PR株式会社チヨダ
連載へそまがりスニーカー愛好家・ITOのスニーカー探訪「逸足触発」
【へそまがり“ストリートおじさん”対談】チヨダ・福島×伊藤商店・ITOが語る、俺が偏愛する逸足【私物スニーカー5番勝負】
執筆者: ライター/TOMMY
PR株式会社チヨダ
ITO’s CHOICE 5
〈ニューバランス〉の
「MW813」
ITO ラストはニューバランスのウォーキンシューズです。日本未発売モデルなんですが、外反母趾(がいはんぼし)の人なんかだと保険が使えて安く買えるとか。後輩から誕生日にプレゼントされたモノで、日本国内でも同一品番のウォーキングシューズがありますが、2本のベルクロストラップが海外仕様の特徴で気に入っています。
TOMMY ITOさんはマジックテープが大好物ですもんね。
ITO なんで、もっと日本でも展開してほしいと思っています。向こうでは70〜80ドルくらいで売っていて、平行輸入のショップでも1万円とかで手頃ですし。そして見てくださいよ、このポッコリしたシルエットとストラップの絶妙なダサさ加減を。こういうモデルを見かけるとほっとけなくて、ついつい(笑)。
福島 ウォーキング品番の800番台で色も白を選ぶっていうのがすごく玄人(くろうと)的ですね。いや、コレはヤバいですね。
ITO 「993」とか「2001」とかも、もちろん格好よくていいんですが「あえて、そこ行っちゃう!?」みたいな感じが好きなんですよ。なんせ、へそまがりスニーカー愛好家なんで。実際、ニューバランス人気はお店でも落ち着いてきた感じですか?
福島 相変わらず人気ですね。ただニューバランスの方曰く、コロナ禍の不況で生産体制にも影響があり、人気モデルは工場での生産も厳しいみたいですよ。
ITO そこでオススメなのがこちら! ラスト(足型)の横幅も広くて履き心地も楽ちん。ライフウォーカーの次はコレに決まりです(ドヤ)。
FUKUSHIMA’s CHOICE 5
〈ナイキ〉の
「エア クキニ」
TOMMY 大トリは福島さん。ではお願いします!
福島 第一次ハイテクスニーカー世代にとって、「エア マックス95」から始まったナイキ人気が下火になってきたタイミングでリリースされた思い出深い一足といえば、このエア クキニではないでしょうか。これは今年発売された復刻版ですが、アウトレットでなんと3900円! しかもその価格からセールになっていて、さらに20%オフで購入しました(笑)。
ITO いやいや、安すぎません?(笑)。この色って、ファーストカラーのうちの一つですよね。いまだに「なぜファーストカラーでこの水面みたいな柄とシグナルみたいな柄だったのか」っていうのが謎で。
福島 なぜなのか、僕にも謎です(笑)。謎といえば、若い子に見せても分からないのが、このヒールサイドにデザインされた5つの丸。復刻版はオリジナル版を忠実に再現しているというのがウリなんですが、この5つの丸の意味って分かりますか?
ITO もちろんですよ! 当時の最先端テクノロジーと最高のデザインを兼ね備えた新たなシューズを開発する“アルファ プロジェクト”の証ですよね。当時は箱にもA・L・P・H・Aの文字が入った5つの丸が記されていました。
TOMMY さすが、知ってるなぁ。福島さんも最後にクキニっていうのが、十分“へそまがり”です。
福島 この頃(1999年〜2000年代初頭)のナイキがめちゃくちゃ好きなんですよ。当時って、日本企画で誕生した名作モデルが多かったじゃないですか。やっぱり、そのあたりが個人的にはナイキ全盛期だったと思っているので。
AFTER TALK
TOMMY いやぁ〜、お二人ともしっかり深い知識と偏ったこだわりをお持ちで。
ITO 福島さんはマジで詳しいっすね。しかもその知識が、実際に自分の目と肌で触れて、蓄えられてきたものなので、僕もすごく勉強になりました。別注の話なんて特に。
福島 かつてはシュープラザにも別注モデルや販路限定モデルがいっぱい売られていたんですよ。たとえば「エア フォース1ミッド」の白×白。実はあれが日本に入ってきた当初って、弊社のみの販売だったんです。それがのちにインライン扱いになって、他のショップでも売られるようになったという経緯があって。
TOMMY&ITO へ〜!!
ITO エア フォース1といえば、ローの白×白と黒×黒って、昔は定番中のド定番でしたが、今じゃかなりアカウントの強いショップでしか扱えなくなっていたりして。時代の流れというか、変化を感じさせられるなぁって。
福島 そうです、そうです!同じように販路限定モデルでいうと、2005年くらいに復刻された「エア マックス95」の赤グラデや「エア ブルイン マックス」。「パルス」っていうブーツのシリーズもそうでした。2000年代前半までは小売店の最大手ってシュープラザや東京靴流通センターを展開する「チヨダ」だったんですよね。そこに当時の日本独自のスニーカーシーンの盛り上がりもあって、色々と面白いモデルを出していたと。
ITO 改めてラインアップを聞くとスゴイっすね。日本独自と言えば、ナイキから通称「裏ダンク」のローが復刻されるとか。
TOMMY しかも「エア サンダー マックス」が「エア マックス サンダー」の名で3色復刻されるらしいですね。
福島 みたいですね。僕もネットで見て「ついに!」と驚きました。
ITO あと僕とTOMMYくん待望の「エア ダーウィン」のキャンバス ローも、シュプリームとのコラボでナイキ SBから出ますし、どれもストリートおじさんにはたまらない(笑)。
福島 あの頃のモデルって良いですよね。僕の場合は、当時ミッドカットばっかり買っていたのと野球をやっていたので、「エア グリフィー マックス」とか「ノモマックス」とかが思い出深いかなぁ。
ITO そのあたりのモデル名が会話に出てくるなんて、この令和の現代、なかなかないことですからね(笑)。ちなみ僕は「エア ズームフライト95」が1番好きです! あと「エア マッスルマックス」も。
福島 マッスルマックスこそ、数十年ぶりに聞きましたよ(笑)。あと紙素材で作ったモデルもありましたよね、それこそサンダーマックスのようにジップが付いていて、7000円ぐらいだったんですけど、めっちゃ売れたんですよ。あ〜モデル名はド忘れしちゃったなぁ。
TOMMY リバーシブル+インナーの3WAYで話題になった……。
福島&ITO ナイキの「オビディアン」!
