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45歳地下芸人の帝王、マヂカルラブリーの師匠…名だたる人気芸人が崇めるおじさん芸人、モダンタイムスとしみつ2万字独占インタビュー

執筆者:

「俺たちも出ていいの?」と思えたTHE SECOND

──賞レースとの向き合い方について教えてください。

去年優勝したG-1グランプリはモダンタイムスの活動資金を稼ぐために出た感じなんですけど、キングオブコントとかTHE SECONDとか、もちろんM-1もそうでしたけど、それらは芸人として出ておかなきゃいけないみたいなところがあって。

M-1は3回戦が限界で、ちょっと無理だな、ムズいなと感じてました。出場してた時期の俺らはちょうど本物の地下芸人時代というか、一番良くない時期だったんで。誰も興味がないときの俺らは、ちょっとどうにもならなかったんじゃねえかなっていう気はしますね。

でも、キングオブコントとTHE SECONDは、ちょっとゴールが見えるんで頑張れてる感じです。芸歴制限もないですし、何となくやればいいことはわかってる。あとはもうお客さんに喜んでもらえるか、審査員がどう思うかだけ。

M-1は、お客さんも俺たちを望んでないのかなって思ってたんですけど、THE SECONDは「え? 俺たちも出ていいの? 漫才やっていいの?」って感じです。

smart Webの2万字独占インタビューに応じた「地下芸人の帝王」「マヂカルラブリーの師匠」という肩書きを持つモダンタイムスのとしみつ

──では、今のところ優勝するまで毎年エントリーする予定でしょうか?

もちろん出るんですけど、毎年M-1ファイナリストのラストイヤー組が流れてくるじゃないですか。例えば今回でいうとヘンダーソンが出てきたりとか。今が旬で、お客さんも求めてる現役バリバリの人たちに勝てるわけないじゃんっていうのが僕の中にあって。

──シンプルにおもしろさだけで見てもそうですか?

はい、全部加味してです。ノってるものってあるじゃないですか。お客さんも求めてて、まさに今推してる。東野さんの言葉を借りれば、ノスタルジー組と現役の子たち。その温度差って勝てなくないか?って。

──でも、勝てなきゃファイナリストになれない。

なんとなく、THE SECONDってちょっとお祭りみたいなとこもあって、32組とかは残れそうな気はするんですけど、あとはもうお客さんが選ぶだけなんで。

──THE SECONDの審査方法は、質にも制度にも定評がありますよね。

僕らはもともとお客様審査が得意じゃないので、お客様投票で何かに勝ったことがないんです。まあ、俺がもしお客さんだとしても入れないでもすん、俺らに(笑)。やっぱりどうしたって見た目でも見るだろうし、ネタの内容、性格とかも加味した上で、平場でも客に悪口言ってるような奴に票を入れたくないじゃないですか。でも、どうしたって芸風なんで。

現状のお笑い界、焦りはしないけど好都合ではない

──としさんには、今のお笑い界ってどう見えていますか?

繰り返してるような気はしますね。なんかもう見たことある、って感じです。例えば、『エンタの神様』が流行ったり、『レッドカーペット』が流行ったりってあったじゃないですか。『オンバト』とかもそう。それを見てるわけです。「今は学生芸人なのね〜」みたいな感じです。

──では、別に焦りがあったりするわけでもなく?

あぁ、またこれか〜って感じです。第七世代がばーって出てきて、自分たち以外のおっさんもなかなか活躍できないみたいな時期も何回か経験してるので。

──賞レースの流れはどう見てますか? 年々エモーショナルになってきているような気もします。

俺はM-1の煽りVとか好きなんですよ。感動させて人情劇にしちゃってるほうが好きなんで。いいなーあれ、カッケーなー、でも絶対俺とかは選ばれねえだろうなぁとか思いながら(笑)。世間も好きだと思うし、芸人はカッコよく映るし、いいことだと思いますよ。

──感動とか恥ずかしいわ!って思ってるタイプかと思ってました。

みんな逆張りしてるだけだと思いますけどねぇ、なんとなく。去年のM-1のテーマソングだった『ログマロープ』も、しょっちゅう聴いて士気高めてますから(笑)。

──今の流れは好都合だと思いますか?

