【あのちゃんインタビュー】ぼくが本当に音楽を大切にして活動しているってことを伝えていきたい【1stフルアルバム『猫猫吐吐』に込めた想い】

音楽の部分でなめられたらいけないな

――アルバムのディスク・1の収録曲を見ると、これまでのanoさんの活躍が伝わってくるようですね。ポップで踊れる曲からシンガロングできる曲までさまざまです。そんな中で最終曲の「鯨の骨」は他の楽曲と比べて毛色が異なっているように感じました。バラード調でもあり抒情的なメロディに歌詞が心に残ります。映画『鯨の骨』と同タイトルで主題歌でもありますが、この曲は作詞作曲がanoさんご自身ですよね。

「そうですね。『鯨の骨』は映画の撮影中に制作していたんですけど、ちょうどその頃、いろんなことが重なってしんどい時期だったんですよ。だから歌詞の内容も映画を踏まえつつ無理に綺麗事にしようとしないで、ありのままを映し出す表現になっている部分もあります。一方で真逆の表現にも見える1曲目の『猫吐極楽音頭』ですけど、ありのままの感情表現をエンタメに昇華させて、吐き出すことで楽しく前向きになれて伝わることもあるなって思いながら歌詞を書いていたので、衝動的な歌詞表現という意味で根本的な部分でリンクしている2曲だと思います」

――やはり、お話を聞いて“吐く”というのはアルバム全体にあるコンセプトだと思いました。今作のリリースを経て、今後はソロアーティストのanoとして、同時にあのちゃんとして。どんなことを世間に伝えていきたいと思いますか？

「こうしてバラエティにも出演させていただいていても感じるんですけど、やっぱりアーティストとしての認知度ってまだまだ低いのかな、伝わっていないのかなって。<Get on chu! （「ちゅ、多様性。」のリリック）>を歌っている人でしょ？とか。他の曲も含めてですけど、なんか歌っているってことくらいしか伝わっていないんじゃないかと思うんですよね。それはぼくにとって悔しいことだし、ときには落ち込んでしまうこともあるんですよ。だからこそ『猫猫吐吐』には過去曲も収録してリリースするし、今作を発表することで、ぼくが本当に音楽を大切にして活動しているってことを伝えていきたいと思います」

――すでに大人から子供まで、anoさんの音楽に魅了されている人は大勢いますが、それを超えて広く伝えていくというところにストイックな姿勢を感じます。

「たまに誤解されていると思うことがあるし、なめられていると思うこともあるんですよね。ぼく自身のことをどう思ってもらってもいいんですけど、音楽の部分ではなめられたらいけないなと思います。こうしてアーティストとしてやっていて、ぼくの音楽をしっかりと聴いて受け止めてくれる人もいるわけなので、音楽のことを心から好きで活動しているアーティストとしての側面を今後も伝えていきたいと思います」

（了）

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