天才肌の18歳女優、あらわる。劇中音楽も手がける片田陽依の音楽制作過程とは?
執筆者: クリエイティブ集団/画画画
毎回様々なジャンルで活躍するゲストをモデルに迎え、大判カメラで10枚( ONE ROLL )の写真を撮影し、その写真からストーリーを紡いでいく連載「4×5(シノゴ)」。「4×5」とは、大判カメラで使用されるシートフィルムのサイズが由来です。第3回のゲストは、役者と並行して劇中の音楽も手掛けるハイブリッド女優・片田陽依さん。まだ10代にしてその才能の片鱗を発揮する、次世代のニューカマーにファッションシュート&インタビューで迫った後編は“音楽家・片田陽依”の側面に迫ります。
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――音楽で影響を受けたアーティストさんってどなたですか?
片田陽依(以下、片田) お父さんがサカナクションさんとゲスの極み乙女さんがすごく好きで、小さい頃から車とかでずっと流して聴いたり、ミュージックビデオをテレビで流して観たりしていました。その時は日常的に何も考えずに聴いていたんですけど、上京してから聴くと小さい頃の感覚みたいなものをすごく思い出して。例えばある曲を聴いて「この曲はあの道路で雨の日に車の中で聴いてたな」みたいなことを思い出して、音楽は記憶を閉じ込める力がすごいなって改めて思いました。
――役者として影響を受けた人は?
片田 役者の道に進むって決めた時に、1年間に300本くらい映画を見始めました。自分が好きなものばかりを選ぶのではなく、とにかくいろんなものを観ようと始めたことなので、特定の誰かからすごく影響を受けたっていうよりは、映画をたくさん観たことによって、エンタメの世界の素晴らしさに改めて気付きました。特定の作品とか、監督さんとか、役者さんとかそういうことではなくて、エンタメって凄い力があるんだなって感じています。だからこそ、エンタメの世界の中で生きていることが一番刺激的な影響を受けることなんだなと思っています。
――一年で300本ということは、だいたい1日1本ペースですね。それはすごい。音楽の作り方についてお聞きしたいんですけど、どのように制作していますか?
片田 基本はiPadとかパソコンとかを使って、打ち込みで作るっていうことが多いです。でも劇中の音楽になると、劇中の温度感や空気感とかそういったものを感じて作りたくて。先日作った劇中音楽は、撮影から編集までの期間がすごく短かったので、脚本をいただいた段階から音楽を作り始めなきゃいけなかったんです。ただ、映像がどういう風になるのかは音楽を作る上でどうしても知りたくて、ロケ地が広島だったんですけど飛んで行きました(笑)。
――えっ?一人でですか?
片田 そうです。撮影する場所とかを見に行って、そこで景色とかを見て作りました。
――なるほど。単純に質問なんですが、劇中音楽はどこからどこまでを作るものなんですか?
片田 脚本を渡されて、そこから自分で「ここの箇所には絶対音楽が入るな」っていうのをある程度考えて、そこに合う音楽を作るっていう形を取っています。作品によって、私が作った音楽を色んなシーンに当てはめていくっていう仕事をする方がいるのですが、私が全然想像しなかったところに「この曲が入るんだ」っていうこともあって。でもそれは、すごく新しい発見というか、「あ、こういうハメ方もあるんだな」ってすごく勉強になります。
――一つの映画で何パターンぐらい作るんですか?
片田 決まってはいないですが、たくさん作ります。コメディ感のある曲を作ったり、心情曲を作ったり、ちょっとリズミカルなアップテンポの曲を作ったり、同じ曲の感じにならないようにというか、仮に同じ感じでも何パターンか作ることは意識しています。
――それは脚本を読んでのインスピレーションを得てということですか?
片田 絶対このシーンじゃないと使えない音楽、例えばセリフがないシーンで音楽が流れることってあるじゃないですか?そういう時って、芝居を立たせるっていうよりも、例えば景色を見せる要因とか、楽しい気持ちにさせるようにっていう感じで、楽器数が多かったりするんですけど、そういう時は脚本を読んで一人でぶつぶつ言いながら、尺的に何秒ぐらいかなっていうのを数えてそれに合わせて作っています。
――そのやり方は、全部自分で考えて行き着いた形なんですか?
片田 我流です(笑)。
――音色はどうですか?楽曲を作ったとして、ここはバイオリンがいいとか、鍵盤がいいとか、ハーブがいいとかはもうパソコン上で選んで、それはそのまま使ってもらって、そこからさらに、アレンジャーの人が入ってくるとか?
片田 ステム(※)っていう色んな楽器を使って作ったものをアレンジャーさんに送ったりするんですけど、この前びっくりしたことがあって。ピアノメインで弦との曲だったんですけど、それのピアノバージョンではなく、アレンジャーさんに弦だけバージョンで当てはめて使っていただいて、「あぁ、そういう使い方もあるんだ」っていうすごい発見がありました。
※ステム……音楽制作の世界では、楽曲を構成するトラックのグループを「ステム」と呼び、このステムが集まって1つのユニットを形成している。
――パソコン上だと音色は違うから、普通だったら、そこで改めて録音し直しましょうという風になるけど、片田さんが作るものが完パケに近いから少し手を加えるだけでいいんでしょうね。よく天才の音楽家の方が「音が降ってくる」と言いますがけど、片田さんはそういうタイプですか?
片田 何かが降ってくるっていうよりは、考えながらというか、この音の次はたぶんこの音がいいかなっていう風に考えながら作ったりします。
――いや、それを一般的には降ってくるっていうんでしょうね(笑)。末恐ろしい……。今後の活躍にも注目してます。今回のゲストは片田陽依さんでした!ありがとうございました!
ニット¥26,500/ウィザード(ティーニー ランチ☎03-6812-9341)、その他(スタイリスト私物)
Profile/片田陽依(かただ・ひより)
2004年11月20日生まれ、奈良県出身。2021年デビュー。主な出演作に、741名が参加したオーディションの中からメインキャストに選ばれた私の卒業プロジェクト映画『あしたのわたしへ』での角野朱莉役と劇中音楽(22年)、テレビ朝日『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』10話前田真利菜役(22年)、テレビ朝日『推しが武道館いってくれたら死ぬ』玲奈役(22年)などがある。FOD『ショジョ恋。』(23年)、映画『18歳、つむぎます』(23年)では劇中音楽も手掛けた。今後の出演作として、5月12日公開の映画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』、8月4日公開の映画『17歳は止まらない』 、初の主演映画となる2023年公開の『イルカはフラダンスを踊るらしい』などが控えている。
片田陽依 公式HP
片田陽依 公式Instagram
連載「4×5」とは?
フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイク、動画クリエイターなどの多彩なクリエイターを起用し、クリエイションと総合演出を行っているGAGAGAプレゼンツの連載企画。大判カメラで撮影した10枚の写真とインタビューでゲストの魅力に迫ります。
photographer=斎藤 大嗣
stylist=青木紀一郎
Hair & Make-up=速水昭仁
videographer / filmmaker / director =Mo-chang-co
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この記事を書いた人
2022年に始動した、オルタナ育ちのエキセントリッククリエイティブ集団。「ガガガ」と読む。合言葉は「ヴィジュアルショック フロム ウォーターヒップ」!スチール撮影、動画撮影などのディレクションから、シューティング、スタイリング、ヘアメイク、キャスティング、デザインまでトータルでプロデュースする。STANFORD所属。
Instagram:@gagaga_tokyo
Website:https://www.stanford-group.com/creator/creator-38261/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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