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【ASIAN KUNG-FU GENERATIONインタビュー】通算30枚目となるシングル「宿縁」を巡って。2023年のバンドのムードについて聞く

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世代を超えて誰もが知っている4人組ロックバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)ことアジカン。2021年に結成25周年を迎えて円熟した日本語ロックは、ますます奥深さを増し、その魅力を深くしている。

2月8日にリリースとなる3曲入りシングル「宿縁」はアジカンにとって通算30作目となる節目の作品であり、タイトル曲「宿縁」は2023年1月クールのテレビ東京系アニメーション『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のオープニングテーマでもある。『NARUTO -ナルト-』 関連の主題歌を担当するのは、これで4度目。実にアジカンらしい爽快なギターロックが表現されている。

今回のインタビューでは、カップリング曲であり、喜多建介(Gt&Vo)が作曲とボーカルを担当する「ウェザーリポート」と、2008年発表の5thアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』の続編とも言える楽曲「日坂ダウンヒル」の話を踏まえ、2023年のアジカンのムードがどのような感じかを聞いた。

日本だけではなく
海外のリスナーにも
届けたい「宿縁」

――「宿縁」は『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のオープニングテーマでもあります。歌詞の中に出てくる<過去>、<未来>といった時間軸を示す言葉が印象的だったのですが、これらはアニメ作品の内容を意識した言葉でしたか?

後藤正文(以下、後藤):歌詞に関しては、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』における2人の主人公、ボルトとカワキの関係性を意識しながら描いています。アニメのオープニングテーマであることを前提とした、作品の内容に則した内容ですね。主人公2人の過去を遡(さかのぼ)って現在に辿り着くような構造が作中で描かれていて、それをヒントに時間表現を歌詞に入れたいと思いました。

――『NARUTO -ナルト-』シリーズとのタッグは今回で4度目となりますが、そこに対して何か思うことはありますか?

後藤:『NARUTO -ナルト-』は、やはり特別な力を持っている漫画・アニメ作品だと思いますよ。海外で最も観られている日本のアニメだと思わざるを得ないというか。それぐらいの反響が主題歌に対してもあるんです。もう付き合いも長いし、縁を感じますね。やっぱり特別な気持ちを持ってコミックスを読んでいますよ。

――ギターのイントロから始まる緊張感のある楽曲は実にアジカンらしいと感じましたが、どのような曲にしていこうと考えたんですか?

喜多建介(以下、喜多):改めて話し合ったわけじゃないのですが、元を辿(たど)ると、2003年に「遥か彼方」が『NARUTO -ナルト-』第2期のオープニングテーマになったことで、一気に海外のファンが増えた印象があるので、今回の「宿縁」も、海外でのライブやリスナーにも聴かれることを意識しながら作曲を進めていった部分はあると思います。

伊地知潔(以下、伊地知):海外のライブでは、「遥か彼方」や「ブラッドサーキュレーター」といった『NARUTO -ナルト-』関連曲の盛り上がりはすごいんですよ。歌詞だけではなくてギターのリフまで歌ってくれたりだとか。曲のほとんどを覚えてくれていて大合唱になるシーンがこれまでにもあったので、「宿縁」も海外で鳴らしたときに、僕らが納得できるものにしたいと思って制作していきました。

――身体を動かしたくなるテンポも魅力です。爽快なビート感があるようにいましたが、いかがでしょう?

山田貴洋(以下、山田):テンポに関しては、アニメのオープニングテーマということもあり速い曲がリクエストされることもあって。過去の『NARUTO -ナルト-』の主題歌に関しても爽快なビート感の楽曲が多かったですけど、その焼き直しにならないように、今の自分たちらしいギターロックを表現していこうと考えて「宿縁」を作っていきました。

当初カップリング曲としては
不安もあった
「ウェザーリポート」

――続いて、2曲目の「ウェザーリポート」ですが、喜多さんがボーカルと作曲を手掛けてらっしゃいますね。その経緯について教えていただけますか?

喜多:今までのシングルでも、カップリング曲を歌ってきた経緯があって、ゴッチから「歌ってみたら?」 と言われたことがきっかけです。前作のシングル「出町柳パラレルユニバース」収録の「追浜フィーリンダウン」でもボーカルを担当しているのですが、自分的にはそこでしっかりと歌った感覚があったので、また数年後かな? なんて思っていた矢先でちょっと焦りましたけど、メンバーに手伝ってもらいながら良い形にできたと思っています。

――喜多さん的には「自身がボーカルを務める楽曲は数年に一度で良い」という感覚ですか?

