【ととのえ親方とサウナ師匠が惚れた“日本一の水風呂”】大分「寒の地獄温泉」&「暖の地獄サウナ」は暑い夏こそ行きたい!
執筆者: smart編集部/熊谷洋平
日本一の水風呂がある温泉(冷泉)に、世界に誇れるサウナを作る――。そんなサウナ―垂涎(すいぜん)の野心的なプロジェクトが進行中だ。仕掛けるのは、数々の名サウナをプロデュースしてきたTTNE株式会社。開湯186 年の歴史を誇る大分県の九重(ここのえ)“夢”温泉郷のひとつであり、大分県九重町に位置する全国でも珍しい自然湧水の霊泉を提供する「寒の地獄温泉」に、TTNE 株式会社の監修により「暖の地獄サウナ」が2023 年7月中に開業されるのだ。
「元祖マシュマロボディ」こじはるの写真集がスゴイってウワサを本人に直撃してみた!
そこで、“ととのえ親方”こと松尾大さん、“サウナ師匠”こと秋山大輔さんという、TTNE株式会社の“顔”とも言える二人に、本プロジェクトへの思いと、今後のサウナ業界をどうしていきたいかという知られざる野望を聞いた。前編の今回は、大分「寒の地獄温泉」に「暖の地獄サウナ」を作るという「Makuakeプロジェクト」への思いについて。聞き手は「smartサウナ部」部長のスタイリスト・有本祐輔さんとsmartサウナ部員兼編集部員の熊谷でお送りします。
『TTNE』が単独で作るよりも
“みんなで作る”ことにこだわった
編集部 「寒の地獄温泉」とは、元々どういう温泉だったんですか?
ととのえ親方 元々、冷泉は一年の中で3カ月間しか営業していなかったんですよ。7月から9月までという、夏の間だけの営業で。コロナ前から僕は行ってたんですけど、宿自体もコロナ禍というのもあったし、やっぱり温泉が出ないからすごくご苦労されていたんですね。その中で水風呂という資源のことを、宿のオーナー自身もどう使おうかというか、夏の暑いときはいいけど寒いときに誰が来るんだろうみたいな感じで捉えていらっしゃっていて。それだったら、自分たちも資金を入れてプロデュースをやりたいぐらいの場所だったんです。
サウナ師匠 元々宿の経営も大変だったので、自分たちだけじゃなかなかお金の部分もクリアできなくて、国に対しての申請とかもいろいろチャレンジしたんだけど、それも難航して。そういう状況があったからこそ、そこは僕らもご協力してでも一緒にやるべき水風呂だと思ったので、深く関与するようになっていったんです。
編集部 そのことに関してはプロジェクトの資料にもありましたけど、お二人の「寒の地獄温泉」に関する発信が、この宿の主人の目に留まったそうですね。
ととのえ親方 本で触れたんですよね。水風呂しかなくてサウナがないのに、サウナ本に出しちゃったんです。すごい水風呂があるって。
サウナ師匠 「日本で今、ととのえ親方がおすすめするサウナ37選」っていう企画が『Saunner BOOK』っていう本の中に入っていて。そこにこの「寒の地獄温泉」を、スペック表に“水風呂13℃、サウナなし”って書いて入れたんです(笑)。
編集部 サウナ本なのに、唯一の“サウナなし”の施設だったんですね(笑)。
ととのえ親方 やっぱりオーナーからするとね、「掲載確認はしていただいたけど、サウナ本なのにサウナがないうちがなんで載るんだ」というリアクションになって(笑)。ただ、あそこの水風呂はとんでもない資源というか、入ったときに衝撃を感じたんです。日本で僕が今まで入った水風呂の中でトップクラスだったので。もう完全にトップ。トップクラスっていうか、トップなんですよ。水風呂はダントツだったので、「これは水風呂をさらに生かすためにも、サウナも作りたいね」となったんです。
サウナ師匠 (オーナーの)真澄さんのSNSにものっちゃったんだよね。(スマホを見ながら)「3月7日の“サウナの日”に発売されたサウナ―ブック。その本の中で、『寒の地獄』を日本一の水風呂はここではないかと、議論が上がっている。サウナがあれば日本一になるのにってご紹介いただきました」って書いてる(笑)。
ととのえ親方 ハハハ(笑)。
サウナ師匠 「この議論に終始を打つべく、サウナ設置に向けて、4代目、動きます!」だって(笑)。
一同 爆笑
ととのえ親方 そのときはたぶんまだ松本人志も「動きます」って言ってないんだよ(笑)
サウナ師匠 それでそれから三年後の今日、一緒に記者発表をやったんですよ。長かった……(笑)。
ととのえ親方 まぁ、コロナ禍もあったしね……。
編集部 コロナがなければ、やはりもう少しスピードアップができていたかもしれませんね。
有本祐輔(以下、有本) ちなみに、“水風呂がトップ”というのはどういう感じなんですか?
ととのえ親方 水が入ってくるんですよ。水風呂の水が、身体の中の骨の髄までギューッと入ってくる感じ。
有本 へぇ!温度は何度くらいなんですか?
