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【乃木坂46一期生 高山一実インタビュー】大ヒット小説「トラペジウム」がアニメ映画化!アイドルだったからこそ描けたリアリティと制作秘話

執筆者: ライター/石野志帆

アニメ映画『トラペジウム』原作者の高山一実

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累計30万部を超えるベストセラーとなった元乃木坂46・高山一実さんによる小説『トラペジウム』。その劇場アニメ映画『トラぺジウム』が5月10日(金)に公開される。高校1年生の主人公・東ゆうの10年間を描く青春物語で、“絶対にアイドルになる”ために「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」と自らに4カ条を課して、夢を追いかける姿を描く。制作にも携わったという高山一実さんに、原作のストーリー作りで意識したことや、アニメ制作秘話を聞いた。

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スタジオ、レッスンルームにマイク…… アイドルだったからこそ描けたリアルを反映

アニメ映画『トラペジウム』原作者の高山一実

――小説『トラペジウムの出版から約6年を経て映像化ということですが、アニメ化が決定したときの心境をお聞かせください。

高山一実(以下、高山) もう本当に嬉しくて。そもそも自分の書いた小説を手に取っていただけるだけでも嬉しいと思っていたのに、こんなお話までいただけてすごく嬉しかったです。

アニメ映画『トラペジウム』

――アニメ化もご自身の夢の一つだったんでしょうか?

高山 本を出せるだけで嬉しかったんですが、もし映像化するなら『トラペジウム』は実写よりアニメのほうが合っているなって思ってはいたので、(心の)どこかにあったかもしれないですね。

――実際に公開を控えて、改めてどんなご心境ですか?

高山 小説は、普段あまり読まない方にも読みやすいようにと思って作ったんですが、それでもやっぱり(アニメ映画で)『トラぺジウム』に初めて触れていただく方もいると思うので、そういう方がどういう感想を抱いてくれるのかが楽しみです!あとはアニメ化が発表されたときに、ファンの方が喜んでくれていて。私は舞台などもやってないので、ファンの方を現場にお呼びできることがあまりないんです。でも私がアイドル好きだったときに、やっぱりグッズを身につけて会いに行くことが楽しかったんですよね。そんな場所をファンの方に作りたいなって思ってたので、そういった意味ではすごくありがたいです。

アニメ映画『トラペジウム』

――アニメ化されて、原作とはまた異なる魅力を持ったシーンもありますか?

高山 (原作と比べて)アイドルになってからのシーンが増えたので、かわいい彼女たちを新たに観てもらうのはすごく素敵だと思いました。今までアイドルもののアニメはいろいろあったとは思うんですが、スタジオやレッスンルーム、マイクのシーンなんかは、実際に私が見て感じたものなので、その辺のリアルさみたいなものも、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

原作者として制作にも細かくコミット。キャストも最高の仕上がりに

アニメ映画『トラペジウム』原作者の高山一実

――原作者として制作にも深く関わったとのことでした。具体的には、どういった形で取り組まれたのでしょうか?

高山 音楽制作とアニメ制作、それぞれに分かれて話し合いをしていきました。アニメ制作の打ち合わせのときはコロナ禍真っ只中で完全リモートだったので、監督さんとリアルに会ったのは何年も経ってからだったくらいです(笑)。監督さんは「(内容を)どのようにしたいですか」と聞いてくださって。小説の発売から少し時間が経っていて感想も届く中で「アイドルになってからのその後をもう少し見たかった」というご意見もあったので「アニメ版では(その後の話が)あってもいいかもしれません」と話しました。絵を描いていただく段階では、喫茶店や学校といった場所のイメージのすり合わせも必要でした。キャラクターデザインも同時進行で上がってきて、(主人公の協力者となる工藤)真司の髪の毛の長さや眼鏡の形、(アイドルグループ)『東西南北』のみんなの私服についてキャラクターごとに好きなブランドの設定などを決めていく……といった細かい作業しましたね。

アニメ映画『トラペジウム』

――主人公の協力者となる工藤真司役をJO1の木全翔也さん、そしてガイドボランティアをしている伊丹秀一役を内村光良さんが演じられました。お二人の声の演技はいかがでしたか?

