【へそまがり“ストリートおじさん”対談】チヨダ・福島×伊藤商店・ITOが語る、俺が偏愛する逸足【私物スニーカー5番勝負】

ITO’s CHOICE 3
〈リーボック〉×〈イームズ〉の
「イームズ クラシックレザー」

ITO　連載でもかつて取りあげた最近のモデルですね。ニューヨークでは、シュプリームクルーが注目して話題になったりとすごく盛り上がったんですが、日本ではまったく売れず……（涙）。象をかたどったイームズの子ども用スツールがモチーフになっていて、このカバー部分は脱着可能。てっきり僕の娘にも「可愛い♡」と喜んでもらえるかと思ったのに、全然ダメでした（再び涙）。

TOMMY　ITOさんにはシリーズを全種類コンプリートするくらい刺さったんですけどね。

ITO　リーボックって「『インスタ ポンプフューリー』を超える名作がない」なんてよく揶揄（やゆ）されますが、このクラシックレザーは名作だと思いますね。しかもそこにゾウさんじゃないですか。可愛いと思うんですけどねぇ……娘の反応が…ね…なんでかなぁ（悲）。

福島　正直なところ、うちの店舗においても苦戦はしていますが、リーボックは僕も好きですよ。「エイリアンスタンパー」が復刻された時なんて即ゲットしましたし。といってもシューズ内部がすごく蒸れるので、2回だけ履いたあと友達にあげちゃいましたが。

ITO　僕のリーボックの思い出といえば、中学生の頃に「ポンプフューリーを履いて、友達とチャリで2人乗りしていた時に、ハブステップでスプリットソールのアーチ部分が割れてショックだった」というものがあります。

福島　そういえば、なぜ〈アディダス〉がリーボックを買収して傘下（さんか）に置いたか、理由ってご存知ですか？

ITO’s CHOICE 3
〈リーボック〉×〈ニューヨーク・ヤンキース〉×「シュープラザ」の
「CL アメイズ ミッド」

福島　狙いの一つとして、ナイキに対抗して買収したというのは、みなさんご存知だと思います。もともと、リーボックはアメリカの4大メジャースポーツ（野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー）すべてと契約していて、リーグに所属する全チームのロゴが自由に使えたんですが、その権利が欲しかったんじゃないかなと思うんですよね。

TOMMY＆ITO　なるほど〜。

福島　その情報を知っていただいた上で次に紹介するのが、僕が2003年に別注で企画したリーボックの CL アメイズ ミッド。これがリリースされる3〜4年前に、ナイキのエア フォース１がブームになっていて、リーボックと契約していた NBA選手のアレン・アイバーソンが「俺もエア フォース１が履きたい！」とリクエストして誕生したのが、CL アメイズという逸話があるようです。

ITO　そう言われてみると、このストラップの形状やトゥやミッドソールのデザインなど、たしかにソックリですね（笑）。

福島　この別注モデル最大の特徴が、ニューヨーク・ヤンキースのロゴ刺しゅうです。ちょうどヤンキースに松井秀喜が入団したタイミングで、〈ニューエラ〉のキャップも流行り出した頃だったので、日本人にも馴染み深いだろうということで作りました。当時、8000円くらいだったと記憶しています。

TOMMY　安っ！　これは相当、売れたんじゃないですか？

福島　いえ、それが本当に売れませんでした（苦笑）。すごく思い入れもあるし保存状態も良かったので、息子に履くか聞いたら「ヤンキースのマークが付いているのがヤダ」と断られちゃって（泣）。今の時代は“売れないモノ”が作れないので、実現不可能な一足と言えます。

ITO’s CHOICE 4
〈ナイキ〉の
「ナイキ ウィメンズ エア チャッカモック“アーバンナイトパック”」

ITO　では僕も負けじと、カラー提案したモデルで勝負しますか。テクストトレーディングに所属していた2005年に、ナイキのエア チャカモックが初復刻するということで「アトモス」によってデザインされたのがこちら。当時、事務所にサンプルが置いてあって、聞けば別注すると。そこで、僕はもともとチャッカ モックが好きだったので「もっと攻めたほうがいいですよ！」と口出しした結果、このカラーリングが生まれました。

TOMMY　めちゃくちゃヴィヴィッドな配色ですが、これはどこからインスピレーションを得たんですか？

ITO　それこそ90年代のACGなどアウトドアウェアから着想を得ています。これは当時買ったモノではなく、最近メルカリで購入したモノ。3000円くらいで売られていたので「救出しなきゃ！」って（笑）。ただソールが剥がれていたので、修理してもらってやっと履ける状態になったところです。

福島　僕も過去に一足だけ、アディダスのアドベンチャーシリーズの「バッドランダー」という真っ赤なスニーカーを買ったことがあるんですが、やっぱり圧倒的にインパクトがありますね。

ITO　なんか“赤い靴を履いとけばお洒落”っていうノリがあったんですよね、当時。今になって冷静に考えると、個性的ではあるけどお洒落ではないっていう（笑）。

TOMMY　福島さんはかつて「シュープラザ 上野店」の名物店長として、全国一のセールス記録を残していますが、このアクの強い“へそまがりスニーカー”を、ご自身ならどうやって売りますか？

福島　個人的にはめちゃくちゃ格好いいと思うので、仕入れはすると思いますが、それが果たして売れるかどうかと問われると……正直ちょっと怖いですね（笑）。

FUKUSHIMA’s CHOICE 4
〈コンバース〉の
「アクセラレーター」

ITO　キタ！　『スラムダンク』ですよね？

福島　そう、ご存知、『スラムダンク』の宮城リョータ着用モデルといえばお馴染み、コンバースのアクセラレーターです！　こちらはオリジナル版ではなく2019年の復刻版。何よりの見どころがシュータンに記された“CONS”のロゴですね。これって日本ではライセンスの関係上、2019年まで使用できなかったのが待望の解禁＆復刻！　……なんですが、限定されたアカウントのショップでしか販売されていなかったこともあって、復刻されたこと自体を知らなかった人も多かったようです。

TOMMY　ちょっと時期尚早（しょうそう）でしたね。昨年末に公開された劇場版映画（『THE FIRST SLAM DUNK』）のタイミングに合わせていれば売れたのに。

福島　本当にそうなんですよ。コンバースに聞いたところ、映画の影響でめちゃくちゃ問い合わせがきたそうですし、また復刻したいと思ったんじゃないですかね。ちなみにリョータは僕が『スラムダンク』で一番好きなキャラクターです。理由は、身体は小さいのに速いから。野球でいうところの派手なホームランバッターよりも職人肌の選手のほうが好きみたいなのにも近い感じで。

ITO　ちなみについでに言うと、湘北高校のキャプテンの赤木（剛憲）もコンバース派でした。

TOMMY　二人ともスポーツ好きですね（ニッコリ）。いや～なかなかディープな話で盛り上がってますね！

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