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連載熊谷隆志連載 Tokyo Fashion Tribe

柄本佑が語る“スマホ時代の家族の距離感”。主演映画『メモリィズ』に込めた思い

執筆者: ライター・エディター/佐藤玲美

smart6月号のスタイリスト・熊谷隆志の連載『Tokyo Fashion Tribe』のゲストは、主演映画『メモリィズ』が公開中の柄本佑さん。この作品は、写真や動画を交わしながら紡いでいく家族の記憶と記録を描いた物語。柄本さんは、足を骨折した義父を世話するために九州の田舎町へやってくる雄太を演じています。雄太を演じながら感じた作品への想いを語っていただきました。

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柄本佑が語る“スマホ時代の家族の距離感”。主演映画『メモリィズ』に込めた思い

奥行きや肌触りのあるフイルムならではのノスタルジックな世界観が魅力

熊谷隆志(以下、熊谷)「今回の作品は、どんな経緯で出演されることになったのですか?」

柄本佑(以下、柄本)「お話があったのは(配給会社)リトルモアの孫家邦さんから。僕が10代の頃からずっとお世話になっている方なんですが、普段から一緒に飲みに行って映画についてのお話をする映画友達なんです。そんな孫さんから声をかけていただいたというのが一番大きな理由でした。あとは、お話を聞いた時期が大河ドラマの撮影中だったんです。大河ドラマは他に比べて作品に関わる時間が長く、所作などの練習も含めると2年弱くらい。その終わりが見えてきた頃で、“これが終わったらどうしようかな”と、漠然と考えていた時期でもあったので、そういったタイミングとご縁が重なりました」

熊谷「僕も拝見させていただいたのですが、義父の経営する写真館を中心に家族を描いたストーリーに引き込まれてしまいました」

柄本「この作品は、離れて暮らす家族と、それぞれに日々の営みを重ねていく様子が描かれています。今の時代、重いテーマで何かを訴えかけたり、意図や感想を観客に委ねるような作品が多いように感じますが、それらとは全く異なる作品です。今の時代に生まれるべくして生まれた映画かなという気がしています」

熊谷「柄本さん演じる主人公の雄太は、日常をスマホで撮られていましたが、あれは写真ではなくビデオを撮られていましたよね?」

柄本「そうなんです、実際にビデオを回していました。なので、僕自身が撮った画像も映画の作品中に結構使われているんじゃないかな?」

――義父からカメラを譲り受けてからは、静止画を撮影するようになる、というのも何か意図があったのでしょうか?

柄本「それは特になかったですね。今の時代、写真も動画もスマホで撮影できちゃうし撮り慣れているから、そこに意識の変化や意図のようなものはありませんでしたね。スマホという今の時代には誰でも持っているものをうまく利用した作品だな、と最初に台本を読んだときに感じました」

――うまく利用していると感じた点は?

柄本「離れて暮らす家族とは距離はあるけれど、スマホがあれば今すぐ動画や写真で送れるしコンタクトもすぐに取れるし。その一緒にいる感じを味わえるということを表現している部分が今を象徴しているという感じがしました」

熊谷「フォトグラファーとしての感想だと、映像全体から感じる独特のノスタルジックな質感がとてもよかったです。東京と九州の田舎町の情景のコントラストも印象的でした」

柄本「この映画は16ミリフイルムで撮影しているんです。なので、デジタルのようにツルッとせずに奥行きや肌触りのある絵になっているんじゃないかと思います。そこにスマホで撮影した動画が加わるので、そこに対比が生まれていて。そこは監督もかなり意識していたと思います。東京と大分の竹田という街で撮影しているのですが、それぞれで色味を変えて差を出しているとおっしゃっていました。なので、絵作りには相当こだわって、いろいろ狙ってやったんじゃないかな。それが、この作品に流れる“心地よさ”に繋がっている気がしています」

――坂西未郁監督とは今回が初めてとのことですが、作品に入る前に役に関してお話しされたことはありましたか?

