23歳で強豪KADOKAWA DREAMSの指揮官に。悩めるHINATA.Mを救ったKELOの「ただ近くにいる」姿勢と言葉
執筆者: 音楽家・記者/小池直也

レギュラーシーズンを終え、CHAMPIONSHIP(CS)を目前に控えるD.LEAGUE 25-26シーズン。22-23からレギュラーシーズン2連覇を達成し、その後も常に上位争いを続ける強豪・ KADOKAWA DREAMS(KD)は、今季23歳のHINATA.Mをディレクター兼プレイヤーに抜擢する大胆な新体制へ踏み切った。
約30人のメンバーが、わずか8人の出場枠を巡ってコンペを繰り返すなか、若き指揮官は作品制作とチームマネジメントの両立に挑み続けたという。その隣にいたのが、かつて憧れの存在だったKELO。音楽活動という共通項、リーグ特有のシビアなメンバー選考、そしてCHAMPIONSHIPへの覚悟。常に進化を続けるKDのメンバーとして、ふたりは何を思いながら最終決戦へ向かうのか。
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「そばにいてくれるだけでいい」ディレクターはつらいよ

──おふたりはチーム内でどんな間柄なんですか?
HINATA.M:どういう関係なのか……。よく一緒に昼ご飯を食べてますね。
KELO:友達とか同級生かな(笑)。
HINATA.M:ダンスを始めた頃から、KELOさんが参加していたチーム「KING OF SWAG」に憧れていたんですよ。関西に住んでいたので、関西に来てくださったときにレッスンを受けたこともありました。一緒に踊ることになってからも最初は「やらせてもらってる」感覚で。
KELO:HINATAはKDのなかでもヒップホップだけじゃなくて、プラスアルファで「俺はこれだぜ」というスタイルを持ってる子だなという認識で見てましたね。颯希(SATSUKI) 君や退団したDaichi君も同じで、そういう存在は珍しいんです。具体的にいうと、Poppingとタットとアニメーションの要素、あとは指の細かい繊細さが入っている。それにフリースタイルでも振り付けでも踊れる。ひとりになったときに輝ける人は強い。
HINATA.M:そんな真面目に聞いたことなかったです(笑)。
KELO:いつも分析してますよ。ダンスが本当に好きなので。
──音楽活動も共通点ですよね。HINATAさんは「FASM」名義でラップもされてます。
HINATA.M:自分はダンスを始める前に父の影響でドラムをやっていたんですよ。ファンクやフュージョン、ジャズを叩いてました。ダンスを始めたきっかけもマイケル・ジャクソンでしたね。ラップは、足を怪我したシーズンがあって半年ぐらい踊れないときに始めました。もともとヒップホップが好きで、やりたかったんですよ。今ではKDの楽曲も作らせてもらってます。
──KELOさんはレギュラーシーズンの佳境の4月に楽曲「超絶デンジャラス」をリリースしましたが、もともとシンガーになりたいと思っていたのですか?
KELO:まったく思っていませんでした(笑)。でも自分もマイケル・ジャクソンやブルーノ・マーズなど、歌って踊れるアーティストに憧れていたんです。ダンサーって少なからず、そういう人に憧れると思うんですよ。だから後悔したくないし、せっかくの機会だからやらせてもらいました。
──いずれ、おふたりで何か一緒に作ったりも?
KELO:そうですね。全然、何でもできますよ。
HINATA.M:D.LEAGUEのテーマソングを作りたいです(笑)。
──HINATAさんは今季からディレクター兼プレイヤーに就任されるなど、チームの体制が変わりました。プレッシャーもあったと思いますが、実際のところはいかがでした?
HINATA.M:正解がわからないので「これで合ってるのか?」と迷いながら、KELOさんにも相談しつつ戦った感じです。前半戦に関しては、楽曲を作り、みんなのモチベーションも考えながら……本当に頭を使って踊る日々。メンバー全員含めて30人くらいいて、それぞれ考えていることも違う。でもステージに立てるのは8人。自分もプレイヤーとして踊りながら、全体も見なきゃいけない。
前ディレクターのKEITA(TANAKA)さんは、ディレクションにずば抜けた才能を持っていました。だから彼が「こう」と言えば、みんながそっちに行く。あの責任感の強さは経験の差もあるとはいえ、すごかったなと自分でやってみて感じます。でも「自分には自分にしかできないやり方がある」と考えて挑んだのが今季でしたね。
100%やり切れたかと聞かれたら、全然そんなことないんですけど、でもこの立場を23歳で経験させてもらえることに感謝ですし、試行錯誤しながらシーズンを走り切った自分には拍手を贈りたいですね。マジでKELOさんがいなかったら終わってました。
──KELOさんがサポートしたのはどういう部分でしょう。
KELO:まったく何もしてないですよ(笑)。「ずっと近くにいる」っていう、ただそれだけ。
HINATA.M:それが一番いいんですよ。
KELO:でも自分としては、昨シーズンとそこまで変わりはなかったです。ただ「HINATAがディレクターのときに優勝したい」という気持ちが強かった。「相手を負かしたい」とか「リーグで優勝したい」というよりも、まず「誰かのために」という性格なんですよ。そこに優勝が付いてくればいいかなという程度。だからCSは勝ちたいですね。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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