喜多:僕としてはそれぐらいが嬉しいんですけどね。自分が好きなバンドの曲でもボーカル以外の人が歌っている曲って、たまにでいいかなって思っちゃうんで(笑)。そんなに頻繁に自分が歌う曲があったらリスナーの皆さんもお腹いっぱいになっちゃうかなって。

後藤:「宿縁」をシングルとしてリリースすると決まって、そうなるとカップリング曲も必要になってくるんで「喜多さん、やってくれませんか?」って話をして。そしたら、ずっと曲があるっぽい匂わせをしてくるんですよ(笑)。

一同:(笑)。

後藤:でも全然持ってこない。このままいくと匂わせられたまま締め切りがきてしまうぞ、と。それで喜多さんをスタジオに呼びつけて。山田くんが来られなかったので、僕がベースを弾いて3人でセッションしながら曲を練っていったんです。

――匂わせをしていた、というのは何か理由があったんですか?

喜多:「宿縁」と聴き比べたときにカップリング曲として合うか不安があったんですよ。もう少し明るい曲調のほうが、相性的に良いのではないかと思ったんです。それで、全然違う曲を作り始めていた頃に、ゴッチからメロディと歌詞が入ったデモが送られてきて、すごく良い曲になりそうだと思って本気になったわけです。

後藤:(ボーカル曲は)数年に一度くらいでいいとか言いながら、もう一曲準備してんじゃん(笑)。

一同:(笑)。

――「ウェザーリポート」の歌詞は非常に情景的です。作詞はゴッチ(後藤)さんが行われていますが、どのように制作を進めていったんでしょうか?

後藤:これがなかなか難しいんです。デモの段階で仮歌が『ラ・ラ・ラ~♪』とかなんで、喜多さんが何を歌いのか全然わからないんですよね(笑)。メロディから曲が持つ景色を想像して描いていくしかなくて。それで、こういう内容になっていきました。

喜多:すごく良い歌詞ですよね。<淡いブルーの季節のスターライト>なんて、個人的に嬉しいオマージュがギミックとして組み込まれていたり、情緒ある内容ですけど、どこか遊び心が感じられる曲に仕上がっていると思います。ライブでやるのが楽しみですね。

随所にユーモアを落とし込んだ
パワーポップ「日坂ダウンヒル」

――3曲目「日坂ダウンヒル」は2008年に発表された5thアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』の続編ということで、その世界観が再び表現されていますね。

後藤:はい。日坂は鎌倉高校前駅の昔の駅名なんですけど、そこに紐づけて、その土地を舞台にした漫画作品の景色を引用したり、どこか関連性を持たせた歌詞にしたら面白いかなと思って。『サーフ ブンガク カマクラ』は、わりとユーモアを持って色んな引用や暗喩(あんゆ)を楽しみながら、必死になってふざけているような側面も持った作品でもあるんですよ。この曲にもそういう表現が随所に落とし込まれています。「宿縁」はすごくシリアスなムードがあって、これもアジカンらしい曲ではありますけど、時にはユーモアを大事にしながら楽しい気持ちでパワーポップを作るというのも僕たちらしい表現だと思うんです。そういう意味で「日坂ダウンヒル」は非常に自分たちらしい楽曲だと思いますね。

――おっしゃる通りですね。歌詞や曲自体から明るく楽しい印象が伝わってくるようです。

後藤:ふざけたような表現を利用しつつも、キラキラしていない青春について少し言及しつつ……。そんな内容ではあるんですけど、めちゃくちゃグッときます、この曲。最後の<来た道をまざまざ振り返って その先の青さに驚いたまま 駅まで下って>っていうパートはすごく気に入っていますね。ここは自分たちのことを比喩(ひゆ)として使っている側面もあるというか。僕らも40歳を過ぎて体力的にも人生的にも折り返し地点を超えているけど、でも、これで終わりじゃないよねっていう。少しずつ下り坂を降りていくことは間違いないんだけど、まだまだ終われないっていう気持ちを、漫画や歌詞の引用も絡めつつ青春として描いているという。手前味噌ではありますけど、本当に良い曲が作れたと思います。すごいですね、パワーポップおじさんだなと思いました、自分のことを(笑)。

伊地知:『サーフ ブンガク カマクラ』は2008年にリリースしたアルバムで、まだ曲にしていない駅の作品(※)もあったんですけど、あのときに眠っていた作品がまた動き出したような感覚がありました。「日坂ダウンヒル」を制作して、そんな気持ちになりましたね。2023年に入ったら、またレコーディング期間に入って、年内にアルバムもリリースしてツアーをしたいと考えているので、このムードのままいけたらすごく楽しくなっていきそうです。

※『サーフ ブンガク カマクラ』収録曲は全曲、タイトルに江ノ島電鉄の駅名が入っている。実在する15駅中10駅がすでに楽曲として表現されている。日坂は、まだ使用していない駅名であり、同時に現在は実在していない駅名となる。

――そういった意味では「日坂ダウンヒル」は2023年のアジカンにとって1つの指標めいた曲になるとも考えられますか?

