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「GDCの復活は、自分自身の総括」トップスタイリスト熊谷隆志が伝説のブランドを再始動させる理由

執筆者: smart編集部

日本を代表するスタイリスト・熊谷隆志が伝説のブランドGDCを2025年に復活させる

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日本を代表するトップスタイリスト・熊谷隆志さん。1998年に熊谷さんが20代で始めたブランド「GDC」は、90〜2000年代のストリートファッションの流行の牽引役として瞬(またた)く間に台頭しました。シンプルで機能的なデザインや、独創的なメッセージは熱狂的なファンを生み出し、国内外のストリートカルチャーに多大なる影響を与え続けています。そんな伝説のブランドGDCが2025年に復活するということで、早速熊谷さんに話を伺いました。

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今の20代の子たちの感性が完全に昔の僕と一致している

――なぜ今GDCをあえて再始動しようと思ったのでしょうか。

熊谷隆志(以下、熊谷):昨年、2018年から手がけていたブランドを2025年に卒業することが決まって。次のアクションをどうしようかなって考えたときに、また新しいブランドを立ち上げたとしても同じことの繰り返しだと思ったんです。僕は今54歳なんで、洋服においての人生の最後か、最後から2番目ぐらいのアクションだなと考えたときに、それだったら今までの自分のキャリアの集大成的なことをやったほうがいいかなと考えていたんですよね。

あともう一つ、ちょうど昨今の古着ブームとか、今の20代の子たちの感性が完全に昔の僕と一致しているなっていう感覚があって。今の30代から40代の人たちにはあまり感じなかったんですけど。20代の子たちってやっぱり僕の子どもたちの世代だから。彼らが格好いいと思っているものって、親父が着ていたものとか親父が見ていたものだったりするんです。

それって、まさに僕が見ていたわけじゃないですか。じゃあ当時やっていたことを現代的に解釈して、今やることって面白いのかなと思って。だとしたら、1998年に始まったGDCを再編集するのは、一番面白いプロジェクトになるんじゃないかなって。

――今の若い人の感性に刺激された部分もあるんですね。

熊谷:そうですね。だから今回のGDCはyutori,inc.と一緒にやることにしました。今一番元気が良くて、20代の子たちがたくさんいる会社で、社長の片石(貴展)くんもすごく優秀な方だし。1年くらい彼とご飯を食べに行ったり、いろんな話をして。彼と一緒にやりたいなと。

――それはまた面白い展開になりそうですね。昔のファンだけじゃなく、新しい世代へリーチしていくというか。先ほど古着の話も出ましたが、昨今のヴィンテージブームに対して、ちょっと思うことはあったんですか?

熊谷:いや、めちゃくちゃあります。ちょっと前までは暇さえあればゴルフに行ってたんですけど、今は暇さえあれば若い子たちの古着YouTubeばっかり見ちゃいますね(笑)。

――へえ。古着の買い付け動画のYouTubeとかあるんですね。

熊谷:古着屋さんって、昔は自分たちの買い付けの場所とかそういうネタは絶対教えないから、すごく神秘的な感じだったんですけど、今はもうアメリカのロス(ロスアンゼルス)のこの倉庫に行ってきますとか、どこどこのマーケット行ってきますとか、全部もう赤裸々にYouTubeに出ちゃってて。

だから価値を分かっている人だったら、誰でもビジネスを始められるような感じになってきてる。なんかそういうところもすごく僕には刺さって。当時、僕が買っていたものと目の付けどころとか同じなんだよね。ただ、もちろん値段が僕の買ってた時代より3倍から4倍になってるんですけど。

――そんなに高騰(こうとう)しているんですね。

熊谷:例えばSadeのTシャツとか「それ、オンタイムで持ってたな」みたいなアイテムが、当時は10万円で購入したけど、今だと40万円とかそれくらいの価値になっていて。今だったら確実に100万円以上するようなアイテムもたくさん持っていたんですけど、実は整理して全部捨てちゃったんですよ。またこんなに古着にハマると思わなかったから(苦笑)。久々に残っている古着を倉庫の奥から出したら状態が悪くなっていたり。だから今、買い直したりメンテナンスしています。

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