『とんでもスキルで異世界放浪メシ』OPで話題沸騰！Van de Shopとは何者なのか!?

ボーカロイドのフィールドで活躍してきた3人がバンドを結成！ボカロミュージックで培（つちか）った技術を生かして新たな世界を切り拓こうとしている。メジャーなフィールドで活動を始めた栗山夕璃、端倉鑛、仁井伯が新曲『贅沢な匙』（ぜいたくなさじ）に込めた想いとは。

※この記事は2023年smart3月号に掲載した記事を再編集したもので、記載した情報もその時点のものです。

ボカロをルーツに持つ
それぞれのこだわりが融合した
3人だから作れる音楽を

――ボカロPとして活動をしてきた栗山さんが、バンドとして活動を始めたきっかけは？

栗山　2人とはインターネットを通じて知り合った友だちで、一緒にゲームをする仲間だったんです。個人（蜂屋ななし）の名義で活動している頃から2人には助けてもらっていたんですけど、3人だからできる音楽をバンドとしてやってみようと思ったんです。

端倉　Van de Shopでは3人が「こういうことをやりたい」という音楽を作っているんです。

栗山　ひとり33パーセントの割合でいつも楽曲を作っているんですよ。2人がそれぞれ中心になって作る曲もありますし、僕が中心で曲を作るときも、2人の（アイデアが入る）余地を意識して曲を作っています。

――Van de Shopとして活動を始めて1年が経ちましたが、3人にどんな変化がありましたか。

栗山　以前は1曲完成するまでに5年くらいかかっていたんです（笑）。今は2～3ヵ月で曲を仕上げられるようになりました。そこにはめちゃくちゃ成長を感じていますね。

端倉　配信をするようになって、限られた時間で効率よく曲を作るスキルが上がりましたね。

仁井　お互いのこだわりを察するよね。

栗山　こだわる場所がみんな違うんです。

仁井　歌詞や歌詞の譜割りについてはボーカルの栗山くんがすごくこだわるんですよ。

栗山　ピアノのボイシングは仁井くんがこだわるし、ブラスやストリングス関係は端倉くんがこだわる。ミックスは3人でこだわっています。

――新曲「贅沢な匙」はアニメ『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の主題歌です。アニメの主題歌を作るのはどんな想いがありましたか。

仁井　ずっと昔からアニメの主題歌を作りたいと目標にしていたので、すごく嬉しかったです。

栗山　『とんでもスキルで異世界放浪メシ（以下、放浪メシ）』は以前から知っていた作品でしたし、3人で電話をしているときに「やったね！」と一緒にめちゃめちゃ喜びました。曲を作るときは、いろいろなアニメのオープニング曲を聴いて、どこでタイトルロールが入るのがよいのか、どんな曲の展開がよいのかを研究しましたね。アニメを制作するスタジオMAPPAのスタッフさんは、僕らが2022年にリリースした『コメディなヒーローになれたなら』を気に入って、僕らに依頼してくださったそうなんです。じゃあ、明るい曲がいいだろうと思って、2人（端倉、仁井）を中心に曲を作っていきました。『放浪メシ』は「旅」のイメージがあったので、カントリー系の曲をたくさん聴いて。僕がカントリーイメージを2人に伝えて（リファレンスを渡すなど）、そこから2人にコードを広げてもらいました。

仁井　とにかく面白い曲にしようと思って、セクションごとに転調したりリズムを変えながら、Aメロ、Bメロ、サビメロそれぞれ性質の違うポップな曲にしていきました。

栗山　サビのリズムでは僕と端倉の意見がぶつかったりもしたんですけど、仁井がうまくまとめてくれて。3人で作った曲になりました。

端倉　歌詞は最初に栗山が全体の形を作り、僕と仁井のアイデアも取り入れてまとめていきました。結果的に3人で作った歌詞になったなと思っています。

――みなさんボカロPとしても活動されていたと思いますが、メジャーなフィールドで活動するバンドとして今後やってみたいことは？

仁井　ボカロって独特な文化だと思うんです。素人もプロも分け隔てなく参加できるし、いろんな音楽が生まれている。一方でメジャーな音楽には長い歴史があったり、洗練された技術がある。ボカロをルーツに持つ僕らがそこに向き合うことで、新しいものを作っていきたいです。

栗山　たとえば今まで僕らが作ってきたボカロの曲のミックスは自分たちでやってきたんです。でも、メジャーで活動する今はプロのエンジニアさんにミックスをお願いしているんですね。プロの方々は熟練した技術をお持ちなんですが、自分たちの頭の中の音のイメージを上手く伝えていけるようにしていきたいと思っています。

端倉　そういうところも含めて、プロの方々の力を借りつつ、より一曲一曲のパワーを上げていきたい。これからも僕たちのオリジナリティをかっこよく出していきたいですね。