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「カオスなカルチャーが現代の日本っぽさ」NAGAN SERVERが大切にする、過去と未来へのリスペクト自主企画vol2も11月開催

執筆者: 音楽家・記者/小池直也

NAGAN SERVERインタビュー

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ウッドベースを弾き、同時にラップもする才人・NAGAN SERVER(ナガンサーバー)。この唯一無二のアーティストが、カルチャーに対して重んじるのはリスペクトであり、その矢印は過去と未来の両方を向いている。音楽だけでなくファッション的にも注目される彼に、NAGAN SERVER and DANCEMBLEとしての活動や独自のスタイルを手に入れるための秘訣について聞いた。

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NAGAN SERVERインタビュー

生きるために必要な“直感的なノリ”

――雑誌「smart」は読んでいましたか?

NAGAN SERVER:ストリートスナップや「ちんかめ」、どこのシーンを切り取っても面白い内容で、ファッションにおいてのバランスやスタイルを教えてもらった気がします。

――2024年の夏を振り返ると、「FUJI ROCK FESTIVAL ’24」にZAKINO feat. NAGAN SERVERとして出演されていました。こちらはいかがでしたか?

NAGAN SERVER:ZAKINOは素晴らしいステージだったと思います。自分は客演3曲でしたが、最高の時間を共にしました。フジロックに出演するときは「ベストアクトは誰ですか?」と質問されたときに、名前が上がるような存在にならなければと毎回思いますね。個人名義でも久々に出演したいです。モチベーションを上げてくれるフェスです。

――現在のメインプロジェクト・NAGAN SERVER and DANCEMBLEについても聞きたいです。

NAGAN SERVER:コンセプトはメンバーのルーツに基づいたヒップホップやハウス、テクノ、アンビエントなどを掛け合わせ、自分たちにしかない即興性と化学反応を大切にしたダンスミュージックを提供すること。2年前に日頃から一緒に音を鳴らしていたTAIHEI (Suchmos/賽)と同郷のドラマー・松浦千昇を集めたスタジオセッションで意気投合したことが始動のきっかけでした。

――今のメンバーは?

NAGAN SERVER:流動的ではありますが、ほぼ固定でキーボード・TAIHEI、ドラムス・松浦千昇、 ベース・Jinya (D.A.N.) 、トランペット・寺久保伶矢自分の5人。

あとアーティスト写真には出ませんが、“存在”というポジションにカルロスというメンバーがいるんですよ。ムードメイカーでステージ上で踊りながら写真を撮ったり、イベントで料理を出店したりという役割。最近は彼がいないと「今日はカルロスさん不在なんですか?」と聞かれます(笑)。

――そうなのですね(笑)。なぜ彼を誘ったのですか?

NAGAN SERVER:もともと自分たちを広島に呼んでくれたイベントオーガナイザーでした。翌日の現場が大阪だったので彼もノリで誘ったら、前日のダメージもありガラガラな声で「今日は行けないわ」と言いつつ、二日酔いで頑張って大阪まで来てくれたんですよ。

それが嬉しくてステージに呼んだ際に「Onキーボード」や「Onドラムス」的に紹介しようと思って出てきた言葉が「On 存在」だったので、そこからチームを支えるスピリチュアルリーダーとして活躍してくれています。自分にとって、こういう直感的なノリが生きる上で必要だったりするので。

NAGAN SERVERインタビュー

――渋谷・Circus Tokyoでは自主企画「We are」も開催されました。

NAGAN SERVER:2019年に渋谷WWWで「antenna」というイベントを主催しましたが、それ以降はストップしていました。上京して4年になりますが、当時は大阪にいた時代と環境が変わって、コロナ禍で集客の自信がなかったんですよ。

この4年、いろいろなイベントに出て、今なら自分のパーティを主宰できるんじゃないかなと。ようやくスタート地点に立ったという意味で企画を始めています。前回のCircus Tokyoでは音楽以外に、親交の深いコーヒー屋(GP COFFEE、井尻珈琲焙煎所、周波数) の3店舗がスペシャルブレンドを製作して出店するなど、ここでしか味わえない企画を試みました。

――タイトルの意味は?

NAGAN SERVER:音楽を通して、フラっと立ち寄れる社交場を作りたいと考えていました。「WE ARE……」に続く言葉は各々の自由な解釈で余白を作っています。国籍や世代、性別など「ジャンル問わず、共感出来る人たちとグルーヴしていきたい」という意味ですね。次回は11月16日に代々木上原・OPRCTにて第2回目を企画しています。

この記事を書いた人

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

X:@naoyakoike

Website:https://smartmag.jp/

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