【河合優実×金子大地×寛一郎インタビュー】“ハチャメチャな”三角関係を描く映画『ナミビアの砂漠』
執筆者: エンタメ系ライター/吉田可奈
同世代=Z世代の監督、キャストが揃ったからこそ描けた日常
――あらためて、この3人はめちゃくちゃ個性的なキャラクターですよね。どんな状況下でも愛される“カナ”の魅力はどこにあると思いますか?
寛一郎・金子 かわいい!
――たしかに、かわいいですね。
河合 そう言えば、初号試写を見終えた後に、寛一郎さんが「カナがすごくかわいいことがわかった」って言ってくれたんですよ。
寛一郎 ものすごくハチャメチャだけど、意外とバカではないんですよね。たまに芯を喰ったことを言っているし、そういうところを含めて、刺激があって魅力的だなと。
――ホンダと付き合っていた時も、ハヤシとのアクロバティックな一面はあったんですかね?
寛一郎 あったと思いますよ。でも、ホンダは、やられてもやり返さないんですよ。
金子 「ごめんね、俺が悪かったね」とか言っちゃうよね。
寛一郎 そうそう。それって、プレイとしてはつまらないじゃないですか。ハヤシとカナって、殴り合い、取っ組み合いのケンカからどんどんプレイになっていくんです。
――今作の魅力のひとつとして、そのアクロバティックなケンカはかなり見どころですよね。
寛一郎 素晴らしいですよね。僕も大好きです!
河合 ケンカのシーンはアクション部さんに入ってもらい、かなり綿密に話し合いとリハーサルを重ねて作って行きました。でも、普段のケンカのシーンって、暴力に迫力を出すことが求められるんですよね。でも、このケンカは「“まだこいつらやっているの?”って笑っちゃうくらいのシーンにしたいから、怖くなくていいんです」と監督が言ったら、アクション部の方が困っていて(笑)。結果的にすごくいいケンカのシーンになったので、良かったですね。
金子 よかったよね~! あと、ハヤシはめちゃくちゃに殴られていても、本当にカナに対して手が出ないんですよ。
河合 投げる時も、柔らかい所に投げ出していて。
金子 演じながらずっと滑稽(こっけい)だなって思っていました(笑)。でも途中からどんどん楽しくなっちゃって! 演じている僕自身も、このケンカをどう面白くしようかというマインドに切り替わっていました(笑)。
――山中監督は、みなさんと同世代の新進気鋭の監督となりますが、もらった言葉で印象的だったものはありますか?
寛一郎 男女のケンカって、その後に普通にご飯を食べたりしますよね。それくらい普遍的なことで、でも終わったら何事もなかったかのように生活が始まるんです。明らかに違和感があるのに、みんなにも経験があると思うんです。
――家族も同じですよね。
寛一郎 たしかに、近いですね。一緒に住むって、それくらい近しくなりますよね。この山中監督が書いた脚本を読んだときに、そのリアルなところが描かれていて、すごく嬉しかったんです。これまで、この微妙で奇妙な、でも当たり前の距離感って意外と描かれていなかった気がしていて。さらに僕は、カナの不道徳さ、ニヒリズムがわかるんです。いまはたくさんの情報を吸収できるからこそ、執着もあるし、熱中してしまう。それくらい自由だからこそ、同時に触れる“怒り”も多すぎて、逆に虚無になってしまうカナの気持ちもすごくよく分かったんですよ。
河合 私たちの世代、Z世代の気持ちをすごくリアルに描いてはいるんですが、そこを前面に打ち出そうとはしていなくて。それは、自然と生きている姿を描いているからそうなっただけで、日常なんですよね。監督も私たちと同世代だからこそ生まれた作品になったと思います。
金子 僕は共感できる部分とできない部分があるけれど、伝わるものがある作品だと思っていて。まったく共感できなくても、自分のことのように感じる瞬間はあるのかなと思うんです。それになによりも、カナがとっても魅力的なんですよ。その魅力が何なのかを突き詰めたときに、カナが本当の意味で、どこで何に悶々としているところが見えないんですよね。その余白もすごくいいんですよね。
河合 私自身、カナのことを理解したいと思ったし、私だけがカナのことをわかってあげられるって、恋人や友だちが思うのもすごくよく分かったんです。そう思う人が惹かれていくんだろうなと感じました。
金子 男ってそういうところがありますからね。
河合 女もありますよ。たぶん(笑)。
この記事を書いた人
趣味・特技は年間300本ほどこなすインタビューと世界中のサバイバルオーディション番組への投票。著書には『シングルマザー、家を買う。』『うちの子、へん?』(ともに扶桑社)がある。
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