「“変なものが面白い”時代になる」モノンクルが明かす、育児と音楽的チャレンジ
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
いつも最新の自分への挑戦
――では、2年ぶりのシングル「GINGUA」について教えてください。
吉田:きっかけはマネージャーが「これを今リリースしたほうがいい」と強く推してくださったことです(笑)。
角田:現在のマネジメント事務所・ソケッツの中にレーベルを立ち上げたんです。ちょうどそこからの第1弾を出すタイミングでした。いろいろな意味で新しいスタートになる曲。
吉田:ダンスも付けていたので、ライブでは会場のみなさんが一緒に踊ってくれたり、盛り上がってくれるんです。それを活かしたMVも撮れるねと。
――MVにはコレオグラファーのNiki Liyanageさんを始め、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」のチーム・LIFULL ALT-RHYTHM人脈の方々が参加しています。彼らはコンテンポラリーを軸にしたチームですね。
吉田:みなさん初めましての方々で、パワフルでした。
角田:モノンクルの楽曲を使ってくれるダンサーさんが結構いて、その流れもありました。D.LEAGUEのチームとも機会があったらコラボさせてもらいたいです。
――「GINGUA」というタイトルはどこから着想したのでしょう。
角田:いろいろな社会の物差しに自分を当てはめて、「出しゃばらないようにしよう」とか「踊らないようにしよう」と考えてしまう瞬間って誰にでもあるじゃないですか。でも星同士の引力の集合こそが銀河を作っているように、僕らの動きが銀河を直接的に作っている。
僕らが銀河そのものだと言えると思うんですよね。その視点に立てば、何かに萎縮したりすることなく踊ろうよというメッセージも込めています。
――楽曲制作についても聞かせてください。
吉田:角ちゃんのビートから作りましたね。
角田:工程は以前と変わらずです。自分たちで土台を作ってから、ドラムとギターのレコーディングをお願いして音を差し替えました。2年前からライブで演奏していたので、曲が育った状態だったんですね。それが今回の制作でさらにブラッシュアップされています。
吉田:歌に関しては今の声を残そうと思ってました。ただデモに入っている2年前の自分の歌と比較すると「ここは前のほうがよかったな」と感じる葛藤があって。
角田:確かに出産してから最初の大きなレコーディングだから、若干苦戦した気もする。声質とかテンションとか。
吉田:リハビリというよりも、出産後の状態で一番よくレコーディングするにはどうしたらいいか。それを考えていましたね。人間は常にその日その日で新しいですから。いつも最新の自分への挑戦、その連続です。
――挑戦といえば近頃、楽器「Ableton Push」を用いたライブセットを試していますよね。いつも新しい形態を探しているように見えます。
吉田:ひとつのことを続けることのカッコよさはあります。でも私たちはそれが苦手で。すぐ飽きて新しいところに行きたくなってしまう。だから、お客さんが「あの曲がこうなってた」と盛り上がってくれるのは嬉しいですね。
角田:きっかけはいつも必要に駆られて、やらざるを得なかった状況があった結果なんですよ。「Ableton Push」を触り始めたときもそう。その場の条件に合わせて一番いいものをやろうとして今がある感じ。
吉田:でも活動10年以上やってからベーシストの肩書きを脱いで、新しい楽器を始めるって本当にすごいこと。本当に朝から夜まで音楽の人なんです。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