【河合優実×金子大地×寛一郎インタビュー】“ハチャメチャな”三角関係を描く映画『ナミビアの砂漠』
執筆者: エンタメ系ライター/吉田可奈
山中瑶子監督と主演の河合優実。この2人のケミストリーが、日本映画に新しい風を吹き込むかもしれない。そう目されている作品が、9月6日(金)に公開する映画『ナミビアの砂漠』だ。先の見えない2020年代の“今”を、ひとりの女性がもがき、抗い、そして文字通り暴れる姿からあぶり出していく。主人公カナを演じる河合優実と、カナの二人の恋人を演じる金子大地と寛一郎は何を語るのか。インタビューをお届けする。
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“ハチャメチャな”カナが成長していく手前までしっかり描いた作品
――映画『ナミビアの砂漠』で河合さんが演じた“カナ”という役は“自由”という言葉が一番似合うキャラクターでした。実際に演じてみていかがでしたか?
河合優実(以下、河合) “カナ”はすごく面白いキャラクターですよね。これまでもいろんな役を演じてきましたが、脚本を読んだ瞬間に、一気に惹かれて、早く自分の身体を使って表現してみたいと思ったんです。演じ始めてからは、実際にカナが抱く、どうにも上手くいかない、誰にも理解してもらえないという人間的な内面に向き合いました。カナって、自分と向き合うイコール欠点とも向き合うことになるので、そこから逃げてラクなほう、楽しいほうに生きているんだろうなって気づいたんです。
――となると、今後どんな成長をして、どんな大人になるのかがすごく楽しみですね。
河合 すごく興味がありますね。根本にある、どうしようもないエネルギーは変わらないかもしれないけど、この数年で、すっと角が取れる可能性もありますし。よく「あの人、若い時はヤバかったんだよ」という人っていますよね。そんな人になるかもしれないし、ハチャメチャのまま生きていくかもしれないですし(笑)。そうやって成長していく手前までをしっかり描いた作品のような気がします。
――そんなカナの彼氏として存在している自信家の映像クリエイター・ハヤシは、毎日とてつもないエネルギーを使っていますし、とてつもなく優しいですよね。金子さんはハヤシを演じてみていかがでしたか?
金子大地(以下、金子) ハヤシはカナにとてつもなく振り回されている大変な人なんですが、カナには憎めなさがあるから、関係が成り立っているんです。あの後ふたりが一体どうなるのかはわからないですが、ハヤシは、カナに何をされても、何を言われても、それでも2人でいることが幸せなんです。
河合 きっと、2人は外からどう見えていようとも、幸せなんだと思います(笑)。絶対に、お互いあそこまで気持ちをぶつけないほうがいいですし、ぶつけないほうがラクなんですよ。それでも、それをしながら一緒にいるというのは、今後さらに一緒にいるために道を探っている過程だと思うんです。お互い、“これ以上言ったら絶対にダメ”というギリギリのところで持ち直すことを繰り返し、ちゃんと分かち合おうとしているので、ある意味、すごいですよね。
――ああいうカップルや夫婦っていますよね。
河合・金子 いると思います!
河合 こうやって取材を受けていても、同じような経験があったり、まったくわからないような人がいたり、すごくいろんな恋愛があるんだなとあらためて感じています。
――寛一郎さんは、カナの“優しいけれど退屈な恋人(元カレ)”・ホンダとしてこの作品にかなり強い印象を与えていますが、演じてみていかがでしたか?
寛一郎 ホンダとは、付き合いたくないな(笑)。
河合 自分が女性だったら?
寛一郎 うん。だってハヤシのほうが絶対にいい。お金持ってそうだし。
一同 あはは!
――たしかに、ふたりの男性が付き合う女性でこんなにも人生が変わっていくというところがリアルですよね。
寛一郎 付き合う人によって、もともと持っている性質が引き出されることも多いと思うんですが、僕はハヤシよりホンダのほうがナルシストな気がしますね。
――たしかに、ホンダのほうが、自分の行動に酔う傾向にありますよね。
寛一郎 そうなんですよ。それに、自分がやってしまったことを、許してほしいがために、相手が傷つくことをわかっていても報告するんです。それって、ものすごくナルシズムだよなと思いながら演じていました(笑)。
金子 わかる。たしかに、そうかもね。
この記事を書いた人
趣味・特技は年間300本ほどこなすインタビューと世界中のサバイバルオーディション番組への投票。著書には『シングルマザー、家を買う。』『うちの子、へん?』(ともに扶桑社)がある。
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