柄本「今回も他の作品でも僕自身、役に関して話すということはそんなにないんですよね。何回か二人で飲みに行ったりする中で、映画に関する話は全体の1割ぐらいだったと思います。映画の中でも、説明的なセリフもないし、何気ない日常を映し出していくものなので、そこまで役を詰めるという作業は必要なかったのですが、一緒に過ごした時間がそのまま作品に生かされたらいいな、という感じのコミュニケーションだった気がします」

――そんな中でも役を作り上げていく中で印象的だったことは?

柄本「衣装合わせの際にニット帽を選んでいたんです。いくつか試したのですが、どうもしっくりこなくて。家で目にしたニット帽を後日提案して、採用されることになりました。そのニット帽は妻のものなのですが『汚さなければいいよ』と、気持ちよく貸してくれました。なんかね、ちょっとほっこり感があったほうがいいなと思ったので、このデザインが合うんじゃないかと思ったんです」

――主人公の雄太が九州で生活を共にすることになった義父はイッセー尾形さんが演じていらっしゃいます。イッセーさんとは初共演だったそうですが、どんな方でしたか?

柄本「とてもシャイな方です。作品に対してとても真摯に向き合う方ですね。僕自身ももちろん真剣にやっているのですが、僕とは違う向き合い方をされる方なんです。それもあって、最初は多少ギクシャクした感じがあったのですが、作品的に義父と息子なので、その感じを残したままのほうがいいんだろうなと感じながら撮影に入っていきました。それをイッセーさんも感じてくださっていたと思うんです。お互いにこの関係性でいこうという共通認識を持って演じられたと思うので、一緒にやっていてとても楽しかったです。そして普段はとてもチャーミングな方なんです。いろいろな面でイッセーさんには助けていただきましたね」

――ぎこちないけれど、心地よい関係性でもあるなと思いました。

柄本「ただね、自分の役でいうと、ちょっとこいつ図々しいなって(笑)。義父の仕事を手伝うまではいいけれど、お笑いのラジオを聴きながら片手間で仕事をするなんて、だいぶ天然だなって。ちょっと義父との距離感がバグっているんだろうな、と演じていて思いました(笑)。実は、坂西監督にもそういう天然なところがある方なんです。こういうのは往々にしてそうなんですが、監督が自分を(主人公に)投影していることが多いんです。だから、監督を見ているのが一番役作りにおいて参考になったりするんです」

熊谷「坂西監督は今回が長編映画監督デビューなんですよね。坂西さん自身にも興味が湧いてきました。柄本さん自身、カメラの勉強もされていたと伺いましたが、それは高校卒業後ですか?」

柄本「映像と写真を学ぶ学校で、2年目はそのどちらかを選択するのですが、僕はその頃すでに俳優として現場に入っていたので、映像は実践のほうが勉強になると思い、写真を選んだんです。その頃は、家で部屋を真っ暗にして暗室を作り、現像なんかも自分でやっていましたね。今も現像していないフイルムがたくさんあるんです」

熊谷「今回のロケでは、撮影以外でもご自身のスマホやカメラで撮影をされたりしたのですか?」

柄本「今回に限らずですが、ロケで自分が行ったことのない場所に行く機会が多いので、オフの時間に撮ったりします。この作品のように、風景や綺麗な光などを撮った画像を奥さんに送ったりすることもあります。自分でもそのように使っているからこそ、(スマホで簡単に画像が送れることは)すごく便利な時代になったなと思いますね。自分から送るのはもちろん、子供の動画なんかも送ってもらうこともできますしね」

柄本佑が語る“スマホ時代の家族の距離感”。主演映画『メモリィズ』に込めた思い

ジャケット¥49,500、パンツ¥29,700(ともにGDC/GDC 代官山店☎️080-4153-2623)、その他/スタイリスト私物

この記事を書いた人

東京在住のライター・エディター。『smart』『sweet』『steady.』『InRed』など、ウィメンズ、メンズを問わず様々なファッション誌やファッション関連のwebでライター&編集者として活動中。写真集やスタイルブック、料理本、恋愛心理、インテリア関連、メンタル&ヘルスケアなどの本の編集にも携わる。独身。ネコ好き。得意ジャンルはファッション、ビューティー、インテリア、サブカル、音楽、ペット、料理、お酒、カフェ、旅、暮らし、雑貨など。

Instagram:@remisatoh

Website:https://smartmag.jp/

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