ヲタクだからこそ“稼げる”!【コスメヲタちゃんねるサラ】の動画の大前提は「誰も私に興味がない」こと
執筆者: ライター・エディター/小林大甫
大手YouTuber事務所であるVAZとの連載インタビュー企画【VAZによるVAZらせ講座】。前回、学生時代からコスメへと興味を持ったきっかけ、そしてYouTube活動一本になるまでの紆余曲折(うよきょくせつ)を語ってくれたサラさん。今回は実際の動画作りを始めとする活動内容を紐解いていきます。好きなものを真摯に伝えることの難しさと素晴らしさの両面がきっと伝わるはずです。
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視聴者に寄り添った動画作りで
いかに観てもらえるかに注力
――サラさんのコスメ動画はオリジナリティのある企画になっていると感じますが、企画作りにおいて意識していることはなんでしょうか?
サラ 今有名なYouTuberの方々ってやっぱり「“人”を観る」企画になっていることがほとんど。ですが、私の場合は私自身ではなく、紹介するコスメだったり“モノ”がメインになるんです。なので前提として「誰も私に興味がない」ことを踏まえて、「どうしたら観てくれるか」について一番意識しています。例えば私のコスメ動画ってある程度“型”があるんです。オープニング⇨結論⇨概要⇨パッケージ⇨内容⇨クロージング、といったような感じで。この定まった型があることで、何本か観ていただけると一本の動画内のどの辺で商品について触れているのかがわかっていただけるんですね。あとは情報を端的に伝えるようにしています。あくまでレビューなので、私の感覚や主観を中心に語れるように、最初の頃は台本を作っていましたね。今では台本も用意せずにそのまま撮影しちゃいますが。
――そうなると編集にもかなり力を入れているのでは……?
サラ 特段凝った編集をしているかというとそういったわけでもないんですが、大切にしている部分はあります。今は編集会社さんに編集をお願いしているんですけど、商品の色味をしっかり出していただくことや、価格とブランド名、商品名は常にテロップに出しっぱなしにすることは特に大事。テロップに関しては、いつ動画を止めても、どのあたりから観ても商品がわかることってかなり重要ですから。あとは動画時間を長くしすぎないこと。収益発生の8分から最大でも20分まで。長すぎるレビューは退屈ですし、早く結論が欲しいですからね。観てくださる方は「結局いいのか、悪いのか」みたいな情報が欲しいわけですし。企画作りも含めてですが、視聴者さんにわかりやすい動画作りが基本ですね。
――企画自体はどのように考えているのでしょうか?
サラ 思いつくのはドラッグストアやコスメ売り場で実際に商品を見ているときだったり、寝る前やトイレに入っているときが多いかなぁ……。紹介する商品の間口を広げすぎていないので、ある程度固定のメーカーを新作が出るたびに企画にしている部分もあります。なので、そういった鉄板系は着眼点を変えたり、サムネイルに凝ったり、速報性を重視したり、視聴者が飽きないように工夫をしています。
――サラさんの中で鉄板企画はどんな内容で、それはどれくらい再生されるんでしょう?
サラ 「これを出せば再生数は20万回くらいは見込める」という動画が鉄板ですかね。内容だと「プチプラ新作」、「セザンヌ」、「キャンメイク」の3つは鉄板です。企画を考えるにあたって、基本的にはひと月ごとに撮影と配信のスケジュールを組むんですが、この3つの企画は月1配信が理想です。こういった力のある企画を軸に、少し奇抜な企画や新規の(PR)案件などをバランスよく組み込むようにしています。
――かなり緻密に練られているように感じますが、やはり分析もされるのでしょうか?
サラ アナリティクスは結構見ていますね。動画のどの部分で離脱したのかなども見て、今後の動画作りの参考にしています。私の視聴者さんはほとんどが女性で18〜34歳までの層が一番多いですが、17歳以下の方にも観てくださっているのが嬉しいですね。これから年齢を重ねていく上で、若い方から「このおばさん、誰?」となるのではなく、「このおばさん、知ってる?」って広めたくなるようにしていきたいですね。そのためにも私の軸はプチプラ。これは継続していきたいです。
――撮影機材などのこだわりはありますか?
