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「強豪から最下位へ」どん底を見たFULLCAST RAISERZの華麗なる逆襲。ぶっ飛びディレクター・KTRとピュアな野獣・KILLA TWIGGZが最終決戦前に思うこと

執筆者: 音楽家・記者/小池直也

真の優しさと原始的クリエイティブ

D.LEAGUE 25-26 CHAMPION SHIPに挑むFULLCAST RAISERZ・KTR&KILLA TWIGGZ

——印象的だったROUNDを挙げていただけますか?

KTR:自分が出たなかではROUND.1『GONG』が印象的でした。開幕戦でエースをディレクター自ら務める、という演出をかけましたからね。そこで勝ってMVD(最優秀選手賞)も獲れたのはデカかった。それに昨シーズンで負け続けた分、みんなのエネルギーがマジですごかったです。CSくらいの熱量で行ったと思うんで、もう何も余すことなく出した感じ。

それからROUND.8。DYM MESSENGERSとエンディングが被ったのが奇跡だなと。あのシンクロパートは悩んだ結果、最後に持ってきたんです。チャレンジしてよかった。

KILLA:俺は自分がエースをやったROUND.5『FROM HERE』。緩んでたとかではなく、気合はめちゃくちゃ入ってましたよ。相手も過去に2連続CS優勝をしてるKADOKAWA DREAMSでしたから。

でも今考えると、自分らの武器を過大評価してたなと。完全にそこですね。驕りといえば驕り。もっと熱量を結果につなげられる作戦があったなと最終ラウンドを経た今は思います。

CSの作品を作りながらいろいろと考えられるのも、あの敗戦があってこそですね。本番まで作品や自分の感性を常に疑う必要があるなと。

——KTRさんはディレクターとして、今季はどのように考えていたのですか?

KTR:今までは自分もプレイヤーだから、メンバーに楽しく踊ってほしいと思っていたんです。だから各自に全部任せていたんですね。でも舵取りがいないと不安になるじゃないですか。自由にやってもらうのは自分の優しさのようで、実は優しさじゃない。

だから前ディレクター・Twiggz “JUN”さんのように「俺が右と言ったら右」という瞬間もあります。でもKILLAのファッションセンスだったり、INFINITY TWIGGZのリーダーシップを頼ってはいますね。ただ「任せる」ではなく「頼る」のは違うと思うんですよ。俺は絶対的なボスにはなりたくない。あくまでもメンバーと一緒のラインにいたいなとは考えています。

——なるほど。ほかに心がけていたことがあれば聞きたいです。

KTR:あまり自分が出場しなかったことですかね。出ないで裏を固めたり、みんなが不安なく踊れる環境作りだったりも大事。ディレクターが出ると、それがおろそかになるリスクもあるんです。かといって、やりやすいだけでもダメですから。そこのバランス感に気づいたシーズンでしたね。

やっぱり各メンバーの意識が高いから任せられる部分が大きいです。正直、俺がいなくても成り立ってるんじゃないかとも思うくらい(笑)。自分も成長してるし、チームも成長してるし、今シーズンはいいチーム作りができてます。

——KILLAさんは最も楽曲に携わったシーズンだったんじゃないですか?

KILLA:結構やってますね。

KTR:「レイザーズのラップといえば」という感じになってます。KILLA自身がアーティストもやってるんで、歌詞を書くスピードも早いし、チームとしても助かりますよ。

KILLA:自分の楽曲を考えるときは遅いんですけど、チームの曲は考える暇がないので……。締切がないとできない(笑)。友達やラッパーに頼んでもいいんですけど、変更が効くかどうかが大切で。

「ここで声をこう抜きたい」とか、細かいことは踊る側じゃないとわからないじゃないですか。勝手に声や音を編集されるのが嫌な人もいますし。でも自分なら納得して変えられますから。「この音がほしい」とアイデアが浮かんだら、トイレやスタジオの階段で「ドドドンバンドン」とボイスメモで録った音を重ねた音でリハしたり、だんだんとチームがクリエイター集団みたいになってますね。原始的ですけど。

この記事を書いた人

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

X:@naoyakoike

Website:https://smartmag.jp/

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