TOMMY 早押しクイズかな?(笑)
ITO ありましたね。折りたたんでウェアのポケットに収納できるという謳い文句だった「ポケットナイフ」とかと同時代ですよね。
福島 めちゃくちゃ軽い「スーパーフライ」とかもそうですが、当時のイノベーションというか、アイデアの斬新さって本当に圧倒的で。
ITO ちょっと内容がマニアックというか、ある一定の世代以上にしか分からないと思うんすけど、大丈夫ですか?(笑)。
TOMMY そろそろ読者も読んでいてワード検索に疲れてきた頃かと思うので、これくらいにしておきましょうか(笑)。いやぁ〜深い話が出てきて面白かったですね。
福島 えっ!? 僕のスニーカー原体験が、“親戚がやっていたスポーツ用品店で「エア マックス トライアックス」をディグって、捨て値のさらに親戚価格で買ったこと”とか、“野球部だったからオシャレできる部分が眉毛と靴しかなかったから”とか、そういう話はいりません?
TOMMY (笑)。お聞かせいただきましょう! そういえば、今回はストリートおじさん2人の対談ということで、福島さんにもリアル私服で登場いただきましたが、こういったストリートなスタイルから脱却しようとした時期ってあったんですか?
福島 高3の時ですかね。野球部を引退して、坊主から髪の毛が伸ばせるようになったタイミングで〈ポール・スミス〉とかが流行り出して。
ITO さては、ストニュー(『東京ストリートニュース』。当時の渋谷や新宿、池袋などにいたリアルな高校生たちのライフスタイルを紹介していた雑誌で、関東圏の中・高校生のバイブル的雑誌だった)を読んでましたね? 〈グッチ〉のビットローファーとか履いちゃうような感じで。
TOMMY で、〈タケオキクチ〉のスーツとか、素肌にVネックのニットを着ちゃったりして。
福島 そうそう(笑)。なんですけど、やっぱりストリートが捨てきれず1カ月で戻ってきて、今に至ると。今日なんかもアディダスのトラックジャケットに〈ステューシー〉のTシャツ、ニューエラのキャップに、〈リーバイス〉のデニムパンツで、足元はナイキの「エア ペニー2」ですからね。ワードロープの中も古着が多いですし。
TOMMY お二人は何歳まで、ストリートスタイルでいきます?
福島 小学校一年生の娘が結婚するまではたぶんこのままだと思うので、となると60歳くらいですかね。
ITO 僕もそんな感じでしょうね。最後に福島さんにお聞きしたいんですが、今のハイプなスニーカーがもてはやされる市場ってどう見てますか? 僕自身はまったくそういうスニーカーを履かないので、何がいいのかよく分からなくって。
福島 スニーカーに詳しい若いスタッフも新しいモデルが中心で、昔のモデルには興味があまりなかったりしますし、時代ごとに求められるモデルも価値観も変わり続けているので難しい話ではありますが、個人的にはスニーカーが完全に資産価値でしか見られていない現状に、あの頃のようなドキドキやワクワク感は感じていないというのが正直なところです。だからなんですかね、アウトレットで血が騒ぐのは。
ITO めっちゃ分かります!
TOMMY では、これで締めということで……。
福島 ……そういえば、ハイテクスニーカーブームが去った後の2001年に、シュープラザでスニーカーの下取りサービスをやっていたって話はしたほうが良かったですかね? 要は、ユーズドのスニーカーを一足持ってくるごとに200円割引券と交換しますっていう。そこにまたヤバイのを持ってくる人がいたりして……。
ITO なんすか、その話。めっちゃ面白そうで気になる!!
TOMMY いや、終わんないから!!(苦笑)。
(了)
写真右・Profile/ITO(伊藤忠宏)
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
ITO公式HP(https://ito-store.stores.jp)
ITO公式インスタグラム:@mr_t_ito(https://www.instagram.com/mr_t_ito/reels/)
写真左・Profile/福島徹(ふくしま・とおる)
中学時代にスニーカーの魅力にどっぷりハマり、これまで購入してきたスニーカーは1000足超えのスニーカーフリーク。その後、チヨダに入社し、シュープラザ上野店の名物店長に。シューフィッター資格も取得済み。現在はチヨダ マーケティング部 プロモーション統括室 課長として、商品や店舗のプロモーションなどに携わる。
写真=田中利幸
文=TOMMY
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この記事を書いた人
メンズファッション誌やモノ系のWEBメディアを中心に、ファッション、モノ、アイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。
Instagram:@tommythetiger13
Website:https://smartmag.jp/
お問い合わせ:smartofficial@takarajimasha.co.jp
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