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「35歳で限界が来た。それは創作も人生も同じ」ラッパー・TKda黒ぶちが借金300万を背負って挑む新作と初ワンマン6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリース

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6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリースし、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」を開催するラッパーのTKda黒ぶち

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テレビ番組『フリースタイルダンジョン』や『フリースタイルティーチャー』などで活躍し、お茶の間に名を広めたラッパーのTKda黒ぶち。着々と成功の階段を駆け上がったかのように見えたが、彼は今「黒ぶち」というよりも「崖っぷち」なのだという。人気ラッパーの身に一体何が起きたのか。再起をかけた新作『Re:Dream』と渋谷WWWでの初ワンマンライブのことも含めて語ってもらった。

6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリースし、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」を開催するラッパーのTKda黒ぶち

どん底のメンタルから300万の融資を手に再起動

――現在は自称「崖っぷちラッパー」とのことですが、なぜそのような状況になったのか改めて教えてください。

TKda黒ぶち(以下、TK) これまでも色々な試練がありました。30歳で脱サラして、貯金を切り崩しながらの生活。預金残高が3000円、翌月に40万円の請求という状況のなか『フリースタイルダンジョン』の3代目モンスターになるためのトーナメントで勝って、何とか音楽生活を続けられていました。

それから前作『Don’t Let the Dream Die』を出して、コロナ禍が本格化。そこで酒を飲むとか、東京での遊びを覚えてしまったんですね。さらにコロナ中等症IIで死にかけてからは地元の埼玉・春日部の静けさがダメになり、だったら極端にうるさいところに引っ越そうと。当時はステイホームの影響でビジネスホテルが超安かったんですね。六本木の中心にあるビジネスホテルが1泊2000~2500円くらいで、長めに泊まるとさらに安くなる。

それで週1回だけ埼玉に衣類を取り換えるために帰るという東京でのホテル暮らしを始めました。やはり半年住んでみて東京のほうがいいなと。だからホテルが値上がりするタイミングの、2021年の年末に渋谷区に引っ越してきたんです。

――なるほど、そこで音楽に本腰を入れようと。

TK いえ、遊び惚(ほう)けてしまったんです(笑)。とはいえライブしたり、テレビ番組『フリースタイルティーチャー』に出たりで食いつないではいました。本職である「曲を作る」ということを一番怠りながら、そんな生活も続くわけもなく、結局は2023年の夏にメンタルがどん底に。

そのタイミングで友達のラッパー・ELIONEのワンマンライブを渋谷WWWで観たんです。その前の年にも友人のCHICO CARLITOのワンマンもあったし、彼らから単純に刺激を受けましたね。何もなかった自分のなかに漠然と「自分もこんなステージで輝きたい」という漠然としたビジョンが湧いてきた。再起をかけて帯を締め直して動き出したのが今です。ただ製作費がないので、そこは融資してもらいました。

――どうやって借りたんですか。

TK アルバムに向けて、知人が制作チームを作ってくれたんです。そのなかの3人から各100万円ずつ。でもブランクや実力不足でリリックが書けなかったり、自分の至らなさで計画が1カ月半くらい遅れてしまいました。個人としては一生懸命なつもりでも、せっかくの信用を裏切ってしまった形になり、深夜のファミレスで「本気でやるって言ったよね? 降りるなら今だよ」と言われたりもしました。

そこで「やります」と即答できなかった自分も嫌でしたね。今なら答えられますよ。でも当時は無理で。みんなに迷惑かけたくないし、自分のプライド的にも持たない。3日間ラップを辞めることまで含めて考えましたね。

僕としては「ラップを辞める=死」。だから恵比寿駅の埼京線ホームの端にいた時、そんなつもりはなくても飛び込むことをイメージしてみたんです。トップスピードで侵入してくる車両が怖くて、やはり無理で。ようやく「死ぬのは現実的じゃない、だったらもうやるしかない」と踏ん切りが付いた瞬間でした。

――『フリースタイルダンジョン』3代目モンスター、『フリースタイルティーチャー』への出演など、ラッパーとしては着実にステップアップしていたと思います。もっとタレント的に売れて稼ぐという方向性にはならなかった?

TK ラッパーの本質は歌詞を書くこと、本質はそれだけ。それ以外は付加価値なんですよ。もちろん経験させてもらうことはありがたいのですが、本当のステップアップは作品が評価されることだと思ってます。だからラッパーとして見える景色を変えていきたかったんです。

――もしくは「初心に帰ってフリースタイルバトルの大会で優勝する」という目標の立て方もあったのでは?

TK バトルは僕の人生を豊かにしてくれました。そこに対して再び向き合いたいという気持ちはあります。「勝ち上がりたい」というより、挑む姿勢を忘れている気がしますね。今の大会はオファー制でギャラが発生して出場する形が多い。以前はそういうことではなく、ワクワクとともに自ら参加してましたから。

制作が終わって6カ月ぶりに出たバトル「SPOTLIGHT 2024」でそれを感じましたね。今エントリー制の大会は「KOK」か「UMB」だと思うので、近々その舞台には挑戦したいです。

この記事を書いた人

小池直也

小池直也

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

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