「スピリットがないとダメ」孤高の音楽家・LISACHRISが考える音楽とファッションの接点
執筆者: 音楽家・記者/小池直也
ビートメイカー&シンガーのLISACHRISが新曲「めかりドキ」と新MV「MAGIC」をリリース。前者は2024年3曲目のリリースとなり、新世代アーティスト・Ido Kyoをフィーチャーした作品、後者は「不思議の国のアリス」をテーマにしたミステリアスな映像となっている。同じ場所にいることを拒み、どんなときも次なる場所を目指す彼女に新曲やファッション観などについて語ってもらった。
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音楽とファッションの共通点
――今日のファッションのポイントは?
LISACHRIS:髪型はたくさん付いたピンでちょっと大正レトロ風な雰囲気にしてもらいました。服はお気に入りのAwesome Boy。普段、古着屋には行かないのですが、このブランドはリメイクが可愛いし形もオリジナルなんですよ。概念系なところが好きですね。シルエットにこだわっていて、Tシャツの襟を詰めたりとか、襟の部分を下に持ってきたりとか、想像にない感覚で服作りしているのが好き。
――オシャレに目覚めたのはいつでした?
LISACHRIS:7歳のとき、ハロウィンでスパイス・ガールズの仮装をしたのが最初だと思いますね。今はサイズ感やエモい配色にこだわってます。
――では先日発売された新曲「めかりドキ」について教えてください。俳句の季語「蛙の目借時(かわずのめかりどき)」から採られたタイトルですね。
LISACHRIS:春の蛙が鳴く、眠くなる時期を現した言葉。これを知ったのは「蛙に目を貸せないくらいに富士山がきれい」という内容の富士山を称える句でした。こんなにカッコいい概念や言い回しがあるんだと。そこにインスピレーションを受けた曲です。
――客演のシンガー・Ido Kyoさんについても教えてください。
LISACHRIS:DYGLの秋山信樹君が紹介してくれたんです。東京でのイベントにも呼んでくれたり、そこから仲良くなりました。声だけ聴くと女の子みたいな「姫系」な声で、かつ歌詞もいいんですよ。そこが魅力ですね。制作は「これ季語だよ」と説明して、イメージを共有しながらラブソングに仕上げた感じ。
――ビートについては?
LISACHRIS:Ido Kyoが「人が少なくて海がきれい」と言うので、彼が住んでいる島根で作りました。最初はもう少し明るい感じでしたが、東京に戻って詰めていたらR&Bっぽくなっちゃって。だから成り行きです。昨年リリースした楽曲「猫憑き」はクレイジーすぎたので(笑)、今回はまともです。
この1年くらいで大人になったんですよ。いろいろな人に聴いてほしいなと思って曲作りも見直しました。その結果、自分の世界観はビートだけで十分表現できるので、曲に色々な要素を入れるよりも削ぎ落とすべきだなと。それはファッションに通ずるポイントかもしれません。あと、どちらもスピリットがなかったらダメ。やっぱり大事なのは中身ですね。
この記事を書いた人
音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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