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「35歳で限界が来た。それは創作も人生も同じ」ラッパー・TKda黒ぶちが借金300万を背負って挑む新作と初ワンマン6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリース

執筆者:

6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリースし、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」を開催するラッパーのTKda黒ぶち

自分に課した戒律、習慣には魔法が潜んでいる

――また昨年11月に自分の状況を公開したVLOG『パスポートは借用書』の再生数も13万回以上になっていますね。

TK チームの人からの「今の借金の情報もオープンにして制作してみたら?」というアドバイスで作ったんです。5000回再生されればと思っていたら、知らない間に反響があって驚きました。やっぱり他人にネガティブな部分を知られたくないじゃないですか。でも賛否含めて反応があることがありがたいなと。これによって周りに自分を開示することの大事さを学びましたね。

――特にきつかったディスはありました?

TK 「ただただ情弱」という6文字。ラッパーだからだと思いますが、コンパクトにまとまった重い言葉に弱いです(笑)。あとは価値観の押し付け系が多かったですが、それは大丈夫なんですよ。傷つきはしますけどね。自分を理解してくれた上で言ってくれる言葉は刺さりますが、それ以外は芯には当たらない感じ。あとは怒られるつもりで出したので「カッコいい」や「グッときた」という反応に驚きました。

――フリースタイルバトルでディスられるのとはまた違う?

TK やっぱり生活圏内をディスられるのはきついですよ。フリースタイルって街中で知り合いから「バーカ!」と言われるノリに近い。もし不倫したラッパーとステージ上で戦ったとしたら、それをいじることはあってもディスはしません。だからVLOGへのコメントは不倫相手の親戚から何かを言われるような重さがありました(笑)。

――2024年から毎日1ヴァース&1フック(Aメロ&サビ)を録り貯めているそうですね。それも変化ですか?

TK 何かを変えなきゃと思って始めたことのひとつです。自分のなかでルールを決めてやりこんでいて、今は160曲くらいできました。きっかけは般若さんなんですよ。著書『何者でもない』(2018年)に「毎日ラップしないとラッパーじゃない」と書いてあるように、彼もまた毎日1ヴァース&1フック作っているんです。

そのすごさを新作で一緒にレコーディングした「Life Goes On」で本当に理解しました。「こういうテーマの内容にしたいのですが、大丈夫ですか?」と送ったら、「時期的に忙しいからわからない。でもやりたい気持ちはあるから、とりあえずレコーディングできたら送って。そのタイミングで聴く」と。そこである日の朝9時くらいにデータを送ったら、2時間後に「サビってどう考えてる?」と返事がありました。こちらとしては可能かどうかを聞きたかったんですけどね(笑)。

次にサビのアイデアを送ったら「朝ジムに行った時、15分で書いた。でも納得できるものになっているから安心して。お昼過ぎにレコーディングしてくる」と来たんですよ。それから14時には納品、しかも「15分でここまで?」というクオリティ。毎日リリックを書いて積み重ねると、この領域までいけるのかと。それは僕にとって希望でした。改めて般若さんはカッコいいなと。

――なるほど。

TK 「鳴り止まない音 feat.柊人」のビートメイカー・DJ Mitsu The Beatsさんも「daily beats」として毎日ビートを作っているんです。去年「何かいいビートありますか?」と聞いたら、120曲くらい送られてきて。しかもファイルの日付を観たら、全部2023年なんですよ(笑)。それも「毎日何かをする」ということを意識し始めたきっかけでした。

習慣には魔法が潜んでますね。制作を通して怠惰だった自分を見つめ、戒律を課すことでダメな部分を直せている実感があります。これがまさに有名な言葉「練習を1日休むと自分にわかる。 2日休むと批評家にわかる。 3日休むと聴衆にわかる」なのかなと。ラッパーと名乗る限り、もう1日もサボれないと思ってます。風邪をひいた時も一瞬起き上がって、ヘロヘロになりながら録りましたし。今では日常のルーティンになってます。

この記事を書いた人

小池直也

小池直也

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

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