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連載真説 星野仙一 ~誰も知らない“鉄拳制裁”の裏側~

今岡真訪「星野さんは救世主だった」阪神優勝を支えた“闘将”との知られざる関係

執筆者: ノンフィクションライター/長谷川 晶一

星野が阪神監督に就任後にその才能を開花させ、主軸を担った今岡誠(現・真訪)

星野が遺したもの、星野から学んだこと

03年、18年ぶりのリーグ優勝という大輪の華を咲かせ、星野はタイガースの指揮官を退任した。その後は野球評論家となり、08年北京五輪の日本代表監督を経て、やがて東北楽天ゴールデンイーグルスの監督として現場へ復帰した。その間も、今岡は現役選手としてグラウンドで戦い続けていた。

「本音を言うと、僕は星野監督の下でコーチをやりたかったんです。一度でいいから、選手としてではなく、自身が《指導者》として星野監督を間近で見てみたかった。しんどい役回りでしょうけど、あの人の下で一度指導者を経験できていたら、僕の山あり谷ありの野球人生の中で、もっと深く、人に説得力を持たせられる人間になれていたのかな、と思うことはありますね」

星野の下での「今岡コーチ」という未来図は、ついに実現することはなかった。しかし、今岡がその背中から受け取った有形無形の財産は、今も彼の血肉となっている。

「星野監督から学んだいちばんのこと、ですか……。あの人はね、一見するとグラウンドで“ボケー!”と怒鳴り散らして暴走しているように見えるでしょう。でも、実は真逆なんです。本当は誰よりも冷静で、僕らのことを思い切り『後方支援』してくれるいちばんの味方だった。世の中には“後方支援しますよ”と口先だけで何もしない指導者がたくさんいますけど、星野監督は違った」

では改めて、今岡は星野から何を学んだのだろうか。問いを投げかけると、今岡は少しの間、視線を落として深く考え込んだ。

「……難しいですね。愛情もあるし、人の面倒を本当によく見るし、あんな人はどこを探したっていません。でも、“何を学んだか”という本当の答えは、僕がもう野球界に携わらなくなったときにわかるものなのかもしれない。僕は今もまだ、その道中を生きていますから。自分自身も答えを模索している最中なんです。また何年後かに、僕がもっと歳を重ねたときに聞いてください。そのときになったら、“あっ、そうか!”と気づく新たな発見が、必ずあるはずですから」

この記事を書いた人

1970年生まれ。早稲田大学卒業後に出版社へ入社し、女子高生雑誌『Cawaii!』などのファッション誌の編集に携わる。2003年からフリーに。ノンフィクションライターとして活動しながら、プロ野球12 球団すべてのファンクラブに入会する「12 球団ファンクラブ評論家®」としての顔も持つ。熱狂的な東京ヤクルトスワローズファンとしても知られ、神宮球場でのホームゲームには全試合駆けつける。単行本が7刷となり文庫化もされている『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』(単行本:インプレス、文庫:双葉社)をはじめ、ヤクルト関連の著書・連載多数。スポーツ総合雑誌『Sports Graphic Number』(文藝春秋)にも定期的に寄稿中。日本文藝家協会会員。

X:@HasegawSh

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