【idomインタビュー】ルーツであるR&Bの要素を表現したチルいEP『EDEN』
執筆者: コンテンツディレクター/田島 諒
デビューEP『GLOW』の表題曲「GLOW」でメジャーデビューを果たして以降、各界で話題を集め続けている岡山県在住の新世代型マルチクリエイター、idom(イドム)。4月12日に発表した2nd EP『EDEN』では、自身の音楽的ルーツでもあるR&Bの要素をふんだんに取り入れながら、よりポップでダンサブルな作品に仕上げている。“楽園”と名付けられた本作に表現した内容について、idom本人に聞いた。
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ルーツであるR&Bの要素を
色濃く表現したいと思った
――楽曲制作に限らず、映像制作やイラスト制作までもマルチにこなしていますよね。最初に音楽に興味を持ったのはいつ頃ですか?
idom 母親の影響もあって小学生の頃から洋楽をずっと聴いていました。当時よく聴いていたのは、Ne-YoやChris BrownなどアメリカのR&Bが多かったです。
――小学生で洋楽のR&Bだなんて早熟ですね!
idom 知り合いのお兄ちゃんが持っていたゲームでNe-Yoの「Because Of You」が流れていて、めっちゃカッコいいと思ったんですよ。そこから自分で調べて、どんどん違うアーティストに広がっていきました。当時は小学3年生ぐらいでBOYZ Ⅱ MENとかも聴いていましたね。
――当時聴いていた音楽の中で、今でも特に好きで影響を与えられているアーティストは誰ですか?
idom Frank Oceanは大好きです。『channel ORANGE』は中学生の頃に聴いて本当に衝撃的でしたね。毎日のように聴いていましたし、『Blonde』も数えないくらいリピートしました。あとは2010年代のJustin Timberlakeもですね。R&Bとソウルを混ぜたような作品をリリースしていて今聴いても勉強になりますし、『EDEN』に関しても影響が色濃く出ているかもしれません。
――たしかに前作『GLOW』と比較すると、かなり色濃くR&Bの要素が感じられるますね。ここは意識した部分ですか?
idom そうですね。特に大事にした部分だと思います。『GLOW』がJ-POPを自分流儀に昇華したEPでもあったので、今回は自分のルーツに沿った音楽を表現したいと思ったんですよ。それでR&B要素は多めになり、ダンサブルなアレンジをしながらもポップにまとめようと思いました。
――『EDEN』は、その感覚がすごく伝わってくる作品だと思います。その他に作品として統一したコンセプトはあったりしますか?
idom 全体的にチルでエモい感じを全体に纏わせたいと思っていましたね。ですが、制作を進めるうちにそれだけだと物足りなさを感じたんです。そこでエッジの効いたチルでエモいアーバンな要素も感じられる曲を作れたらと思って。それが「Control」でぴったりハマったかなと。
――他3曲がチルくてエモい印象なのに対して、「Control」はビートも四つ打ちですしハイテンポですよね。
idom はい、ビート自体も不穏な感じというか。フロアにポンッと落とされるような感覚もあってカッコよく仕上がったと思います。この曲はトラック先行で自分のイメージをToru IshikawaさんとSILLY TEMBA さんに伝えてアレンジを一緒に考えていきました。今までにない感じに仕上がっていると思いますね。
――「Control」はEP『EDEN』における変化球的な1曲だと思うのですが、「Memories」はまさにチルな印象でもありますね。
idom ギターのサウンドをループさせながら、自分の気持ちだったりをリリックとして乗せていくのが1番リスナーに届くんじゃないかと思って、チル感を重視しながらR&Bを軸において制作した曲ですね。大きな路線としては「帰り路」(EP『i’s』収録)的なトラックですが、よりエモーショナルなサウンドやボーカルを意識して作り込んでいきました。
――表題曲「EDEN」は、まさしくR&B要素が強くて踊れるナンバーに仕上がっていますね。
idom そうですね。ちょっと前に、世間的に80s感あるトラックや四つ打ちがトレンドになっていたじゃないですか。あの踊れる感じやディスコっぽい雰囲気を自分なりに取り入れたいと考えていたときに、ハウスのビートがハマるかもなと思って。色々なビートを足しながら、ここ最近ヒットしていた80sの流れから汲み取ってチルハウスやテクノも聴いていましたね。
――4曲目「Loop」はアレンジャーにMONJOEさん(DATSほか)が参加されていますね。この曲はどう作っていったんですか?
