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「35歳で限界が来た。それは創作も人生も同じ」ラッパー・TKda黒ぶちが借金300万を背負って挑む新作と初ワンマン6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリース

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6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリースし、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」を開催するラッパーのTKda黒ぶち

「地味な返済計画を立てています」

――やっぱり30代は20代と違うと感じます?

TK 27歳をラインにして、だんだん感覚や勢いだけだと厳しくなってきたなという感じですね。35歳になって完全に限界が来ました(笑)。それは創作も人生も同じなんです。支払いに首が回らなくなる、イメージしたラップができない。そういった現実の難しさに対して計画やロジックが足りていなかった。

アメリカのラッパーのKRS-Oneも著書『サイエンス・オブ・ラップ』で「ネアンデルタール人ではなく、ホモサピエンスが生き残ったのは計画を立てていたからだ」と書いています。要はNYのゲットーで早死する仲間たちへの「めちゃくちゃな生活してると滅ぶぞ」というメッセージ。この言葉を21歳の時に知ったにも関わらず、30歳を過ぎて食らいましたね。

ただ先を読んで理想的な計画を立てるだけの人生はクソだと思うんですよ。大事なのは一度落ちたり、壁にぶつかった時にどう行動できるか。それによって厚みのある人物になることができる。おすすめはしないですが、自分にとって悩んで辞める辞めないのラインに立った時に得たものは大きかった。

――では6月8日に発売となる勝負の新作『Re:Dream』について教えてください。

TK 先ほど話した葛藤や悩みをぶちまけた曲も入っています。人生の壁にぶち当たっている人に寄り添える作品になったと思いますが、明るくはないですね。設定した締め切りに向かって絞り出したので、正直100%納得できるものになったかはわかりません。でも先延ばしにすれば、いくらでも逃げられるんですよ。

中途半端をさらけ出せる肝があるかどうかは1stアルバムを出した時も感じましたが、やらざるを得ない状況にしないと悩みや壁は超えられません。僕みたいに追い込むのはおすすめしませんが、そうならないために計画を立てることが大事。これを読者の方は少しだけ頭の片隅に置いておいてください(笑)。

――自身初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」はどういうものになります?

TK 先日、Zeebraさんと3時間くらいミーティングさせてもらったんですよ。そのなかで伝授されたライブの極意で青写真が見えつつありますね。どういう風に見せていくのか、セットリストの組み方、客演の置きどころとか。僕とは曲数もキラーチューンの数も違いますが、長年の経験で養ってきたロジカルな面を聞けたのは貴重でした。

2015年にキャリアをスタートして生まれて初めてのワンマン。どう今までの自分と向き合うかが鍵でしょうね。時系列に沿ってアルバムを出してきたので、それをショウケースに昇華させたいです。ワンマンを皮切りに各所も回りたいし、既に5枚目の構想もしていて、お願いしたいプロデューサーに会ったりもする予定です。

制作中はやるべきことをあれこれ考えていて、それが不安でもあったのですが、いざそれがなくなると寂しいんですよ(笑)。早く次のシーズンに入りたいし、前に向かって歩いていこうと。

――ちなみに借りている300万はワンマンを成功させたら完済できる?

TK 全然です(笑)。だからアルバムを売ったり、グッズを売ったりで地味な返済計画を立てています。3年くらいで返せればいいかな。

(了)

6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリースし、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブ「TKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Live」を開催するラッパーのTKda黒ぶち

Profile/TKda黒ぶち(てぃーけー・だ・くろぶち)
2005年B-Boy ParkのMCバトルにて若干16才ながらベスト8、その後も数々のベストバウトを産み出し、人気番組『フリースタイルダンジョン』では3代目モンスターを務めた。日本初のHIPHOP専門ラジオ局・WREPでは毎週火曜17時から放送の「Timelessチャンネル」のパーソナリティーも担当する。6月8日に4thアルバム『Re:Dream』を配信リリース、6月18日に渋谷WWWにてキャリア初のワンマンライブTKda黒ぶち 4th Album “Re:Dream” Release Liveを開催。

TKda黒ぶちInstagram:@tkadakurobuchi

photographer=武田大典

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この記事を書いた人

小池直也

小池直也

音楽家/記者。1987年生まれのゆとり第1世代、山梨出身。明治大学文学部卒で日本近代文学を専攻していた。自らもサックスプレイヤーであることから、音楽を中心としたカルチャー全般の取材に携わる。最も得意とするのはジャズやヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージック。00年代のファッション雑誌を愛読していたこともあり、そこに掲載されうる内容の取材はほぼ対応可能です。

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