音楽経験ほぼ0のボカロPが初音ミクとコラボするまで【いるかアイス インタビュー】
ハッピーでキラキラしたエレクトロポップを生み出すボカロP・いるかアイスさんがsmart初登場。今注目を集めるフレッシュな彼女のルーツとモチベーションは?
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音楽経験がほぼないところから
大学のサークルで
楽曲制作をスタート
――ボカロPとして活動を始めたきっかけは何だったんですか?
いるかアイス 大学のときにパソコンを使って音楽や動画を作るサークルに入ったんです。そこで友達がiPadでできる『jubeat』という音楽ゲームを教えてくれて。そのゲームで流れている音楽が衝撃的で、何か刺さるものがあったんです。こういう曲を自分でも作ってみたいと思いました。私は中学生までエレクトーンを習っていたんですが、それ以降は楽器を弾く機会がなかったんです。でも、パソコンなら自由に音楽が作れるし、ボーカロイドを使えば歌ってくれる。それでDTM(デスクトップミュージック)を始めました。
――当時お好きだったアーティストはどなたでしたか?
いるかアイス DTMを始めていろいろな曲を聴くようになったんですが、その中でもkzさんと八王子Pさんの楽曲が好きでした。最初に買ったボカロのアルバムのlivetune feat.初音ミクの「Re:Dial」(ivetuneはkzのソロユニット名)、八王子Pさんの「VIP ボーカロイド楽曲制作テクニック」は自分が曲を作るときにすごく大きな影響があったと思います。
――いるかアイスさんの音楽は、どの曲もキラキラしてハッピーでファンタジックですよね。こういう世界観はどこから生まれたものなのでしょうか?
いるかアイス 私は小学生のころからネトゲをずっとプレイしてきたんです。ファンタジーな世界観のゲームが好きで、そういうものを自分でも作りたいなと思って。かわいくてハッピーでファンタジックな曲を作っています。
ニコニコ動画へのUPを機に
気が付けば人気ボカロPに
――音楽活動をしていて手ごたえを感じた瞬間は?
いるかアイス 最初はインスト曲(ボーカルなしの曲)を作ってSoundCloudというサービスに上げたんです。そのときはサークルメンバーや友だちが聴くくらいの反応だったんですが、そのあとニコニコ動画に曲を上げたんですね。そうしたら1日で100再生くらいの反応があったんです。もちろん人気のボカロPと比べたら小さい数だと思うんですが、知らない人が何人も聴いてくれたんだと思うと、すごく嬉しかったですね。ここで活動すれば、新しいリスナーに出会えるんだっていう実感がありました。
――いるかアイスというアーティストとしての活動を意識したのはどんなタイミングだったんですか。
いるかアイス 最初はサークルのみんなといっしょに作ったアカウントで活動していて、プライベートのこともいろいろ投稿していたんです。学校を卒業して会社に就職してからも、そのアカウントで音楽活動を続けていて今に至っている感じがあるので、境目みたいなものはないんですよね。ただ音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』の「一緒につくろう! 第1回楽曲コンテストプロセカNEXT」に私の曲が採用されてからは活動のスタイルは変わってきたと思います。いろいろなところから依頼をいただいたり、音楽に関するお誘いをいただくことが増えました。その全部をやろうと思って、フリーランスとして活動するようにしたんです。
――いるかアイスさんは、初音ミクにどんな魅力を感じていますか。
いるかアイス それぞれのボカロPによって全然違う初音ミクがいるというところが魅力だと思うんです。100人ボカロPがいれば100人の違う初音ミクがいて、声も違うし、歌い方も違う。それぞれのボカロPの世界観を表現しているんです。私も自分の初音ミクが一番かわいいし、愛着があります。
――いるかアイスさんは作曲の他にDJをしたり、ゲーム配信をしたりと多彩に活動されています。今一番楽しいことはなんですか。
いるかアイス 楽しいことはたくさんあるんですが、今は曲を作ってアルバムでひとつの世界を作るのが一番面白いです。一枚のアルバムでひとつの世界を作っているような、自分だけの秘密基地を作っているような感じがあって。すごく楽しいんです。これからも、聴いてくれた人が幸せになったり、元気になれるような楽曲を作っていければいいなって思います。
who is Rucca-chan?
いるかアイスさんの相棒!
「ルッカちゃん」はどんな子?
イルカをモチーフにしたマリンルックな女の子。いるかアイスさんが自ら描いたイラストから生まれたキャラクター。Twitterで【#るっかーと】がファンアートタグになっている。
music
いるかアイスさんは、
どんな楽曲を作っている?
2015年11月4日、VOCALOIDオリジナル曲の「【初音ミク】星の音旅行記【オリジナル】」をニコニコ動画に初投稿。以来、ソロアルバム『iceQuarium』シリーズを4作リリース。2021年、音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の「一緒に作ろう!第1回楽曲コンテスト プロセカNEXT」で「Brand New Day」が採用。ゲーム内に実装された。
check!!
いるかアイスさんの
楽曲を聴くのはコチラから!
本特集にて紹介した、いるかアイスさんの楽曲は、様々な音楽が無料で聴き放題のアプリ「NicoBox(ニコボックス)」でも聴くことが出来ます。 現在『いるかアイス特集』もプレイリストで公開していますので、要チェック!
ニコニコ動画アプリはプレミアム会員でないとバックグラウンド再生が出来ませんが、「NicoBox」では一般会員もバックグラウンド再生可能!! 移動中や作業BGMに最適です♪
Profile/いるかアイス
音楽レーベル”On Prism Records”、”コトノプリズム”を主宰するボカロP。2015年から活動を開始。「キラキラしていてハッピーになれる音楽」をコンセプトにエレクトロポップやハッピーハードコアなどを制作している。
いるかアイスYouTube
写真=大村聡志
インタビュー&文=志田英邦
※この記事は2022年smart10月号に掲載中の記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。
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