【注目度急上昇中のボカロP「雪乃イト」インタビュー】生の歌声と空気感を届ける新星から目が離せない！

執筆者：編集者・ライター/志田英邦

かわいくおしゃれな楽曲を生み出すボカロP・雪乃イトさん。弾いてみた、バンド活動、そしてボカロPと活動の幅を広げてきたその歩みを聞いた。

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※この記事は2023年smart5月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。

自身のルーツのバンドサウンドを
発展させてカラフルな楽曲を奏でる

――「弾いてみた」から「空より蒼い街」のバンド活動、そして「ボカロP」と活動の幅を広げている雪乃イトさん。その音楽活動の原点は何だったのでしょうか。

雪乃イト（以下、雪乃）　中学2年生の頃に友達から軽音部に誘われて、一緒にバンドを組んだことが最初ですね。そのバンドではギターを弾いていたのですが「曲を作ってほしい」という話になって、そこから音楽の理論を勉強し始めました。バンドはすぐに活動をやめてしまったんですけど、そのあとも僕は音楽にのめり込んで。ピアノやベースも始めました。

――雪乃さんがお好きなアーティストは？

雪乃　ELLEGARDEN やGreenDay、blink–182、The Offspringが好きです。

――「弾いてみた」の活動を始めたきっかけは？

雪乃　ひとり暮らしを始めて、自分の時間に余裕が持てるようになったので、ギターの演奏をSNSで発表してみたんです。1週間に1回くらい、多いときは2日に1回くらいのペースで更新を続けていたら、だんだん友人が増えてきて。1年ぐらい配信を続けたら、いろいろな歌い手さんや、バンドから演奏やサポートの依頼が来るようになりました。そこからレコーディングに参加したり、音楽の活動の幅も広がっていきましたね。

――演奏だけでなく編曲家としても活動されていますね。いろいろな人から依頼を受けるときは、何を大事にされていますか。

雪乃　演奏でも編曲でも、依頼してくれた人から目指したい方向性をしっかりとヒアリングして臨むようにしています。その人にとって何がベストなのかを考えていくんです。例えば、最近編曲を手がけた、水野あつくんの『プロジェクトセカイカラフルステージ！』の「星空オーケストラ」では、水野くん自身が編曲を一度してそれで満足ができなかったから、僕に編曲の依頼をしてくれたんです。彼は打ち込み系の音楽が多いんですけど、この曲では「オーケストラ」というタイトルのとおり、ストリングス（弦楽器）を強調したいということだったので、生の楽器のテイストとピアノとベースを大きく変えて、楽曲にオーケストラの広がりを出していこうと思いました。

――2年前からはバンド「空より蒼い街」での活動もされていますね。こちらでは作曲を担当されています。

雪乃　そうですね。「空より蒼い街」では作曲家としてスカウトされたという感じです。このバンドは僕が参加する前にカバー曲をやっていて、夏を感じさせるようなロックが多かったんですね。オリジナル曲を作曲するときは、そういうバンドの爽やかなイメージを大事に楽曲を作っています。

――そして、ボカロPとしても昨年から活動を始められました。個人としての活動では、どんなことを意識して活動していますか。

雪乃　個人の活動では、バンドとは違って、かわいさとおしゃれさを合わせたような楽曲を前面に押し出しつつ楽曲を作っていこうと思っています。個人の活動ではあるんですけど、いろいろな人に依頼して自分の目指しているものにしたいなと思っていて。例えば『心拍ペアリング』という曲でドラムを叩いてくれた清水遼大くんは以前から知り合いだったんですが、僕の曲を聴いてくれて。ドラムを叩いてもらうことになりました。個人の活動をすることで、僕のことを知ってくれる人も増えましたし、以前から付き合いのある方々とより深く関わることができるようになったなと思います。

――今後の目標はありますか？

雪乃　まずはYouTubeのチャンネル登録者数は1万人を超えたいなって思っています。あとは大きい目標としてアニソンやアイドルも好きなので、そういった大きなコンテンツに関わることができたらなと思っています。

――最新曲を教えてください。

雪乃　CeVIO AIという音声創作ソフトの「Ci flower」のデモソングを作らせていただきました。これまでの「v flower」は人間離れした声として使われていることが多かったんですけど、この「Ci flower」はちょっと違う。その特徴をうまく引き出すような楽曲を作りました。その楽曲も多くの方に聴いてもらえると嬉しいです