全然。だって俺らには当てはまらないから。カッコいいVだって、自分がディレクターだったら絵的に絶対俺を入れないだろうし。やっぱり女子を喜ばせるために作ってるわけじゃないですか。まあ、ないものねだりなんですよね。女子人気ある人たちは男人気、芸人人気欲しいって思うんだろうし、お互いどっちがいい悪いもないだろうし。

最後に勝てばいい。45歳、芸人としみつの目の輝き

──座右の銘ってありますか?

“勝てば官軍負ければ賊軍”です。「一生売れない地下芸人」とか馬鹿にされたり、ありえない扱いを受けることもあるんですよ。

このあいだ、「おめえなんか売れねえよ!」って言ってくる、未だにいるんだこんな奴っていう老害なディレクターがいて。「おめえら顔汚ねえからドーラン塗りたくれ」って、寺山修司の世界くらい顔面真っ白になったり、「ツッコミをするな、ツッコむときは川崎の足を踏め」って意味のわからないことを言われて、踏むふりをしたら「ちゃんと踏め!」って怒鳴られたりしてムカついたんですけど、あとで絶対ラジオで話そうって二人で決めて、「ま、老害のいうこと聞くか〜」ってやってました。

でも、勝てば全部ひっくり返って、そういう、お前ボロカス言ってたよなみたいな人から「いやぁ、あの時期も素晴らしかったですよね」って言われるようになると思うんです。復讐というか、やられたことは忘れないよっていうのは一個ありつつ、最後勝てばいいよなって思ってます。あともうちょいのとこまで来てんだよなっていう感覚が自分の中であるんです。

──としさんって、ひねくれおじさんかと思いきや希望に満ち溢れてますよね。

そう、意外にね。いじけてるわけじゃなくて、「45歳なのにコイツまだ目キラキラしてんの?」みたいな(笑)。この取材も、汚ねえチャリンコ乗って目黒まで来てるのに。

smart Webの2万字独占インタビューに応じた「地下芸人の帝王」「マヂカルラブリーの師匠」という肩書きを持つモダンタイムスのとしみつ

──コロナ禍を機に、蒲田からこの辺りに引っ越されたんですよね。引っ越しは、してよかったですか?

かなりよかったです。これ、“小峠理論”って呼んでるんですけど……。引っ越す前、汚い街で飲むのにハマってた小峠さんが蒲田に来てくれたことがあったんです。そのとき「売れてる人はみんな都心にいる」 「蒲田で売れた芸人見たことねえ!」って、蒲田のど真ん中で叫んでて。

──(笑)。

じゃあ僕が好きな二子玉川はどうですか?って聞いたら「馬鹿野郎、そこは蒲田だ」って。じゃあ芸人が多く住んでる高円寺はどうですか?って聞いたら「そこも蒲田だ」って言うから、じゃあどこならいいのか聞いたら「恵比寿から2000円圏内」って言われて。「あんたの家の周りだろ」とは思ったんですけど、ちょうど家賃の更新も迫ってたのと、コロナ禍で羽田のバイトもなくなった頃だったんで、これを機に引っ越してみようかなと思ったんです。そしたら、そこから配信バブルだなんだっていうのが始まって。

──家賃も上がりましたか?

上がりましたね。間取りとかは蒲田時代と同じなんですけど、やっぱり1万5000円ぐらいは違いますよね。でも、本当にお金回りが良くなるというか、これがちゃんとやっていけるようになるんです。お笑いの仕事が増えて収入が上がって、今はバイトもちょっとやってるぐらいなんで。

──全体の収入は、バイトとお笑いどれくらいの割合で?