idom 「Loop」の原曲は随分と前に作っていて、もう少しファンク寄りな曲調だったんですよね。EP『EDEN』の制作を進める中で、この作品に合う曲だと思ったのでストックから引っ張り出してきてMONJOEさんと一緒に作っていったんです。このサウンド感にはMONJOEさんならではのシティポップ感というか、洗練された雰囲気がマッチするんじゃないかと思って。結果的にすごく良いバランスに仕上がったと思いますし。EP全体に良い効果をもたらしてくれたと思っています。
歌詞に投影させた
自分だけの世界=楽園
――歌詞については、EP全体に対して統一しているものはありますか?
idom 『GLOW』に比べると、もっと自分の内面にフォーカスした内容にしたいと思っていたんです。『EDEN』=楽園というタイトルにもあるように、自分だけのパーソナルな世界観を描いています。ある意味、世間をぼんやり眺めているような俯瞰したようなストーリーを表現しようと思いました。
――自身の心理描写が色濃くなったという意味で「Memories」の歌詞は失恋を連想させるような内容ですが、いかがでしょう?その他の楽曲にも別れが描かれているように感じます。
idom 恋愛だけに限らず別れについて描いていって、さらにその先の自分の在り方について前向きであろうということを表現していったら、結果的に失恋っぽくなりました。そこでいくと「EDEN」と「Contorol」と「Loop」は別れのイメージではないんですよね。「EDEN」は登場人物2人だけの楽園を描いて、そこから深い愛に落ちていくような情景を描いています。「Contorol」は楽園の中で、自分自身を解放してさらけ出すような雰囲気ですね。「Loop」は繰り返していく日々のことを指していて、当たり前の日常が実は大切なものだったんだっていうことを歌っていますね。この曲こそ少し恋愛要素があるというか。恋人とケンカばかりしていた日々も今思えば悪くなかったねっていう、そんな内容です。
――では、今後idomさんがやっていきたいと思っていることを教えてください。
idom 今作はMVも出していく予定で映像制作を進めていて、「Memories」はすでに公開されているんですけど、残りの「Contorol」と「Loop」のリリックビデオも自分でディレクションしてクリエイティブな部分を作り込んでいく予定です。今回は実験的にやってみる感覚ですけど、なるべく今後も自分の世界観を表現するときには、すべてを自分でディレクションしたり、アイディアを出したりしていきたいと思っています。
――もともとインディーズで活動されていたときから映像制作も行われてらっしゃいましたもんね。
idom そうですね。「Memories」のMVをディレクションしてみて、自分が楽曲で伝えたい世界観をより鮮明に伝える形にできたと思ったので、その原点に戻っていっている感じがします。
デニムジャケット¥59,400、パンツ¥53,900/ともにbeautiful people(ビューティフルピープル 伊勢丹新宿店 ☎03-3352-1111) 、メッシュタンクトップ¥15,400、中に着たタンクトップ¥13,200/ともにINSCRIRE(AMAN ☎03-6805-0527) 、シューズ¥52,400/SESA Footwear(KNOW showroom hello@ontheparkstreet.com) 、ネックレス¥28,600、リング[ゴールド]¥24,200、リング[シルバー]¥33,000/PLUIE(PLUIE Tokyo ☎03-6450-5777)
▼INFORMATION
4月12日発売/2nd EP『EDEN』
1.EDEN
2.Memories
3.Control
4.Loop
5.GLOW -English ver.-
■初回生産限定盤 ¥1,800(tax in) Blu-ray付
「EDEN」MUSIC VIDEO
「EDEN」Behind The Scenes
■通常盤 ¥1,400(tax in) CD only
▼PROFILE/idom(イドム)
1998年3月18日生まれ、兵庫県神戸市出身。岡山県在住。大学時代にデザインを専攻し、2020年4月からイタリアのデザイナー事務所に就職する予定であった。しかし、コロナウィルス パンデミックの影響で渡伊を断念。そんな挫折をきっかけに、以前から興味があった音楽制作に初めて挑戦。楽曲制作・ボーカル・ラップのみならず、映像制作、イラスト制作等もこなす、まさしく新世代型のマルチクリエイター。そして、非常に高い完成度とクリエイティブセンス、しなやかなで甘美な歌声に大きな注目が集まり、音楽制作から約1年という早さでソニーのXperiaTMスマートフォンやTikTokのCMソング等を担当。その勢いは止まることなく、2022年7月フジテレビ月9ドラマ「競争の番人」の主題歌に「GLOW」が大抜擢され2022年9月にデビュー。
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スタイリング=森田晃嘉
インタビュー&文=田島 諒
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この記事を書いた人
DMRT inc.所属。数々のインディペンデントカルチャーメディアを経て2016年に独立。ロック全般をベースとする音楽コンテンツの制作、メディアディレクション、地域振興系メディアのエディットなどを行う。日夜チャリで渋谷を爆走する漆黒のCITY BOYとして、365日スコッチを手放さない。
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