後藤:そうかもしれないですね。この先にまだ隠している曲があるので。今年は『サーフ ブンガク カマクラ』のモードで楽しくバンドができる感じがしています。去年も楽しかったんですけど、もっとじっくりと肩の力をストンと抜いて楽しく演奏できたらいいなって気持ちもありますね。良い一年になっていくんじゃないかなっていう予感があります。

――ありがとうございます。さて「宿縁」はバンドにとって通算30枚目のシングルでした。この30枚という数字について感慨深さはありますか?

山田:あまり数を意識することはないですけど、改めて30枚目と言われると、なかなかの作品数を発表してきたんだなと思いますね。シングルという作品の形も変わっている時代なのに。

後藤:そうだね。30枚もCDを作ったってこと自体がすごいよね。アルバムを含めるともっとだし、サブスク時代の中で、変わらずに出し続けているっていう。

山田:そうそう、頑(かたく)なにカップリング曲と合わせてリリースをし続けてきて。これをいつまで続けていくのかわからないですけど。

後藤:あと思うのは、(イラストレーターの)中村佑介が描いたジャケットが約30枚、世に出たって思うと、すごく文化的な意味がある気がする。彼の絵が形となって人々の手元に届いていったというのは、彼にとっても僕らにとっても、大きい仕事の一つかなって思いますけどね。

喜多:だから「宿縁」も間に合ったらいいよね。最近、忙しそうだから。

――このインタビュー時点では、まだアートワークが完成していないですからね。皆さんのアー写がジャケット的な感じで資料に掲載されている状態です。

後藤:あ、今はまだジャケじゃないのか。このまま写真でいくと往年の“EPICソニー然”とした昭和感が出てしまう。

喜多:いっそ今作はこのまま(写真で)いきましょうよ。

後藤:いや、そんなの何かがあったとしか思えないよ(笑)。

一同:(笑)。

Information
3曲入りシングル「宿縁」
2月8日リリース!

■初回生産限定盤[CD+ Blu-ray] KSCL-3417~3418 ¥2,420(税抜価格 ¥2,200)
■通常盤[CD] KSCL-3419 定価 ¥1,100(税抜価格 ¥1,000)

[CD] ※初回・通常共通
01. 宿縁 ※TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』OPテーマ
02. ウェザーリポート
03. 日坂ダウンヒル

[Blu-ray] ※初回生産限定盤のみ
ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2022 「プラネットフォークス」at 日比谷野外大音楽堂 2022.7.23
01. De Arriba
02. センスレス
03. トラベログ
04. ローリングストーン
05. スローダウン
06. ソラニン
07. 解放区
08. 再見
09. Be Alright

Profile/ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレーション)
1996年結成。後藤正文(vo.g)、喜多建介(g.vo)、山田貴洋(b.vo)、伊地知 潔(dr)による4人組ロックバンド。 2003年メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにてNANO-MUGEN FES.を立ち上げ、 2004年からは海外アーティストも加わり会場も日本武道館、横浜アリーナと規模を拡大。2016年にはバンド結成20周年イヤーを迎え、自身最大のヒット作『ソルファ』の再レコーディング盤をリリースするなど話題を集めた。2021年にバンド結成25周年を迎え、2022年3月には記念すべき10枚目となるアルバム『プラネットフォークス』をリリース。後藤が描くリアルな焦燥感、絶望さえ推進力に昇華する圧倒的なエモーション、 勢いだけにとどまらない「日本語で鳴らすロック」でシーンを牽引し続け、世代を超えた絶大な支持を得ている。
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写真=松嶋豊裕
スタイリング=岡部みな子
ヘアメイク=田 有伊
インタビュー&文=田島 諒

▼衣装協力
71 MICHAEL /info@71michael.jp
STOF /☎03-6809-0464
CIAOPANIC TYPY カメイドクロック店 /☎03-5875-3198

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  • 通算30作目となる節目の作品「宿縁」リリースにあたり、インタビューに応じたASIAN KUNG-FU GENERATION
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  • ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文
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田島 諒

田島 諒

DMRT inc.所属。コンテンツディレクター。数々のインディペンデントカルチャーメディアを経て2016年に独立。ロック全般をベースとする音楽コンテンツの制作、メディアディレクション、地域振興系メディアのエディットなどを行う。日夜チャリで渋谷を爆走する漆黒のCITY BOYとして、365日スコッチを手放さない。

Instagram:@ryotajima_dmrt

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