今季のKOSÉ 8ROCKSはなぜ強い?Taichi&YOUTEEが明かす“常識を捨てた”新戦略
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
シンクロ担当のふたりが語る秘訣

——今季で思い入れのあるラウンドも聞きたいのですが、やっぱりTaichiさんは『The code -・・・・』ですか?
Taichi:そうですね。曲とテーマ、構成を僕が考えて、そこにKENNY SPLIFさんやチームメンバーの意見を入れた感じです。自分のエースパフォーマンスもソロを踊ることより、作品の一部だという気持ちでした。
裏テーマは「Connecting the dots(点を線にする)」。もともとの着想は、ある作家さんの絵だったんですよ。インスピレーションがブワッと来て、そこから走り出しました。あの絵を見たときの衝撃を作品にしたくて。
—— 普段から絵などのアートにインスピレーションを受ける?
Taichi:絵や音楽、映像、いろいろなものから受けますね。
—— YOUTEEさんはいかがでしょう。
YOUTEE:YU-KIと共同で担当させてもらった、ROUND.5『Refrain』ですね。自分が制作に携わったなかで一番気持ちが乗った作品でした。自分たちが踊るのは日常であり、繰り返し行われる毎日の作業なんです。
でもよく考えたら、当たり前に踊っているだけなのに、それを見て喜んでくれたり、評価してくれる人がいるのは素晴らしいなと。だから「いつもありがとう」という感情と、「ダンスは楽しい、自分たちはダンスで生かされている」っていう気持ちを、この作品に込めました。
ROUND.4で強豪に勝ったとき、軽い燃え尽き症候群みたいになって、気持ちが落ちたんですよ。作品を考えるのも正直なところ億劫(おっくう)で。でも、それならエネルギーで押し切るよりも、内面や日常を作品に落とし込んだら面白そうだなと思ったんです。今季で唯一負けてしまった作品ですが、ブレイキンやダンスシーンに刻まれるものになったと思います。
—— 昨季からジャッジ項目として導入されたシンクロパフォーマンスですが、どのチームも力を入れて取り組んでいるなと感じます。8ROCKSでシンクロを見せるときの心意気とは?
Taichi:練習しかないです。
YOUTEE:そうですね。僕とTaichiでシンクロの振り付けを担当しているんです。僕は“音感”担当。今季は「1&2&……」というカウントではなく、音の強弱に沿って作る感じ。僕がそれを発見して、Taichiが振り付けていきます。
Taichi:正直、カウントで合わせたほうが揃うんです。でも観客は音楽を聴きながら見ている。だから動きと音楽のテンションに乖離(かいり)があると、シンクロの部分だけローテンションに見えて、勢いを殺してしまう。そういう気づきがありました。だから音の強弱を取りに行こうと。
YOUTEE:ROUND.3『The code -・・・・』の楽曲「Re:coded」がわかりやすいと思います。バイオリンの音階が高く上下して、また上がる流れを踊りの強さで表現する。伸ばすところは伸ばす、点で取るところはトントントンと。フィーリングで取るのではなく、「ここに何の音が」「どの高さで」「何個あるか」をよく聴く。これが“音感”担当の仕事です。
——Taichiさんのシンクロにおける振り付けは、何を重視していますか?
Taichi:ストーリーですね。「これをやって、次にこれをやる」という繋がりを意識しています。去年は正直、ブレイキンにある動きで合わせることが多かったのですが、今シーズンはそれ以外の名前のない動きを使うことが多かったです。
ブレイキンの動きは性質上、拍の中で空間が空きやすいんです。HouseやWaackは細かく刻めるじゃないですか。でも自分たちのトップロックやフットワークは、その細かさを出しづらい。 既存の動きを音感に合わせると合わないんですよ。だからもう新しく作るしかなくて。
——なるほど。では、注目している他チームのメンバーはいますか?
Taichi:CyberAgent Legit・CHAAちゃん。もともとB-GIRLで、KRUMPもやっているんですね。エースパフォーマンスを見たときも小柄なのに異彩を放っていました。ブレイキンチームの僕らからすると気になる存在です。
YOUTEE:僕も何人か注目しているDリーガーはいるのですが、「チームを変えた」という意味では、やっぱりMedical Concierge I’moonのMEMEじゃないですか。I’moonが持っていた、しなやかさに「豪快さ」が加わった感じ。MEMEのパワフルで繊細なWaackingが、I’moonと化学反応を起こしたなと。ゲームチェンジャー的な意味で気になります。
あと単純に好きで気になっているのがDYM MESSENGERSのKeitric。彼が放つエネルギーやオーラ、雰囲気が異質で。踊るだけでステージの空気が一変するんですよね。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ
関連記事