サラ 撮影は基本的に自宅で、カメラはソニーの「α6600」を使っています。私自身、カメラに本当に疎(うと)くって。なのでYouTubeに頼りました(笑)。それこそ瀬戸弘司さんの動画を観て「あ、これにしよ」って(笑)。
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――ショート動画や TikTokでは本編とはまた違った動画を配信されている印象です。
サラ 本編は主にコスメの紹介なので比較的マジメな動画が多いのですが、ショートやTikTokはもう少し砕けた、面白い動画に振っています。コメントも拾いながら、企画の参考にさせていただいていますね。
――これまでで一番大変だった撮影はなんでしょうか?
サラ とあるコスメブランドさんの150周年の企画で、自宅にコスメカウンターを作るサプライズ企画があったのですが、規模の大きさだったり、初めましての方々の中で動画の“流れ“を作ることの大変さを感じましたね。結果としては楽しかったし、貴重な経験をさせていただいたので嬉しかったです。
――特にPR案件などで商材を紹介する上で気をつけている部分はありますか?
サラ 基本的には私がレビューをしたいと思う案件しか受けていません。また受けた案件も企画を先に考えて、「こういう企画でPRするのはどうですか?」と逆提案をすることもあります。最近ではメーカーさんのほうから「むしろ面白くいじってください!」というお声をいただくケースもありましたね。上からに聞こえてしまうかもしれませんが、案件だからとウソをつくことで私の動画を観てくださる方々の信頼をなくす可能性があるので、そのへんはきっちりとしたいですね。
――ご自身でコスメブランドを立ち上げることになったきっかけと、今後の展望を教えてください。
サラ 3年ほど前ですかね。友達に「ブランド作ったら?」っておすすめされたことがきっかけです。私、ラメが好きなんですけど、既製品だと物足りなさを感じていて。それでMAXキラキラなリップを作ったのが始まりです。最初は自分のために自分の欲しいと思うものを作ることが目的だったんですけど、今は70万人の視聴者の方々に欲しいと思ってもらえるようなコスメを作りたいなと思っています。特にOLさんが使い勝手のいい内容を目指しています。
――最後に、サラさんが描くご自身の将来像を教えてください。
サラ やっぱり私の軸はYouTubeなので、近い目標としてはチャンネル登録者数100万人を目指したいですね。あとはできる限りYouTuberとして息の長い活動ができるといいなって思っています。ありがたいことに、最近ファッションブランドさんとコラボをさせていただいたり、コスメボックスを作らせていただくなど動画以外の経験もできているので、今後もそういったことにも積極的にチャレンジしていきたいですね。
Profile/サラ
1993年11月6日生まれ、千葉県出身。2014年よりYouTubeチャンネル『コスメヲタちゃんねるサラ』を開設。2023年1月現在、チャンネル登録者数は約74万人を誇る。プチプラからハイブランドまでとにかくコスメが大好きで、新作コスメの最速級レビュー動画や、メイクとエンタメを掛け合わせる一風変わった“IQ3動画”が多くのファンを惹きつける。自身のコスメブランド「MIRAGEM(ミラジェム)」もプロデュースを行う。現在、「コスメヲタちゃんねるサラが本気で作った!持ち運べるドレッサーポーチBOOK」(宝島社)が好評発売中。
写真=大村聡志
インタビュー&文=小林大甫
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この記事を書いた人
大学卒業後、アパレル会社へと勤務したのち出版社へと転職。メンズファッション誌の編集を経て、フリーランスのエディター兼ライターとして独立。服、アイドル、車、野球を生き甲斐にしています。あとはお酒。最近は自宅の仕事用ガジェットを揃えることに夢中!
Instagram:@d.kbys_badw
Website:https://smartmag.jp/
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