「新庄剛志はバカではない」92歳プロ野球界の最重鎮が新庄を評価する理由広岡達朗『勝てる監督は何が違うのか』
執筆者: smart編集部
選手より目立ちたがる指導者などいない
しかし、新庄の「快進撃」もここまでだった。
いざ、ペナントレースが始まると苦しい日々が続いた。もちろん、就任直後から「優勝を目指さない」と発言していたように「1年目はじっくりと戦力を見極めつつ、若手選手を育てていこう」と目論んでいたのだから、いきなり結果は求めていなかったはずだ。
開幕からいきなり5連敗を喫したことで、前年オフから新庄一色だったマスコミは「やっぱりダメだったか」と揶揄する報道も目立った。
私自身としては、新庄の取り組みに対して好意的に見ていたが、開幕戦のセレモニーを見て唖然とした。報道によると7770万円の「空飛ぶバイク」で新庄は登場した。いかにも目立ちたがりの新庄らしいパフォーマンスではあるが、「さぁ、これから開幕戦だ」というときに、選手を差し置いて監督が目立ってどうするのだ?
監督でありながら「自分さえ目立てばいい」という考えが新庄にはある。それは指導者としては致命的な欠点だ。プロ野球の主役はあくまでも選手であり、監督ではない。第4章でも述べるが、監督が目立つ「○○野球」は邪道である。
そもそも、「空飛ぶバイク」を許可するコミッショナー、球団は、一体何を考えているのか? 球団は単に「話題になれば何でもいい」と考え、新庄は「目立てるのならば何でもいい」と考えている。つまり、球団と新庄の思惑が一致したのだ。
華やかにショーアップすることで、ファンの期待感は高まるかもしれない。しかし、それは決して野球の本質ではない。
そもそも、選手たちに対しては何と説明するのか? 私が選手だったら、「監督だけ目立ってどうするんだ」と鼻白んでいたことだろう。「選手不在」の監督など言語道断である。
就任1年目も、2年目も最下位に終わった。全球団に負け越し、完膚なきまでに打ちのめされた。フロントもファンも、もはや「新庄劇場」などと温かい目で見てはくれない。マスコミへの露出も減った。2024年シーズンは本当の意味で真価が問われる1年となる。
万波中正の台頭は著しい。加藤貴之が残留し、バファローズからは山﨑福也が加入した。それでも、他球団と比べれば戦力はまだまだ手薄だ。新庄にとっては、厳しい戦いが続くことだろう。
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※本記事は発売中の書籍『勝てる監督は何が違うのか』(宝島社)の一部を抜粋したものです。
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