半々ぐらいですかね。お笑いだけで暮らそうと思えば暮らせなくはないんですけど、それをやると如実に金が減っていくのがわかるし、後輩とかにも奢れなくなるのが嫌だったんですよ。ちょっとだけバイトしたらとりあえず如実に減ることはないので、それで精神保ってるというか。たぶん、金ない金ない言ってるときって、ネタとかもあんまり書けなくなるような気がするんですよね。

──何に一番お金を使うことが多いんですか?

今は女の子に一番使ってるかもしれないですね(笑)。モテないおっさんってそうなんですよ。しょうがない。お金を貢ぐ恋しかできないんです。

──プライベートの一番の楽しみって何ですか?

女の子が望む店に行って、ご飯を食べることかもしれないです。俺自身は別に美味しいともなんとも思ってないんです。食事に興味がないから。部屋もいいとこに住みたいって気持ちはあるけど、ものがないんですよ。

──ミニマリスト?

家には折り畳みの机しかないです。部屋に物を置くのが好きじゃなくて、家帰ってきてガランとした部屋が好きなんですよ。たぶん売れても変わんないです。

──ドラマとか映画は見ますか?

見ます見ます。朝ドラとか見てます。漫画も、『ONE PIECE』は最後まで見届けたくて昔からずっと読んでますし、本屋大賞で1位とった本はとりあえず読みたいし、俺ちゃんとミーハーなんですよね。好きな歌手はB’zです。

──友達はいるんですか?

小中高の友達は1人もいないです。芸人仲間はいます。

──人によって感覚が違うと思うんですけど、芸人仲間って友達ですか?

これって難しくて。結果、酒飲みながら何の話してるかって、お笑いの話しかしてないんですよ。だから、括りは芸人でいいんじゃないかなって思っちゃいますね。お互いがトークネタ作ってるところもあるし。

──どういうタイプの人と飲むことが多いですか?

これが意外と、仲良い奴は大学出てる奴が多かったですね。頭いい人だと助かります。選挙の話になったときとかにちゃんと対応できる人だと話弾むし。

──では、好きな女性のタイプは?

これは引かれるんですけど、Sっ気のあるロリ顔の女性です。

──ロリ顔?

ロリ“顔”ですからね。幼児が好きなわけじゃないですからね、俺。

──最近、マッチングアプリを始めた話もラジオでされてましたよね。

全然マッチしないでいたら、アプリ側から「もっとグローバルに視野を広げてみませんか?」って提案されて、OK押したら何語かもわからない外国の方ばっか表示されるようになって、なんか金だけとられてる感じがして有料会員をやめたんですよ。そしたらその瞬間に「あなたとマッチした人がいます!」って連絡が急に来て……無料会員だと見れないようになってるんですよ。腹立ってしょうがないですよね。結局一人も会えませんでした。

──結婚について考えたりしますか?

う〜ん……考えているといえば考えてるし、考えないといえば考えないすかね。考えられないというか、今はどうやっても自分一人しか対応できないんで。あと、若い子と遊んでる理由の一つとして、その子がちゃんと次に行けるからというのがあります。その子の人生の中に、一回ぐらいしょうもない芸人とつるんでる時期があっても楽しそうじゃないですか。

──悪い言い方をすると、責任感がないような。

もちろん、売れてればずっと付き合いますし、結婚も考えますよ。こんな売れてないのに一緒にいてくれるなら、信用もできるというか。でも、現状売れてないから「私の人生返して!」って言われてもおかしくないので、次の選択肢があるようにするっていう俺なりの礼儀ですね。だから、よくロリ好きとか誤解されるんですけど、 フランクでいける距離っていうのもあります。

──このあたりでインタビューを終わりたいと思います。ありがとうございました。

……としみつの結婚話、誰が興味あるんですか? ラスト、これで終わりですか、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

佐々木 笑

佐々木 笑

フリーランス編集者、ライター。主な仕事は芸人さんの取材や、書籍・コラムの編集など。本名通りお笑いが大好き。ライブは年間約200本、365日芸人さんの活躍を追っています。

Twitter:@sasaemi17

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