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「初めて会った猪木さんは、カッコよかったな~」逆三角形の上半身に全身茶色コーデ……藤原喜明がアントニオ猪木に惚れた日

執筆者: smart編集部

初めて会った猪木さんは、カッコよかったな~

1972年11月2日、藤原は新日本に23歳で入門。同月12日には、和歌山県白浜町坂田会館で藤波辰巳(現・辰爾)を相手にデビュー戦を行う。入門から10日後という異例のスピードデビューだった。そんな藤原も2022年11月12日、デビュー50周年を迎え、同年に亡くなった猪木との付き合いも丸50年だった。

猪木さんと50年か……長いようで短いような、だな。もともと俺は猪木さんに憧れて新日本に入門したというわけではなかったんだよ。田舎の農家の長男でさ、「ここで一生を終えるのは嫌だ」と思ってたんだよ。だから、プロレスラーになりたいとか、そんなこと以前に、田舎から出たかったんだよね。体を鍛えていたからプロレスに興味はあったけど、なり方なんてわからねえしさ。とりあえず地元岩手県の工業高校を出て、上京して機械メーカーに就職した。そのあとはコックとか職を転々として、横浜の市場で働いている時に転機が訪れた。

市場って朝5時から仕事が始まって、10時頃には終わるから、ちょっと昼寝したあと、横浜のスカイジムってところに入会したんだよ。16歳から本を頼りにウェートトレーニングをしてたからね。そしたら、そこの会長は金子武雄さんっていう元・日本プロレスのレスラーだったんだよね。で、俺が一生懸命練習しているのを見てさ、「お前、プロレスラーにならないか?」って言ってきて、「はい!」って答えたら、「よしわかった! 明日から会費はいらねえから、市場辞めて俺の焼肉屋で働け。昼間の忙しい時間が過ぎたら、夕方まで練習してていいから」って言われて、練習しながら焼肉屋で働くようになった。

金子さんは、国際プロレスの吉原功社長と仲が良くてね。国際はレスラーが足りなかったから、今思えば吉原さんから「いいのいないか?」って言われてたんじゃないかな。

それで1年くらい経ったあと、また呼ばれて「国際と新日本と全日本があるけど、どこがいい?」って聞かれて。たまたま『プロレス&ボクシング』っていう雑誌を読んだ時、選手名鑑が載っててね。新日本はまだ旗揚げしたばかりで人も少なくて、しかも大きい選手もいなかったから、「ここだったらチャンスがあるかもしれない」と思って、「新日本プロレスに行きます!」って言ったんだよ。そしたら金子さんに「ああ、そうか。国際プロレスもいいぞ。国際にしないか?」みたいに言われてさ(笑)。でも結局、俺の意思を尊重して、新日本に紹介してくれたんだな。

初めて新日本の事務所に行ったら、そこで猪木さんに俺を紹介してくれてな。初めて会った猪木さんは、カッコよかったな~。当時29歳で、たしか茶色のブーツを履いて、コールテンの茶色のズボンに茶色っぽいシャツでな。後ろから見たら上半身が逆三角形なんだよ。肩幅が広くて背中が大きいんだよ。カッコよかったな~。

それで金子さんは、猪木さんより先輩だから、「おう、猪木。コイツなんだけど」って俺のことを紹介してくれてね。「お前の若い頃にそっくりだよ」って言ったら、猪木さんがあからさまに嫌〜な顔をしてね。「こんなのと一緒にすんなよ……」って。あの時の顔は50年経っても鮮明に覚えてるよ(笑)。

それで俺は1972年11月2日に入門して、その10日後にデビューした。入門からたった10日でデビューできたのは、新日本に入る前から金子さんに寝技とかを教えてもらってたからな。金子さんが寝技が好きでね、俺は新日本に入る前からウェートトレーニングだけじゃなく、寝技もずいぶんと仕込まれてたんだよ。それで、当時の新日本は選手が少なかったというのもあるんだろうけど、即戦力と思われたのか、入門してから最初の巡業初日にデビューだったんだよ。だから、これがもし入門3日後にシリーズが始まってたら、3日でデビューできたかもしれないな。でも、そっから猪木さんと50年の付き合いになるとはね。ホントいい出会いに感謝だよな。

第3回(2月12日配信)に続く)

猪木のためなら死ねる! 最も信頼された弟子が告白するアントニオ猪木の真実

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