【あのちゃんインタビュー】ぼくが本当に音楽を大切にして活動しているってことを伝えていきたい【1stフルアルバム『猫猫吐吐』に込めた想い】
執筆者: コンテンツディレクター/田島 諒
ぼくは天国も地獄も見せたいタイプ
――そういった意味で、『猫猫吐吐』はモノとしての価値にもこだわられていると思います。その思いはアートワークにも反映されていると思いますが、何でも通常盤のアートディレクションは友人でもある世界的コラージュアーティスト、河村康輔さんが担当されているのだとか?I’sのEP『Don’t Commit Suicide』で、河村さんがデザインを手がけられて以来のタッグとなりますよね。
「そうなんです。河村康輔さんは昔から仲よくさせてもらっていますけど、このファーストアルバムというぼくにとってすごく大事なものだからこそアートワークに深く携わってほしいと考えたんです。本当にめちゃくちゃカッコいいので中面のブックレットも見てほしいです」
――アートワークにはポップさとグロテスクな表現が同居しつつ、同時にanoさんらしさも全開ですね。何かお二人で話し合ったことなどはありましたか?
「ぼくは、例えば“吐く”という表現もポップで可愛いものとして表現していて根底の部分では自分の死生観を大切にしているんですよね。天国も地獄も見せたいってタイプだから、二面性、ひいては多面性までも見せたいって話をして、それを河村さんが最高にカッコいい形で実現してくれたと思います。デザインの面においてもこだわりをしっかりと表現することができたので、『猫猫吐吐』をモノとして受け取ってほしいと思います」
――タイトルにも吐き出すの“吐”が入っていたり、「猫吐極楽音頭」や「ちゅ、多様性。」のリリックにも“吐く”という意味合いの表現があったり。そこには、ファンやリスナーに対して「もっと素直に発言していいよ」というanoさんの思いが込められているんですか?
「昔から思うことなんですけど、ファンの人も吐き出せる場所ってそんなに持っていないと思うんですよ。学校に行ったり会社に通っていてもきっと我慢して生きているんじゃないかなって。そういう溜め込んだものを全部、ぼくにDMするなり何なりして吐き出していいよって言ってきたんです。思ったことをどこでも何でも発言することはあまりいいことではないんでしょうけど、自分の気持ちをずっと包み隠して一人で抱え込んでいるんじゃなくて、気持ちを吐き出して生きてもいいんだっていう。ちょっと大袈裟かもしれないですけど、そういう風になっていけばいいと思って“吐き出す”っていう言葉を使っています」
この記事を書いた人
DMRT inc.所属。数々のインディペンデントカルチャーメディアを経て2016年に独立。ロック全般をベースとする音楽コンテンツの制作、メディアディレクション、地域振興系メディアのエディットなどを行う。日夜チャリで渋谷を爆走する漆黒のCITY BOYとして、365日スコッチを手放さない。
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