高山 すごく素敵でした!木全さんが演じた真司は「こんな声がいいです」というのを私からは一切お伝えしてなかったんですが「ピッタリだ!」と思いましたね。真司は高専に通っている男の子で、優しくてすごくいい子なんです。(主人公の東)ゆうと出会う場面では、少しコミカルな感じがありながら、誠実さみたいなものがにじみ出つつ、落ち着きは大事……っていうあんばいがすごくよかったです!内村さんは以前、小説を読んでくださって前向きになる言葉をかけていただいたことがあったので、ぜひ声を吹き込んでもらいたいなっていうのはありました。内村さんご自身は若いので「ヨボヨボのおじいさんの役ですみません」と思ったんですが(笑)、ゆうがつらいときに声をかける役割をしてくださっていて、内村さんの優しさにピッタリだなって思います。

――主題歌はMAISONdes(メゾンデ)で、ヴォーカルをアイドルVTuberの星街すいせいさんが担当しています。

高山 「すごく素敵な楽曲をありがとうございます!」という気持ちです。星街さんのお声を初めて聴いたときに、女性の力強さや芯の太さみたいなものを感じて、それがすごく『トラぺジウム』に合うと思ったんです。私はオープニング曲があるアニメ映画が結構好きで、なんかわくわくするんですよね!実際に映像を観て曲がリンクしたときに「何か始まるぞ……!」っていう気持ちがシンプルに湧いてきました。素敵な楽曲を作っていただいて本当に感謝してます。

アニメ映画『トラペジウム』

かつて自身も叶えたアイドルという夢。小説を王道ストーリーにはしなかったワケ

アニメ映画『トラペジウム』原作者の高山一実

――冒頭で主人公の東ゆうが言う「はじめてアイドルを見たとき思ったの。人間って光るんだって。」というのは、高山さんご自身が感じたことなんでしょうか?

高山 明確に感じたタイミングがありました。高校生の頃、深夜にテレビをパッとつけたときにやっていたハロプロさんの番組があったんです。ちょうど『モべキマス』っていう、モーニング娘。さん、Berryz工房さん、℃-uteさん、真野恵里菜さん、スマイレージさんが合同でやったライブの映像が流れていて。ステージ上で皆さんがユニゾンで踊っているんですが、キラッキラしてるんですよ!客席にはいろんな色のサイリウムがあって、斜め上と下からのアングルで撮られてたんですよね。それを観たときに、「わぁ!すっごく素敵……」と思って。そこから私はハロオタになって現場にも行くようになったんですが、その瞬間ですね。

アニメ映画『トラペジウム』

――アイドルをテーマにしたものでありながら“夢見る女の子が成功して終わる”という王道ストーリーではないのが魅力的です。

高山 「一度失敗を経験しながらも、いずれは成功する」というストーリーにしたいと思いました。歪んだ要素を持っている子は、成功しづらいかなと思って(主人公の)性格にあえて欠陥を作ったんです。そうした面もありつつ成長していく話にするために、他のキャラクターにも助けてもらいました。自分が(かつてアイドル)グループにいて、いろんな女の子たちがいる中で、(登場人物に)要素を入れていく上ではすごく恵まれた場所にいたなと思いましたね。最終的には、主人公のゆうが自分の成功について“努力はしてない装い”をする姿を描きたかったんです。自分の近くにいる人気の子なんかは、やっぱり弱音とかを吐かない。きっとつらいんだろうけど、そうした面はあまり出さないんです。そういう人をゴールとしたときに、どれぐらいの失敗だったらこのゴールには行けるんだろう……と意識していきました。

――主人公の東ゆうには、高山さんご自身とシンクロするところはありますか?

高山 “アイドルが好き”というところと“夢に向かって頑張るという意思表示がはっきりしてる”ところは一緒かもしれないですけど、ゆうほどの行動力は私にはなかったです。ゆうのセリフで言うと、街中を歩いているかわいい人に対して「アイドルになればいいのに」っていうのは私も結構思っていたところはあります(笑)。

この記事を書いた人

TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。

X:@heartsilvermist

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