームの仲もめっちゃいいんですよ。年に何回かみんなでご飯を食べる機会も持っています。勝てなかった時期も一緒に飲み食いしながら議論してきたので、その経験が今に活きてます。
――ネガティブな気持ちを断ち切るときに大事なことは何でしょう。
TAKUMI:反省点から目を背けないことは大事。個人としては理詰めというか、「これはこうだから、ポイントを取られたんだ」と研究します。だから相手チームとの戦いというより、「自分たちが100点の作品を作れるか」が本当の勝負かもしれません。
――リーダーとして心がけていることは?
TAKUMI:口だけではなく、誰よりも頑張る姿を見せること。目に見える形で努力していれば、自然とみんなも信頼して任せてくれるんですよ。難しいときもありますけどね。
あとマイナスだったりネガティブな言葉は伝染するので、チーム全員で気をつけてます。しんどいときに「よし、やるよ!」と盛り上げてくれるムードメイカーはena。いつも助けられてます。
――今シーズンで一番気に入っているショーケースを教えてください。
TAKUMI:うーん……個人的にはFISHさんの作品・ROUND.5『Hit The “KAKKUN”』。僕は真面目に研究して作品を考えるタイプなので、それが精神的に負担になるときもあるんですよ。でもこの作品は表情が明るくなるし、作る段階から踊っていて楽しかったですね。
――TAKUMIさんから見た、ディレクター・FISHBOYさんはどんな人物?
TAKUMI:人格者だと思いますよ。自分ならここまで向き合えるかな、というくらい他人の意見をしっかり聞いてくれるんです。チームとして勝つ流れができているのはFISHさんのおかげだなと。あとはコレオグラファーとして単純に尊敬。
いつも最初にテーマを聞くと、「何言ってるんだ、この人?」と思うんですけどね(笑)。でも最終的に作品としてまとめる力が本当にすごい。全員がディレクターを信頼していますし、いつも完成が楽しみで仕方がないです。
――TAKUMIさんは福島県出身で、東日本大震災を機にダンスを始められたということで。
TAKUMI:シンプルにダンスが好きで、辛い気持ちにならなかったんです。あの大変な時期に熱中したダンスを仕事にできていることがありがたい。だから自分も子どもたちに夢を与えられる存在になりたいですね。
――「Dリーガーになる」という選択肢が、後続の人にとって大きな選択肢のひとつになっていく気がします。
TAKUMI:この場を作ってくださっている、D.LEAGUEの関係者の方々には本当に感謝です。Dリーガーになる前は大学に通いながら活動していましたが、もしダンスを職業にする未来が思い浮かばなかったら趣味にしようと思っていました。このリーグをきっかけに本場のストリートシーンや深い部分にまで興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいです。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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