eスポーツキャスターの第一人者・岸大河のファッション論。この男、スーツからカジュアルまで死角なし!?
――たしかに今日使われている「ロエベ(Loewe)」のバッグも、ぱっと見ではわからなかったです。
岸 できれば手ぶらが理想なんですけどそうもいかず、せめて両手は空けたいのでバックパックを選ぶことが多いですね。このバッグは仕事でもオフの日でも使いやすいので気に入っています。キーボードとか少しかさばるものがあるときは別のバックパックを使う日もあります。
――ではバッグの中身を拝見。普段持ち歩いているものは?
岸 財布、カードケース、iPad、ペン、イヤホン、のど飴、メイク道具一式、替えのネクタイ。毎日身につけているジュエリーと腕時計。あとはスマートフォンですね。あまりごちゃごちゃとしたくないので、ファッションと同じくシンプルなデザインが多いと思います。
――ところどころに“らしさ”というか、妙なこだわりを感じます(笑)。
岸 自分でもそう思います(笑)。仕事道具にiPadが欠かせないのに、パソコンはWindowsでスマホはAndroidという選択を10年以上続けていたりもします。なんというか、ボールペンや腕時計、ブレスレットはお守り的存在で、ないと落ち着かないんですよね。以前、ボールペンをどこかに置き忘れてしまったときがあって。ひとつ前の現場で見つかったんですが、めちゃくちゃ焦りました。
――思い入れがあるものを大切にしているわけですね。
岸 節目だったり自分へのご褒美として購入したものは特に大切にしています。まだ独身で彼女もいなかった頃、一人でクリスマスに買った「ティファニー」のブレスレット。今オーバーホール中ですが、初めてのスポンサー契約が決まったときに買った「ロレックス(Rolex)」のオイスターパーペチュアル。今日着けている「ブランパン」はロレックスをオーバーホールしていたこともあって、ロサンゼルスで開催されたVALORANTの世界大会に向けて買ったものです。決して安い買い物ではないんですが、自分はこの仕事でやっていくんだという意気込みを思い出させてくれる存在になっています。
――素敵なストーリー!今後、岸さんがeスポーツシーンでやりたいことや、必要に感じていることを教えてください。
岸 以前、兵庫県にある城崎(きのさき)温泉で行われたイベントに参加したことがあって。ゲームを通じた地方創生が目的で、非常に面白い催しだと思いました。城崎温泉はカニ料理が有名らしく、自然豊かな温泉街なのですが、お世辞にもアクセスがいいとは言えない観光地。そこにプロプレイヤーたちが集まり、地域の人や来場者と交流しながらおいしい食事とゲームを楽しむ。純粋な笑顔に触れることができて、こういった素敵な活動を増やしていきたいと感じました。
現在の国内eスポーツの活性化や、プレイ人口の増加は非常にいいことだと捉えています。さらにプロ競技だけではなく、小中学生が学校単位で参加する大会や親子で参加する大会が増えてきました。だからこそ、よりクリーンな環境を作っていく必要がある。インターネットやオンラインゲームの世界は自由である反面、冗談混じりのコメントやネットスラングから誹謗中傷につながる場面も少なくありません。規模が拡大する一方で、倫理観を育てる仕組みについても業界全体で考えていきたいですね。やっぱり「ゲームの世界は面白い」と、多くに人に感じてほしいので。
――本日はありがとうございました。では最後に、次に登場してほしい人物を紹介してください。
岸 VALORANT Game Changersで活躍されているZETA DIVISIONのsuzu選手です。圧倒的な実力とストイックさを兼ね備えている、国内Game Changersシーンを牽引する看板的存在ですが、プライベートではのほほんしているイメージがあるのでその素顔を覗かせてもらえると嬉しいです。
profile/岸大河
きし・たいが●1989年生まれ。東京都出身。200o年代のeスポーツシーンでは選手として精力的に活動。FPSタイトルを中心に国内大会の優勝、アジア大会においても頂点に輝くなど好成績を残す。2014年以降、ゲームキャスターとして大会実況や司会などで幅広く活躍中。2019年、Protagon株式会社を設立して代表取締役に就任。Logicool Gブランドアンバサダー、OMEN by HPエグゼクティブアドバイザー、Herman Millerゲーミングアンバサダー、セゾンゲーミングカードDigital公式アンバサダー。
岸大河公式X(旧Twitter):@Stansmith_jp
Protagon公式HP:https://protagon.co.jp
写真=田中利幸
取材・文=本田圭佑
連載『eスポーツの輪〜e-sports donuts』とは?
ゲーム人口はプレイヤー数、視聴者数ともに年々うなぎのぼり。世界のeスポーツ上位10チーム(または組織)にいたっては、その価値評価額が平均で約450億円と、今後ますますの成長が期待されまくっている国際的市場、それがeスポーツの今の立ち位置です。しかしその中にまだ日本チームの名はなく、「これじゃあいかん!!」と(まぁほんとにそう言ったかは知りませんが)とにかく、好きなものに心底夢中になれる負けず嫌いな日本の“ヲタク”たちのなかには、業界の盛り上げ役がちゃんといます。
というわけでsmart Webでは、eスポーツ業界のフロントマンや業界の活性化を担う存在にインタビューを行う連載『eスポーツの輪〜e-sports donuts』をスタート。次代の担い手に話を聞き、テレフォンショッキング方式で輪をつないでもらうことでその実態に触れていくことを目的とします。ゲームをやらない人も、読めばきっと興味を持てるはず。
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