「ゴミを価値あるものに」世界が注目!ベトナムの若き天才デザイナーが廃材をアートに変える、Némのアップサイクル哲学
執筆者: エディター・ライター/相馬香織

人口が約1億人、そのうち約65%以下が60歳以下で、国民の平均年齢が約31歳というベトナム。経済成長も著しく、街も活気があふれるこの国で、活躍する若者を取材するのが本企画の趣旨です。今回インタビューを行ったのは、デザインスタジオ「Ném(ネム)」を手がけ、ベトナムだけでなく世界からも注目をされているDương Gia Hiếu(ズオン・ジア・ヒエウ)氏。彼が営む「Ném Cà Phê & Bar」を取材した。
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世界から注目されるプロダクトデザイン「Ném」

ベトナム経済の中心地であるホーチミン市で、おしゃれな若者が集うコミュニティスペースとして話題のNém(ネム)。ホーチミン市の中心地にほど近い3区にあり、アクセスしやすいエリアだ。

子ども用スピーカーとファンフレームを再利用して作られたランプ。

おしゃれな空間を作り出しているのは、デザイナー兼アーティストであるヒエン氏が手がける作品。彼は、使われなくなった廃材を利用し、個性あふれる感性を生かして照明や椅子などさまざまなものへと変身させている。

カフェに併設されているスタジオで作業するヒエウ氏。
大学卒業後に、ベトナムの「Pizza 4P’s」や「Maison Marou」といった飲食店や食品メーカーのデザインを手がけるクリエイティブ集団「Rice」に所属していていたヒエン氏。グラフィックデザイナーとして活躍するだけでなく、フリーランスのフォトグラファーとしても活動していた経歴を持つ。廃材をアップサイクルし、個性あふれるプロダクトへと蘇らせる活動が注目を集め、ベトナムのみならず、インテリア雑誌「Dwell magazine」の「今知っておくべき新進デザイナー」として紹介されるなど、海外からの注目度も高い。

ベトナムの伝統的なフロアマット「Chiếu(チエウ)」。ベトナムで採れる野生のスゲ草を使用した環境にやさしいアイテム。
「ベトナムも他の国同様、あらゆるものが大量生産によって生み出されていますが、そのような製品は、品質というよりも利便性を優先しているため、寿命が短く、やがてゴミになってしまいます。こうしたことは環境面の問題だけでなく、人が物に対する『価値』を感じなくなってしまうのではないかと危惧しています」

ベトナム語で「平らな」という意味を持つ「Phẳng」と名付けられたランプ。竹やベニヤ板を使って作られている。
そうした状況を少しでも改善していくために、「デザインにできることがあるのではないか?」。そう考えたヒエウ氏は、捨てられてしまう素材をリサイクルし、新しいものへと生まれ変わらせることに。彼が作るプロダクトは、長持ちするように設計されているだけでなく、個人の好みに合わせて調整できるようにし、長く愛される製品へ変貌を遂げている。取材を行った当時は、日本から届いた古紙を使った再生紙で、どんなアイテムを制作しようかとアイデアを膨らませていた。

愛犬でもある看板犬。
「『Ném Cà Phê & Bar』は、以前スタジオを兼ねていた自宅で行ったイベントをヒントに生まれた場所。作業スペースも併設されているので、コンセプト段階から完成まで、私の作品に触れることができます。他にも、デザインやアート、コミュニティをテーマにしたイベントも開催しています。コーヒーを飲みに来る方もいますし、新しいランプを買って帰る方もいますので、ぜひ足を運びに来てください」
<Ném Cà Phê & Bar>
住⃝18/1 Ngô Thời Nhiệm, Phường Võ Thị Sáu, Quận 3, Thành phố Hồ Chí Minh
https://nemspace.info/
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撮影=小嶋淑子
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この記事を書いた人
映画配給会社を経て、出版社で企画立ち上げ、海外取材などを数々こなし編集長に就任。現在はベトナム・ハノイを拠点に、日本、韓国を飛び回りフリーランスの編集者として活動中。趣味はアクセサリー製作。インスタではベトナム情報をメインに発信中。
Instagram:@_kaori.soma
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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