古川琴音が「本当の意味でゾッとした」ホラー映画『みなに幸あれ』。演技で体感した絶望と狂気 、そして切り開いた新境地
執筆者: ライター/石野志帆
「向き合わざるを得ない」と感じさせられた“事実”。
“誰かの犠牲があっての幸せ”とは
――古川さん演じる『孫』は、ひょんなことから田舎の祖父母宅を訪れますが「祖父母の家が何となく怖い」という感覚に共感することはありましたか?
古川 すごく共感しました。やっぱり小さい頃「(祖父母の家の)階段の端っこの影が濃い部分が、なぜか怖い……」とか、「木の床のシミが顔に見える」などもよく思っていたので、わかります(笑)。
――祖父母宅で気づいた“この世界の特異な成り立ち”に疑問を抱き、「孫」は行動を起こしていくわけですが、どういうモチベーションからの行動だったのでしょうか?
古川 「自分が何とかしなきゃ!」っていう正義感もあったと思いますが、一番は「認めたくない」「入りたくない」だったのかなと思います。「自分はどうして生きていられるのか」を考えたときに、(誰かの)犠牲の上にあって(幸せが)成り立っていたんだっていうのを「認めたくない」っていう気持ちですよね。
――「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というこの作品の根源的テーマについて、ご自身はどう考えますか?
古川 最初に台本を読んだ後「なんかちょっと嫌なことを知ってしまったな……」という気分になったんですが、(このテーマは)事実だと思うんですよね。見ないように生活できているだけで、見ようと思えば身の回りにいくらでも溢れていることだと思うんです。「そういう世界になってほしくない」っていう願いがあるからこそ、これを言葉にして欲しくなかったし、認めたくはなかったと思います。ただ、言葉にしたからこそ「向き合わざるを得ない」気持ちも出てくる。そういった意味で、この作品は面白いと思うんです。
この記事を書いた人
TV局ディレクターや心理カウンセラーを経て、心を動かす発見を伝えるライター。趣味はリアリティーショー鑑賞や食べ歩き。海外在住経験から、はじめて食べる異国料理を口にすることが喜び。ソロ活好きが高じて、居合わせた人たちの雑談から社会のトレンドをキャッチしている。
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