今季のKOSÉ 8ROCKSはなぜ強い?Taichi&YOUTEEが明かす“常識を捨てた”新戦略
執筆者: 音楽家・記者/小池直也

D.LEAGUE 25-26でBLOCK HYPE 2位を獲得し、CHAMPIONSHIP(CS)への切符を掴んだリーグ唯一のブレイキンチーム・KOSÉ 8ROCKS。負け試合はひとつだけという今季の彼らはなぜ強いのか?
今回登場するのはチーム結成時のオリジナルメンバー・Taichiと、さまざまなジャンルを横断して踊る長身ダンサー・YOUTEEだ。自分たちの常識を捨て、他ジャンルの要素や“名前のない”動きを多用したという今シーズンの振り返りとCSへの意気込みを聞いた。
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ゼロイチよりも、1を10に、10を100に広げる作戦

――おふたりはチームのなかでどんな間柄ですか?
Taichi:YOUTEEが20-21 SEASONにチームに入ったとき、僕はROUND.10までケガのため離脱していたんですよ。だから復帰後に同い年かと思って呼び捨て&タメ口で話してました。
でも後から1年先輩ということを知り……。今さら変えられないので、今も生意気な態度でやらせてもらってます(笑)。
YOUTEE:8ROCKSに入ってから、一番喋るのがTaichiですね。気を遣わずに話してくれたおかげで、仲良くなるのも早かった。お互いに洋服が好きなので、オフの日は買い物に行ったりもしてます。
――ダンスについては?
Taichi:好きなダンスの方向性が違うので正直、自分とは別物です。でも違うからこそ、取り入れたい部分も多くて。
YOUTEE:スタイルは全然違うけど、作品を考えるときの考え方は近いものを感じてます。
――レギュラーシーズン、ほぼ負けなしでBLOCK HYPE2位。去年はブロック制導入前とはいえ4位と考えると、ステップアップしたと言えると思いますがいかがでしょう?
Taichi:ディレクター・SHUVANさん、クリエイティブディレクター・KENNY SPLIFさんの他チーム研究がすごかったですね。対戦相手の強みと弱みを分析して、「ここをこうすれば、うちが有利」とか「ここは自分たちがマイナスになるから、別の見せ方で行こう」と。
その分析がハマった感じがします。「“プロリーグ”を戦っているんだな」という実感が、今季でより増しました。
YOUTEE:マインドの部分も大きかったですね。昨シーズンのCSはTRIAL MATCHで負けてしまい、控えメンバーが次の2戦に出られずに終わってしまいました。
だから「全員が出場して終わりたい」という気持ちがみんなの心にずっとあって、やるべきことを理解してシーズンに臨めたと思うんです。それも結果につながった要因かなと。
—— 今季はブロック制が導入されて、試合数が減りました。今までよりも時間に余裕があるなかで、作品の作り方は変わりましたか?
Taichi:月1のペースはありがたいですね。2週間に1回だと作品の完成度を上げるのが難しかったので。今は本当に見せたいものをパフォーマンスできています。
YOUTEE:あとブレイキンは体を酷使するので、連続で出ているメンバーは体を痛めたり、怪我したら療養期間が必要なんです。だから今季のスケジュールは身体的にありがたいですね。
—— Taichiさんは頸椎椎間板ヘルニアからの復帰もされています。
Taichi:ケガは常に隣り合わせ。踊るときは怖いと思いませんが、日常では「いつまで続けられるんだろう?」という不安はありましたね。僕の場合は首なので、そこより下が全部動かなくなる可能性もある。
だから練習前に誰よりもストレッチして、リハビリやトレーニングを含めて1時間弱はやるようにしています。気を抜くとすぐダメになっちゃうので、そこは意識してます。
——ショーケースの内容的には今季、立ち踊りが増えた印象がありました。
Taichi:そうなんですよ。見せ方の幅が広がった感覚。他ジャンルの動きをブレイキンの技でやる。それが今季の8ROCKSの強みなんですね。
「これは自分たちにしかできない」という見せ方がひとつでも入れば、他チームには再現できない。そうすれば負けないという発想になりました。
YOUTEE:それこそが今シーズンの軸そのものです。ゼロイチを生むよりも、1を10に、10を100に広げる作業。常に「ブレイキンの俺たちだったらどうする?」という頭の転換をしています。
——あと音楽的にはブーンバップが減りましたね。おしゃれな曲が増えたというか。
YOUTEE:ブーンバップってカッコいいんですけど、暗くなりがちなんです。リーグの性質上、渋すぎると熱量が伝わりづらい。「格好いいけど、今の審査項目的にはどうなんだろう?」という話になって、自然と減っていきました。
今は顔がパンと見えて、熱量がちゃんと伝わる楽曲選びです。キャッチーな方向じゃなく、自分たちが格好いいと思える範囲でバランスを取って、みんなで話し合いながら作っています。
Taichi:今回ROUND.3『The code -・・・・』で制作を担当させてもらったのですが、音楽はストリングス系とヒップホップを混ぜました。前に作ったときはストリングスとブレイクビーツで作ったんですが、今回はもっと格好いい方向で攻めてみようと。最初に楽曲を聴いたときに「これはヤバいぞ」とテンションが上がりました。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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