【プロカメラマンが絶賛したデジカメ「RICOH GR III」】最強のスナップシューターの進化した性能と変わらぬ魅力GRシリーズの二代目「GR DIGITAL II」とも比較してみた
執筆者: フォトグラファー/田中利幸
ガジェットオタクのカメラマン(フォトグラファー)が、気になるガジェットを実際に使った上で忖度なしでレビューする連載「色々使ってみなくちゃ気が済まない 〜 フォトグラファー田中利幸のガジェット“ガチ”レビュー 〜」の第24回は、フィルム時代から一貫した哲学で歴史を紡いできたカメラ、GRシリーズの「RICOH(リコー) GR III」を紹介します。仕事用ではなく趣味用のカメラとして、デジタルカメラのGRシリーズの二代目である、2007年に発売された「GR DIGITAL II」を所有しているので、そちらと比較しながら見ていきたいと思います。
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変わらないモノ、変わっていくコト
上が私物のGR DIGITAL II、下がお借りした最新機種であるGR IIIです。
GR DIGITAL IIは、GR IIIの約12年前に発売されたカメラですが、パッと見の外観にはほとんど違いがありません。ひと目見てGRと分かるその外観は完成されたデザインであると同時に、ブームやトレンドへのアンチテーゼであり、GRの哲学を体現していると言えます。
背面を見てもほとんど見分けがつかないくらい、似たボタンの配置となっています。そのおかげで、GR IIIを初めて手にしたときにも10年使い込んでいるカメラのように自然と手になじむ感覚がありました。
デザインや操作性、一貫してGRに採用される28mm単焦点レンズ。最高のスナップシューターとして日常を切り取る写真機の本質的な部分は、変わらないモノとして脈々と受け継がれています。
一方で、GR IIIを使ってみて、センサーや起動時間など様々な部分で、10年以上かけて築き上げられた進化が感じられました。GR DIGITAL IIは現在でも使えるカメラですが、現代のカメラと比べると古さを感じさせる部分があります(そういった古臭さが趣味のカメラとしての魅力の一つでもありますが……)。それに比べるとGR IIIは細かい部分での使い勝手がかなり快適に進化していて、日常で使うカメラとして非常に快適なモノとなっています。
GR DIGITAL II愛用者が感じた、GR IIIの進化のポイントとは?
使ってみて最初に感じた進化が起動の早さ、書き込みの速さなどのスピード感です。街中でのスナップ撮影に使う場合は、撮りたいと思った瞬間にサッと撮影できるレスポンスの良さが重要です。
ポケットに入るサイズ感なので、スマホ感覚で持ち歩いて思いついたときにサッと撮影することができます。重さも254gなので、大きめのスマートフォンとほとんど変わらない感覚で持ち歩けます。
GR DIGITAL IIにはなかった手ぶれ補正機能がかなり強力です。手持ちで0.4秒のスローシャッター撮影をしてみましたが、ほとんど手ブレ感なく撮影できるので、表現の幅が広がります。
センサーサイズの大型化によって、ボケを活かした撮影がしやすくなりました。広角なので、パンフォーカス(全面にピントが合っている状態)気味になりがちですが、開放絞りで寄って撮影するとボケを活かした撮影も可能です。スマートフォンのポートレートモードのような画像処理とは違う自然なボケ味は、カメラで撮影する楽しさを感じられます。
多彩なイメージコントロールにより、撮影したJPEGは味わい深い描写となります。今どきのカメラでは当たり前ですが、GR DIGITAL IIにはなかったスマホへの転送機能があるので、GR IIIの高画質な写真をSNSに簡単にアップロードできます。
GR DIGITAL IIとGR IIIでほとんど同じシチュエーションで撮影してみました。どちらもRAWで撮影して、Capture Oneで同じ現像処理をしています。
パッと見で、GR IIIのダイナミックレンジの広さや階調性の高さがよく分かります。GR DIGITAL IIのセンサーは最新のiPhoneと変わらないくらいのサイズであるのに対して、GR IIIはかなり大きなAPS−Cと呼ばれるサイズです。前述の通り、センサーサイズの大きさからくるボケの大きさがこの写真からも分かります。
一般的にセンサーサイズが大きいほうが高感度耐性(ISO感度を上げて撮影したときのノイズの少なさ)が高く、ノイズが少ないです。この写真も、GR DIGITAL IIはISO1131、GR IIIはISO5000とかなり違いますが、明らかにGR IIIのほうがノイズレスに撮影できています。高感度耐性の高さと、高機能な手ブレ補正のおかげでGR IIIは夜景スナップなども快適に撮影できます。
作例紹介
ここからは実際にGR IIIで撮影した作例を紹介します。
街中を散歩しながらの撮影はスナップシューターの本領発揮です。コンパクトで起動が早いので、撮りたいと思った瞬間にシャッターを切れます。
やっぱりGRで撮影するなら高コントラストなモノクロが撮りたくなります。内蔵NDフィルターが内蔵されているので、明るい日中でもスローシャッターが切れ、表現の幅が広がります。
見慣れた街の風景もGRで切り取ると、いつもと違って見えます。
この記事を書いた人
雑誌・WEB など、人物撮影から物撮りまで幅広く活躍中 。高校時代に PC にハマり、独学でプログラミングを学び簡単なゲームなどのプログラミングをしていた。 仕事での撮影や PC 作業など“効率よく快適に”をモットーに、最高に快適な環境を作るべく、機材やガジェットを日夜探し求めている 。趣味で機材・ガジェットなどの買ったものをレビューするブログ「Tanaka Blog」を運営。
Instagram:@toshiyuki_tanaka_photographer
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