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「“変なものが面白い”時代になる」モノンクルが明かす、育児と音楽的チャレンジ

執筆者: 音楽家・記者/小池直也

モノンクル

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吉田沙良と角田隆太による音楽ユニット・モノンクルが約2年ぶりのシングル「GINGUA」をリリースした。吉田の産休を経て、音楽家としても夫婦としてもパワーアップした彼らが、デビューから11年に渡ってフレッシュさを保ち続けられた理由に迫る。

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育児と音楽の両立で得た「生きてる感」

モノンクル

――吉田さんの出産を経て今年、活動を再開されました。まずは休止期間のことについて教えてください。

角田隆太(以下、角田):妊娠からの最初の数カ月は大変でした。

吉田沙良(以下、吉田):「重症妊娠悪阻」という状態に陥ってしまって。その中でもあまり聞かない症状なんですけど、音楽が聴けなくなってしまったんです。最初に自覚したのはモノンクルのリハーサルの日でした。メンバーがセッティングしているときから控え室で「何かヤバいかも」と思って。

休ませてもらっていたら、みんなの軽いサウンドチェックの音で気持ち悪くなったんです。結局その日は帰りました。それ以後、音楽が一切ダメで。

角田:ご飯も食べれなかったしね。最初の5カ月間ぐらいの通院、入院生活は本当に大変だったなと。

吉田:角田さんが「気分がいいときに聴いて」と、私が動けない間に作ってくれたデモ曲も少し聴いただけで「無理……」ってなる(笑)。同じ症状だった妊婦さんがいたら、ぜひ教えてほしいです。

――産休明けすぐ、YouTubeで「らいぶあっと部屋の一角」を配信されました。吉田さんはブランクを感じさせない歌声だと感じましたが。

角田:つわりって不思議なことに突然なくなるんですよね。回復してからはソニーのXperiaさんとコラボした曲「二人芝居」をネットでリリースしたり、活動を徐々に始めていきました。

吉田:その頃からは問題なく歌えましたね。

角田:おっかなびっくりだったので、出来ることから少しずつ試していった感じです。

――妊娠中に歌うと何か感覚が違ったりしますか?

吉田:妊娠経験のある友達と「子宮が響くよね」と話してましたね。お腹に力は入らないんですけど、多量の羊水があるからか楽に声が出るし、響き方も変わるんです。あれは面白い体験でした。

――実際に子育てをしてみて今思うことは何でしょう。

吉田:最初は“生かす”ということに必死。24時間ずっと生きてるかどうかの確認ですね。それを中心に全ての物事が動きますから。

角田:生きる/死ぬがリアルですね。

吉田:最近は少しずつ、その辺で自由にさせても大丈夫になってきてます。

――アーティスト活動との両立は難しくありませんか。

角田:最初は制作物の締め切りなど「間に合うのか?」と不安でしたが、なんとか乗り切っていって「意外とできるんだな」を積み重ねていった感じ。確かに今までの人生と比べて自分のことに時間は使えないけど、無駄が削ぎ落とされて「生きてる感」が増してる。

吉田:確かに。私も「生きてる感」があります。あとは自分たちしかいないから、余計なことを考えなくなるんですよ。そんな時間がない。逆にアイデアが浮かばないときに赤ちゃんを見てリフレッシュしたら、突破口が見えることもあったり。

角田:自分の人生を半分わけ与えてる分、アーティストとしての吉田沙良がいい形で凝縮されているのを隣にいて強く感じているので、今の歌を聴いてほしいですね。

この記事を書いた人

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

X:@naoyakoike

Website:https://smartmag.jp/

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