やりたいことを諦めてまで会社員になる意味ってある?コスメヲタちゃんねるサラがユーチューバーになった理由
執筆者: ライター・エディター/小林大甫
大手YouTuber事務所であるVAZとの連載インタビュー企画【VAZによるVAZらせ講座】。今でこそなかなかレッドオーシャンな環境のビューティ(美容・メイクなど)系動画配信を、独自の路線で切り拓いてきた「コスメヲタちゃんねるサラ」さんに今回はフォーカスを当てていきます。まさに“好きが高じて仕事となる”を体現したサラさんのYouTube活動を始めるまでの経緯やきっかけに迫ります。
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学生時代の制限と理不尽からの
反動でコスメへの欲求が爆発
――まずはYouTube活動を始める以前のサラさんの生い立ちや学生時代についてお伺いします。
サラ 今とキャラクターや性格が大きく変わっているかといえばそんなことはなくて。すごい陽キャってわけでもなければガチの陰キャってこともなく、ただゲームや漫画とかが大好きなオタクって感じでしたね。今、29歳なんですが当時だと漫画『ディーグレイマン』や『家庭教師ヒットマンREBORN !』など(週刊少年)ジャンプ系を中心に広く読み漁っていました。
――どのような学生生活を送っていたのでしょう?
サラ 私が通っていたところが中高一貫の女子校で、とにかく校則が厳しかったんです。今だから言えますけど、先生もホントに理不尽で(笑)。イヤイヤ学校に行く日々でしたね。メイク禁止、髪なんてもちろん染められないですし、眉毛も剃れない、髪型も制限されるわで、陰湿な時代を過ごしていました。かといってアルバイトも禁止されていたので、自分の時間の過ごし方がゲームや漫画になっていったって感じですね。
――当時の生活を考えると今の活動になかなか結びつきにくいように感じますが、どこかにターニングポイントがあったんでしょうか?
サラ 元々「ニコニコ動画」を観ることが好きで、高校の頃はボカロPや“歌ってみた”をよく観ていたんです。それで自分でもやってみたいと思って、大学はメディア系の学科を専攻しました。動画を作ったり、イラストを描いたり、3Dモデルを作ったり、それこそ音楽をパソコンで作ったり色々と経験できました。
――大学に進学したことで今の礎(いしずえ)ができたんですね。メイクや美容に関して興味はどのように変わっていったのでしょうか?
サラ それこそ、その地獄の(笑)女子校生活をようやく終えて、大学に入って爆発したんです。もう「絶対共学に行ってやる!」っていう気持ちで進学したんですけど、それが大きな転機だったと思いますね。「モテたい!キレイになりたい!」という気持ちが本当に強くなりまして(笑)。入学直後からコスメを買うことにがっつりのめり込みました。ただちょっと人と違うのは、メイクのノウハウを磨くってよりはとにかくコスメをずっと見て何がいいのかを研究していたこと。当時は今みたいに情報が豊富ではなかったので、Twitterで検索してようやく見つけた個人のレビューを参考にしてみたり。まだ写真も荒くて全然参考にならないんですよ、これが(笑)。そんな時代を過ごして、結果的に今の活動の大きな土台になっているんだとは思っています。
――当時もYouTubeはあったかとは思いますが、参考にされた方はいらっしゃいましたか?また、他に参考にした雑誌などはありましたか?
サラ 自分がコスメを選ぶ中では特にないですね。本当に足を運んで気になったらTwitterで検索してみることだけ。雑誌も色々と読みましたけど、やっぱり感覚的というかノウハウ寄りな記事が多かったので。全然メイク系ではないですけど、YouTubeだと瀬戸弘司さんが本当に好きで。ガジェットなどのレビューみたいに、しっかりした理論がある上でコスメを選びたいな〜って思っていました。
踏み出したYouTubeへの第一歩も
不安と葛藤は常に抱えながら
――では、YouTubeを始められたきっかけについて教えてください。
サラ 始めたのは大学3年生の終わり頃ですね。だんだんとコスメに関する知識も増えてきたのと、あとはやっぱり論理的なレビューや情報が圧倒的に少ないままだったんです。だったら自分でやってみようって。幸い大学の専攻で動画をすんなり始められる知識と環境があったのもきっかけの一つだったかもしれません。ただ本当にこんな風になることを予想していたわけでもなく、普通に就職活動もしていたんですけどね。
――時期的には社会に出る準備段階ですもんね。YouTubeをしながら会社勤めを目指されたわけですね?
サラ そうなんですけど、実際YouTubeを始めたら今まで私が作るようなコスメ動画がなかったからか結構反応があって。このまま会社勤めをしていいのかと疑問に思うようになったんです。とはいえ始めて1年も満たないわけですから、YouTube一本でやっていくことも不安で。大学を卒業する頃にはギリギリ一人暮らしができるくらいの収入があったんですけど、会社勤めをするとなると活動は激減、最悪諦めないといけないと思ったときに「それはなんか違う」って思ったんです。やりたいことを諦めてまで働く意味を私は見出せなかった。それで“何かに所属すること”、そしてこの活動がダメになっても大丈夫なように国家資格を取ろうと思い、美容専門学校に通うことにしました。
――そこがサラさんの大きな決意したポイントなんですね。ただ、美容専門学校は大学以上に忙しいと聞きますが、両立は大変だったんじゃないでしょうか?
サラ ですね……。通い出して半年くらいで活動も学業も慣れてきたので一人暮らしをし始めたんですけど、ちょうどその頃から両立が難しくなってきて。それでもなんとか続けていたんですが、そこから1年後に通信に変えたんです。卒業間近だったのもあって先生には止められたんですが、企画を考える時間や投稿頻度を蔑(ないがし)ろにしてしまうことが耐えられなくなって。それで通信に移ったことで時間を有意義に使うことができて、まぁ予定よりもだいぶゆっくりでしたが無事美容師免許も取ることができました。
――美容師免許も取られていたんですね!驚きです。ただ取得したとなると、次は美容師になるという選択肢もあったわけですが。
サラ その頃にはもうYouTubeで生きていく覚悟というか、手応えというか、そういったものがあったので美容師にはなりませんでしたね。とはいえこれからYouTubeをバリバリやっていくなら国家資格を持っていても損はないというか、箔(はく)がつくと思っていた部分もあります(笑)。
(後編に続く)
Profile/サラ
1993年11月6日生まれ、千葉県出身。2014年よりYouTubeチャンネル『コスメヲタちゃんねるサラ』を開設。2023年1月現在、チャンネル登録者数は約74万人を誇る。プチプラからハイブランドまでとにかくコスメが大好きで、新作コスメの最速級レビュー動画や、メイクとエンタメを掛け合わせる一風変わった“IQ3動画”が多くのファンを惹きつける。自身のコスメブランド「MIRAGEM(ミラジェム)」もプロデュースを行う。現在、「コスメヲタちゃんねるサラが本気で作った!持ち運べるドレッサーポーチBOOK」(宝島社)が好評発売中。
写真=大村聡志
インタビュー&文=小林大甫
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この記事を書いた人
大学卒業後、アパレル会社へと勤務したのち出版社へと転職。メンズファッション誌の編集を経て、フリーランスのエディター兼ライターとして独立。服、アイドル、車、野球を生き甲斐にしています。あとはお酒。最近は自宅の仕事用ガジェットを揃えることに夢中!
Instagram:@d.kbys_badw
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お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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