ととのえ親方 温度的には14-15度ぐらいなのかな?ばらつきはあるんだけど、体感は全っ然冷たく感じる。“刺さる”っていう言い方はあれなんだけど、ジワーッとね、骨の髄まで入ってくる。
有本 いいサウナとかも、熱がグーッと奥に入ってくる感じがありますよね。
ととのえ親方 そうそう。サウナ室でいう“表面焼き”じゃなくて、内側まであたたくなる感じの水風呂バージョン。
編集部 先程水質の話も出ましたけど、九州の水はどちらかというと、まろやかな水質が多いと聞きました。
有本 熊本の「湯らっくす」とか「田迎(たむかい)サウナ」とかが綺麗なまろい感じなので、そういうイメージのかなと思っていたんですけど。
サウナ師匠 もうちょっと違うんですよ。お湯ではなく水とはいえ、そもそも温泉水ですからね。そうなると軸足が違うじゃないですか、普通の水風呂とは。
有本 飲めるんでしたっけ?
サウナ師匠 飲めます。元々パイプから出ていて、コップが置いてあって。水圧がやたら強くて、水風呂の中から湧き出ているのは1分あたり1トンか2トン。ドラム缶にすると10本分。
ととのえ親方 しかも上からザーッと出てるんじゃなくて、下からガーッって湧き上がってきて、それがオーバーフローしていて。その出方は本当に珍しい。下から、地底から湧くんですよ。もうね、なんていうかな。ずっと水面を見ているじゃないですか?下からポコポコって気泡が出てきたりする水風呂はよくあるんだけど、それに対してね、下からグワーッってすごい勢いで上がってくるの。かけ流し水風呂だから、ずーっと水がピュアな状態。そんな感じだから、水風呂内の水もものの数分ですぐに入れ替わっちゃうの。
サウナ師匠 水風呂の中もね、岩がゴロゴロしていて、それも幻想的でかっこいいんですよね。
有本 水風呂内の、この石とか岩も元からあるってことですよね?
ととのえ親方 もうこのまま。そこはもういじらないです。
編集部 プロジェクトでいじったポイントはちなみにどういう部分なんですか?
ととのえ親方 隣に「暖の地獄サウナ」を作っただけです。
編集部 客室とか、そういったいわゆる宿泊周りのところはいじっていないんですね。
サウナ師匠 休憩スペースとかはおそらく多少やると思うんですけど、寒の地獄=水風呂に対して、暖の地獄=サウナを作ろうっていうことだけですね。
有本 このサウナに入れるのは宿泊者限定ですか?
サウナ師匠 いや、日帰り入浴もできます。ご飯も美味しいし、旅館としてもめっちゃいいですよ。
編集部 “囲炉裏(いろり)を囲んで食事する”みたいなこともできるんですよね。
サウナ師匠 そうです。だから雰囲気は日本昔ばなしに出てくるような旅館なんですよね(笑)。周りに何もないもんね?
ととのえ親方 車で行っても、急に現れるという感じですからね。サウナ好きが行ったら、一発でわかる。「ここ、すげぇな」みたいな(笑)。水風呂を見るだけでよだれが出てくると思いますよ(笑)。
サウナ師匠 「あ!これやばいかも」って(笑)。サウナ好きって、サウナ室の温度とか水風呂の温度を語ったりするじゃないですか?「このぐらいの温度が気持ちいいな」とか、「この水風呂はまろいな」とか「四角いな」とか。ここはそういうレイヤーにないというか。
編集部 これまでサ室や水風呂を語ってきた言葉が該当しないんですね。
ととのえ親方 本当になんかね、神秘的な感じがするの。これまでは水風呂に入っても、神秘的だなぁって感じたことはあまりなかったんです。「肌当たりがいいなぁ~」とか、「ちょっとトロっとしてんな~」とか「軟水だな~」とか思うことはあったけど、ここはそういうのではなく、“神秘”な感じがするんですよね。
有本 水の色みも少し変わっていますね。
ととのえ親方 昼と夜で変わったりするの。自然光の入り方とか、色も時間によって変化がある。これ(資料)はちょっと青く見えるけど、本当に澄んだめちゃくちゃ綺麗な青に見えるときもあれば、透明に見えるときもあるし、なんかちょっとね、変わってるんだよね。
サウナ師匠 裸眼ではちょっとエメラルドグリーンぽく見えたりもするし。水風呂の底に石がいっぱい転がってるのも、なかなかないかな(笑)。
ととのえ親方 行った瞬間の匂いもやっぱりすごいし、ここに例えばテレビとかエアコンとかの電化製品を置いたら、2年とか3年に1回必ず壊れちゃうんですよ。硫黄泉の硫黄で。釘(くぎ)なんかももう本当に数十分で、ものの見事にサビちゃうし。でも肌にはいいっていうふうにずーっと昔から言われていて、みんなが入りに来てるっていう冷泉なんです。
編集部 これまでは旅行客っていうよりも、地元の方が多く来ていた宿だったんですか?
ととのえ親方 地元の方も多いし、夏場なんかは暑い地域じゃないですか?だから、バイクのツーリングがてら「寒の地獄温泉」に寄って、水風呂に入って身体を冷やして、“バイク浴”して(笑)。
この記事を書いた人
スポーツ新聞社、編集プロダクションを経て宝島社に入社。2014年よりsmart編集部に所属し、2022年9月よりsmart Webの専任担当。タレント特集を中心に、ファッション、スニーカー、腕時計、美容などを幅広く担当。3度のメシより野球好きで、幼稚園年長の頃からの熱狂的な東京ヤクルトスワローズファン。最近はサウナにハマっており、smartサウナ部の広報担当も兼務。
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
この記事をシェアする
この記事のタグ